平成26年4月。 今まで自費だったハイブリッドレジン冠(白い歯の被せ物)が一部、保険適用になりました。

 診療報酬改定で、今まで自費だった第一小臼歯、第二小臼歯(犬歯の奥側にある二本)の、ハイブリットレジン冠の一部が保険適用になりました。

第一小臼歯、第二小臼歯とは、この歯。
(手前、犬歯の隣がそれぞれ第一小臼歯、その奥が第二小臼歯。)

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犬歯の奥の二本なのですが、ここを金属にすると目立ちます。
なのでここをぜひ、白いもので被せたいところなのですが、

今まで保険の白い歯の被せ物、その白い部分は、使える材質がプラスチック(レジン)のみだったので、とくに金属を使わない物は正直お勧めできませんでした。
(硬質レジンジャケット冠等)

プラスチックは、材質も強くなく、劣化します。
日常生活の用品を使って御存知かとは思うのですが、プラスチックを長い時間厳しい環境にさらしたりすると劣化してしまったり、強い力を受けると壊れてしまいます。

口の中でも、プラスチック(レジン)の冠は、材質も強くなく劣化もある物で、どこかの時点で再治療となることが多く、半永久的に入れておけるのもではないという認識がありました。

さて、今回保険適用になったハイブリッドレジン冠。
白い歯の被せ物の材料はプラスチック(レジン)のみだったので、初めてプラスチック以外の素材も保険適用になった、ということだそうなのですが、
ハイブリッドレジン冠とはどういうものか、調べてみました。

 ハイブリッドレジンは、ハイブリッドセラミックとも呼ばれ、
プラスチック(レジン)にセラミック(陶器)の粉を混ぜ合わせて作られたものだそうです。

長所、短所の大まかなところとしては、

長所

・ 色が白く、歯に似ている。(審美性)
・ 硬さに弾力があり、噛み合わせの歯などを痛めない。(機能性)
・ 金属による歯ぐきの変色や金属アレルギーなどが起こらない。(安定性)

短所

・ 色調がセラミック冠には劣る。(審美性)
・ 時間が経つと変色する。 (審美性、安定性)
・ 割れることがあるので、噛み合わせ等により適用できない場合がある。(機能性)
(保険適用の物はハイブリットレジンのブロック塊から削りだして作るため、手作りで築盛して作るものより強度があるそうです。)
・ 口腔内装着後の長期的予後が、まだはっきりと分かっていない。

という感じだそうなのですが、
プラスチック(レジン)のみを使用した場合の弱点を、セラミックの粉を混入することで補強しているようです。

プラスチック(レジン)の強度などの短所を少しでも長く持たせられるようにカバーし、
陶器の硬すぎるという短所もない物だそうですが、
陶器の粉を混ぜ込んでいるプラスチック素材なので、変色じたいはあるそうです。
また、まだ取り入れて新しい素材のため、今後の長期的な予後については不明な部分も多く、未知の素材となっています。

 ハイブリットレジン冠は、全てが保険適用になったわけではなく、
「第一小臼歯・第二小臼歯のCAD/CAMシステムを用いたハイブリットレジン冠」で要件にかなったものが保険適用になったそうで、つまりは、手作りの物ではなく、歯を削って作った模型を機械で三次元的にスキャンし、それをもとに、コンピューターがレイアウト、ハイブリットレジンのブロック塊から削りだして制作したハイブリッドレジン冠(CAD/CAM冠 [キャドカムかん])で要件にかなったものが保険適用ということです。

今回保険適用になった背景としては、今まで(現在も)保険適用の白い冠(硬質レジンジャケット冠)の素材がそれほど良くないため、改善が求められてること、
歯科の技術革新が進み、CAD/CAMシステム(コンピューター)で製作されたハイブリッドレジン冠(CAD/CAM冠)は、製作過程において人の手間が大きく削減できること、また、保険適用で使われる金属の割合を減らし、保険費を削減しようという狙いがあるとネット情報で読みました。
保険点数は1200点(12000円相当)(H26.4現在)だそうです。

理想的な歯科材料を、保険の歯に適用することはコスト的に難しいと思いますが、
保険で出来る治療の材質が今までよりも少し良くなったということだと思います。

続き記事 『白い歯の被せ物。保険と保険外の個人的な所感。』

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