国民的に、歯周病を防ぐ方法を考えてみる

 歯科衛生士は、歯周病予防や治療などのためにブラッシング指導に入りますが、
患者様が個人的に一人一人知識を身につけ、歯周病を予防して行くのは、限界があります。

そこで公共的にも、歯周病予防のキャンペーンをしたり、テレビで取り上げたり、ネット等でも
知らないうちに進行しやすい歯周病について、皆さんに注意喚起する、といったところですが、
日本はまだまだ歯周病の多い国。

80歳での残存歯数は、スウェーデン約20本に対して、日本10本ほどです。
(前回調査では8本だったので、これでも上がりました。)

 歯周病の減らない原因としては、やはり、歯周病予防の知識を国民一人一人に伝えられていない、ということがあげられますが、
(磨き方の知識と技術があれば、歯周病は予防できることが多い病気なので)

多分、一番の弱点は、
集団で伝えやすい期間(学生時代)に深刻な状態にまで発症しないため、歯周病に関する情報を得にくい、というところなのではないか、と思います。

 どこで手を打てば、歯周病が大きく減らせるのか個人的に考えてみると、
多分、歯の磨き方を覚えやすい、そして集団であることを利用できる学生時代。

 中学校、高校などで、集団で、 
まず、「歯肉炎と、健康な歯ぐき」の写真を何枚か見せ、 「歯肉炎の状態を見た目で覚えてもらう」といいかも知れません。

前歯の歯肉炎は、見た目で分かることが多々あり、写真を見比べれば、中、高校生でもすぐ分かるようになります。

 歯周病は30~40歳代ぐらいで発症するイメージがありますが、
歯槽骨がとけるほどの歯周病に進行する前には、必ず「歯肉炎」と呼ばれる軽い炎症の状態を通ります。

この歯肉炎のうちに、炎症をとってしまえば、歯周病は進行しません。
そしてこの歯肉炎には、中学生も高校生も罹ります。

歯肉炎をおこさせないこと。

まずはここを目指します。

 集団のクラスで歯の磨き方のDVDを見せ、フロスの使い方を教えれば、
大人よりも逆に、高校生の方が早くマスターできると思います。

集団生活、周りの目が気になる年頃、
歯肉炎を見分けられるようになった友達の前で、丁寧な歯磨きや、フロスを使わずに歯垢を放置して、歯肉炎でいられる子供は少なくなると思います。
集団生活であることによって、周りの目が追い風となり、自然と丁寧に磨く習慣、フロス等を使う習慣ができるかも知れません。

わざわざ全て税金を導入しなくても、この予防法にはスポンサーが付きやすいと思います。

スポンサーとして配布すれば、最初に出会った初めて接する本格的なフロスや歯ブラシを、学生が使い続ける可能性は高く、よいリピーターになります。

●●会社が、歯周病予防のために行いました。

ということになると、社会人になってもいいイメージは続きます。

採算を合わせるには工夫が必要かもしれませんが、普及の良い機会になると思います。

 また、歯科医院での専門的なクリーニングも大切と伝われば、歯科医院に行くきっかけにもなります。

 昨日の記事(『将来を見通す、「ブラッシング指導」 の舞台裏』)でも書きましたが、
歯周病予防のための対策、歯磨きは、二段階に分けて考えると予防できると思います。

一つは、歯の磨き方を覚えること。
二つめは、それを習慣化することです。

学校での指導では、それを一度にできる可能性も大きいですが、
例え、周りの目が少なくなって、歯垢の残るようなちゃっちゃとした磨き方に戻る時期がきても、
一度しっかり覚えた歯の磨き方、フロスの使い方などは、大人になってから、また思い出してすることができます。

 鉄は熱いうちに…、ということなのかもしれませんが、
歯肉炎も、歯周病に入ります。

小さな芽を見逃さず、しっかり手を打ち対策を取ることが出来れば、
多額の税金をかけなくても、国民は健康になり、医療費削減をすることが可能だと思います。

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