(3)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。

 現在、保険治療だけを行って、患者様を診ようとした場合、
歯科医師一人が一日に何十人か患者様を診療しなければ採算が合わず、理想とされる1日7,8人からは大きくかけ離れる、と聞いたことがあります。

 この理想とする人数については歯科医師の先生それぞれに違いがあるので正確ではありませんが、

現実に、保険診療を主に行い、それで採算を合わせようと、一人一人にかける診療時間を短く、一日に多くの患者様を診るようにして回さなくてはなりません。
現在、歯科の健康保険診療の値段はかなり低く設定してあり、採算を合わせるためにどうしてもそうなってしまうそうなのですが、

ここに、保険外(自費)の治療が多く入ると、その儲けで歯科医院自体が潤い、1日に診る患者様の数を減らすことが出来るようになるため、一人一人の患者様にかけることの出来る「時間」が増えます。
 その時間が、患者様の将来にわたっての口の中の治療計画だったり、ベストと思われる治療方法(ブラッシング指導なども含め)だったり、患者様の納得できるように、説明する時間(カウンセリング)に回されたり、
また患者様側の様子や本心(この歯をどうして欲しい、などの希望)を聞き出し、患者様の理想とするニーズに応え満足できる治療をする治療体制を作り出すことにつながる利点もあります。

 歯科医院の多くが「保険」と「保険外」の両方の治療を行っていますが、これは、もちろん金銭面で潤うということもありますが、治療内容としても「保険」でできる範囲の治療を理想としている歯科医師は少なく、「保険外」のものも使って治療した方が、よりよい治療ができると考えている歯科医師の方が多数派なのだと思います。

 その極端?なところでは、

「保険点数に左右された治療ではなく、患者様一人一人に自分の理想とする治療がしたい」等から、保険医ではなく、「自費専門の歯科医院」を開院される歯科医師の先生もいらっしゃいます。

 この「自費専門の歯科医院」。
 保険では適用されない範囲も関係なく、その歯科医師が理想と思われる治療をしていることが多いので、
将来にわたって長く口の中を考えてくれる治療を歯科医師が考えてくださったり、時間をかけてカウンセリングをして納得した治療が受けられる所が多い、などが特色だと思いますが(それぞれなので、一概に言い切れませんが)
やはり、治療費が高額。(治療費の全てが自費)
セレブでなければ、とても通えません。

 ただ今は、いろいろな情報があり、現在の保険治療に納得できない患者様も多いようで、
ネットで調べると、けっこう多く、見つけることが出来ます。

 またそこまででなく、今、最も一般的なのは、
保険医の歯科医院で、自費の治療もしているという歯科医院だと思います。

 保険で虫歯の治療を行った後に、被せ物の歯(クラウン)などを「保険の物にするか、自費の物にするか選んでください。」
と言われたことは、多くの人が体験されたり、また、話に聞いたことがあるかもしれないのですが、

 保険で治療を行い、その中で歯科医師が必要と思われるところに「自費」を使ってもらう、 という方法です。  これを患者様が保険外(自費)で入れる、この自費率が高いほど、歯科医院としては儲かります。  ただこの儲けを、ただ「儲けた」で終わるか、
この余裕のできた時間で、患者様とコミュニュケーションを取りながら、希望を聞いてしっかり診察したり、カウンセリングしたり、ブラッシング指導の重要性をお知らせして、それを勧めたり、等、歯科医療の質の向上に活かすか活かさないかは、それぞれの歯科医院で差があるように感じます。

 個人的な体験談ですが、私は、主に保険で治療しているらしい歯科医院で、
自費の被せ物(セラミックのクラウン)を入れてもらったところ、 自費の被せ物は丁寧に入れてくれましたが、その後のケア(ブラッシング指導)の重要性についてあまり言及がなく、とても残念に思ったことがあります。

 歯科衛生士で、自費の被せ物をして治療した後に、どのようにブラッシングしていけば、その歯を長く持たせることが出来るか、プラークコントロールの重要性について、知っていますが、
 自分は歯科衛生士だと、その歯科医院で言ったことはなく、
被せた後に、そこに使う歯間ブラシの大きさぐらいは、教えていただかないと、患者様としてもきちんとブラッシングが出来ず、せっかく入れた自費の被せ物の歯が長く持たない可能性が高くなるので、高い自費の被せ物を勧めるなら、自費のブラッシング指導もしっかり勧めて欲しいと思いました。(自由価格で一概には言えませんが、1回2500~3000円前後で、最初は数回(3回くらい?)受けてもらうことが多いでしょうか。)

 いくら高いお金をかけて治療しても、その歯を長く残せるかどうかは、
その後のそのケア(プラークコントロール)にかかっています。

 そういう情報をしっかり教えてくれるかどうかも、保険と自費(予防のためのブラッシング指導に保険はきかない)の差だと思っていたのですが、
それぞれの歯科医院で違う、というのも、また現実でした。

 保険と保険外、どちらを選択するかは値段的なものもあり、個人個人で変わってくると思いますが、
  ただ、ちょっと長い話になる健康保険の話、歯科医院で聞きづらい歯科医師の事情なども、知ると参考になるかな、と思い書いてみました。

 症状や治療について通われている歯科医院とよく話され、納得できる選択ができる参考になれば、と思っています。

次、この記事の続き記事になっています。
『自分に合った「良い歯科医院」選び。』

(前回の記事)
(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』

(2)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『歯科医院』の本音と現実。

(3)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。

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