虫歯(う蝕)とは、日本人の約9割の方がかかると言われる大変罹患率の高い病気です。
今日は、この虫歯とはどのようなものかをお知らせするため、
あえて、虫歯を治療せずに、放置してみたいと思います。
まず、歯はこのような構造になっています。
画像引用©2011 Nobel Biocare http://www.ns-search.jp/
表面から、
『エナメル質』 歯の表面の大変硬い組織。(上図の白い部分)
『象牙質』 エナメル質の下の比較的軟らかい組織。(上図の黄色い部分)
『歯髄』 「神経」。歯の内部奥にある、痛みを感じる軟らかい組織。(上図の赤い部分)
虫歯は歯の表面が、虫歯菌に接し、感染するところから始まります。
歯ぐきが健康なら、歯の表面にあるエナメル質、
歯周病で歯ぐきが後退し、歯根が露出している状態なら、見えている歯根の表面から虫歯になることもあります。
虫歯の一番多くは、虫歯菌が張り付いた時に容易にはがれにくい場所、
歯の溝や、歯と歯の隣接面から始まります。
その一般的な虫歯について見てみましょう。
虫歯になった歯は、
歯の表面(エナメル質)に溶かされたような穴が空き、虫歯菌が歯の内部に侵入して、内部(象牙質)を溶かすように大きく穴を広げていきます。
見た目には小さな虫歯でも、硬いエナメル質に小さな穴を空けて侵入し、中で軟らかい象牙質を大きく冒している場合があるので、必ずしも軽い虫歯とは限りません。
よく歯科では、虫歯の進行状態をC0~C4に分けて表記します。
C0 エナメル質の溶けかけた状態(脱灰)、治療の必要なし。
C1 歯の表面、エナメル質の虫歯。(ほとんど痛み無し。)
C2 虫歯菌が象牙質に及んだ状態。(痛みがでるか出ないか微妙。)
C3 虫歯菌が神経にまで達し、痛みのでる状態。(痛みがある、場合によっては抜歯が必要。)
C4 歯冠部は、虫歯で崩壊し、歯根だけが残る状態。
C4まで放置してしまうと、痛みをだしていた神経が死んでしまい、もはや痛みすら感じないことがありますが、
その後もずっと病巣が残ったままで根の先に菌がある状態だと、そこから菌が全身にまわり、脳(脳梗塞)や心臓(心筋梗塞)等に関与するなどの危険を指摘されています。
全身の抵抗力が衰えたときには、危険な状態になることもあるそうなので、放置せず、病巣をとる治療が必要です。
時々テレビなどで「虫歯で死亡」などのタイトルが取り上げられ、ネット上でも質問しているページをみることがあるのですが、頻度にすると、そうしょっちゅう起こることではないようです。
ただ、歯の内部(神経部分)は根尖から全身につながる血管に通じており、そこから菌が脳などに回って死亡、ということも現実にはあり、ニュースになったりしています。
身体の抵抗力等と関連して、高齢者の方や、お子さんが、通常なら軽い風邪で済むようなところで亡くなられたり、元気でおられた方が、思いがけない菌で亡くなられたり、といったような少ないケースと言えるのかもしれませんが、
実際、エナメル質以上にまで進んでしまった虫歯が、自然治癒することはありません。
その間、ずっと細菌が歯を浸食し、菌がはびこり、根尖に膿を持つこともある等を考えると、決して健康に害がないとは言えないので、歯の治療が苦手な方も、ぜひ、優しい歯科医院を見つけて通院して頂きたいと思います。
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