「歯を失う原因」の実態調査。

 8020推進財団の行った、「全国抜歯原因調査(2005)」によると、

 歯を失う原因の第一位は「歯周病」、全体の42%、
第二位は「虫歯」、全体の32%となっています。
(他は主に親知らずの抜歯、破折、矯正など)

 若年齢では比較的歯周病に罹りにくいので、30歳代までは「虫歯」が主な原因になりますが、
歯周病での喪失は30代後半頃から目立ち始め、40歳代後半で歯周病での喪失が一番多くなり、50代では、喪失原因の51%が歯周病。
その後も調査対象年齢の85歳まで、歯周病が圧倒的な喪失原因の第一位を占めます。
 また、抜歯数も60歳代後半では、30歳代前半の3倍以上の本数に増えます。
 高齢になると歯周病での抜歯数が減ってきますが、これは、歯周病等ですでに歯を喪失してしまった人の割合が増え、失う歯自体がなくなった、ということでもあると思います。

 虫歯は一本一本がそれぞれ罹り、進行していく病気なので、
虫歯で全ての歯を失うことは稀ですが、
歯周病は、歯が植わっている骨自体が溶けて支えがなくなり抜歯に至るので、同時期に複数本を失うケースが多く、総入れ歯の方の大部分は歯周病が原因となります。

 歯を失う順番の傾向は、まず下の奥歯(特に六歳臼歯(第一大臼歯))、続いて上の奥歯、上の前歯、下の前歯。

 悪循環のようになりますが、磨きづらい奥歯が歯周病又は虫歯で一本失われることになると、

・ そこに凹凸や影の部分ができて歯垢がたまりやすくなる(歯周病や虫歯の原因になり病気が進行しやすくなる)、 と同時に、

・ 一本失った分の負担が回りの歯にかかる。(失った歯の両隣の歯に被せ物をして一本分をダミーで付け足したブリッジ、や、部分入れ歯で鈎(針金)を両隣の歯に掛けて支える。等)

・ 失った歯の対合歯(噛み合わせの歯(下の奥歯を失った場合は、上の奥歯が対合歯))が噛み合わせの歯がなく機能できなくなり、歯根が露出するようにのびてきたり、不安定な状態になる。

など、奥の上下の歯の喪失リスクが高まります。

そして、奥歯を失ってしまった口の中では、その分の圧を前歯で支えなくてはならず、
前歯が叩かれるように噛み合わさることにより、出っ歯のように、前に傾斜をつけて傾いてきます。
 この負担が、ますます、歯周病等を増長させることになり、歯が揺れだして喪失する、など悪循環で、抜歯する歯が増えていく、ということになりやすいです。

虫歯や歯周病で歯を失い始めると、次にその分の負担が掛かることになった歯も悪くなりやすくなり、続けて複数本の歯を失うというパターンが多いと思います。

 歯を失うリスクの高い歯としては、
未処置の虫歯、歯周病の進行している歯、などの他に、
神経を抜いて冠などを被せた歯、部分入れ歯の鈎(針金)が掛かり支えている歯、などとなっています。

 歯周病についての記事は、こちらから。
『1,ココから順番に書いています。 (歯周病)』

虫歯についての記事はこちらから書いています。
『1,「虫歯の多くはココから発生。」 「シーラントとは。」』

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