なぜ、歯周病治療を始めると、歯ぐきは減ってしまうのか。 本当に早く診てもらったほうがいいタイムリミットの話。

 歯周病になると、歯を植えている骨(歯槽骨)が端の方から溶けて無くなってきます。

構造的に見ると、歯根の上を骨(歯槽骨)がカバーし、さらにその上に歯ぐきがカバーしているような形なのですが、

歯根の上の歯槽骨が溶けて無くなっても、その上にある歯ぐきは、すぐには無くなりません。

なので外見上、歯ぐきの下で、歯槽骨が溶けているのが分からない、というのが、歯周病の発見を遅らせる要因の一つとなっています。

ただ、実はもう、歯ぐきが付いている骨(歯槽骨)自体は無くなっているので、
その部分の歯ぐきはどこにもくっついていないような状態。

あるべき支えが、もう無くなって、実体はもろい部分が外見的に残って見えている状態です。

 口の中には水分が常にあるので、
歯ぐきの組織は膨らんで見えやすい状態になっています。
そこに更に歯垢の中の細菌が歯ぐきに触れると、ブヨブヨと軟らかい歯ぐきになり、炎症を起こして、血液などが集まり、歯ぐきは更に膨らみます。

これで一見、「あるように見える歯周病の歯ぐき」が出来るのですが、

実は外壁だけあって、建っていない建物のような物で、実体がなく、
とてももろい物です。

歯科医院には空気をかけるエアースプレーのような機械があるのですが、

そのように膨張した歯ぐきに、空気をかけ続けて乾かすと、
水分の無くなってきた歯ぐきは、歯から完全に離れて、ピロピロと風を受けて揺れだしたりすることがあります。

つまり歯周病の進行している部分の歯ぐきは、水分を含んでピッタリと歯にくっついているように見えるだけで、実はもう歯からは完全に離れ、
その隙間に細菌(歯垢)が入り込んで住みついているような状態になっている、ということです。

このまま放置すれば、確かに歯ぐきはしばらくそのまま、そこに有り続け、
外見上からは、歯ぐきの少なくなった状態には見えづらいかもしれません。

ただ、隙間に入り込んだ細菌は野放しにされ、奥に深くに潜り込んだ嫌気性の菌が、活発に歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし続けます。

この細菌は、歯を抜かすまで容赦しないので、清掃して菌を除去するなど人間が手を打たないと、
多くの方はそのまま歯周病で歯を失うことになります。

 歯ブラシなどの毛先で、歯垢を除去し、
毛先の当たらないところや歯石などの硬いものは、歯科医院で処置を受ける。

歯周病の因果関係はとても分かり易く、
この細菌がいなくなれば、歯槽骨は溶けなくなります。

除去も歯科医院に行けば、機械的な清掃に入るなど適切な処置がしてもらえ、ブラッシング方法も教えてもらえます。

 ただ、歯を残せるぐらい歯槽骨が残っているうちに除去できるか、

すでに歯を残せないぐらい溶かされてしまっているか、という問題には、タイムリミットがあります。

処置をするのが早いか遅いかだけの違いですが、

このタイミングが明暗を分けます。

歯を支えられないぐらい溶かされてしまっては、抜歯ということになりかねないので、

そのタイムリミットになる手前で、なるべく発見してもらえるように受けるのが、歯科の定期的検診やPMTC(歯科医院で受ける機械的清掃)ということにもなると思います。

 さて、タイムリミットになる以前に発見され、歯垢が除去され出すと、歯ぐきの腫れは引いていきます。
そこに炎症を起こして溜まっていた血液もなくなり、ブヨブヨと膨張していた歯ぐきは引き締まり始めます。

膨張していた部分や、腫れも引き、
実はもう歯周病で歯槽骨が溶けて無くなっていても、まるで健康なときのように、腫れて大きく残って見えていた歯ぐきは、
失った歯槽骨、支えの無くなった実体通り、小さくなっていきます。

歯周病菌が清掃されることにより、歯ぐきと硬組織との結びつきは強固になり、歯周病菌のあふれていた部分は無くなって、骨が溶けることもなくなり、膿もでなくなりますが、

歯周病に罹って歯槽骨の無くなった部分の歯ぐきは、歯ぐきが健康になって引き締まったことで減り、
歯根の見えてくるほど減ってしまった状態になることがあります。

この減ってしまった歯ぐき、実体を見ることは、患者様にとって気になってしまうことかも知れませんが、
歯周病になってしまった以上、ここで歯周病の進行をストップさせ、歯を抜歯せずに残すためには、
どうしても歯周病菌を取り除き、歯ぐきを実体通りの大きさ、腫れてブヨブヨ膨らんでいない、健康な引き締まった状態にしなくてはいけません。

歯ぐきの位置が少し下がっても歯を残すか、抜歯まで歯周病を放置するか、というところなのですが、
歯周病菌に冒され腫れて膨らんでいる歯ぐきは、中で膿んで口臭を放ち、歯槽骨を着実にとかして、抜歯にむかっている状態で、
そのまま放置すれば、歯ぐきが減るどころか、歯を失うことになり、
さらに歯を失った上で、歯ぐきも実体どおりの減っていくので、
ここは、歯ぐきが下がっても、歯周病菌を清掃し、歯を残すよう治療することになります。

 

平安の頃は、下ぶくれ顔のオカメさんが美人とされた時代で、おたふくで頬が腫れると、美人に見える美人風邪として喜ばれたそうですが、
あくまでも病気。

歯周病にかかると、治癒後には病後の後遺症のように歯ぐきが痩せて見えてしまうことがありますが、
歯ぐきが減るのが嫌だからと言って、膨らんだ歯ぐきをそのまま放置しておくことは、
歯周病を進ませ、高確率で抜歯をしなければならない状態にする、ということです。

歯ぐきは減っても、歯周病の進行が止まれば、
歯周病による口臭もなくなった健康な状態になり、全身の病気も予防でき、歯自体をを残せる確率が増えます。

始めから歯周病で骨(歯槽骨)を溶かさない、
歯周病予防(ブラッシング指導を受けた日常の歯磨きや定期検診、等)をすることがベストですが、
もし、歯周病で歯槽骨が溶け始めてしまっていても、歯を残すのに間に合う期間は長くあるので、タイムリミットが来る前に、また、少しでも歯槽骨が残り多くの歯ぐきを減らさずに済むように、諦める前に少しでも早く歯科医院に直行するのがいいと思います。

患者様のブラッシングで歯科医師や歯科衛生士が見ているところ。

「磨いているのに、磨けていない」と、歯磨きではよく言われます。

今回は、そのことを考えてみます。

 皆様、写真の中の「丸で囲われた部分」をじっと見つめて下さい。

IMGP4373 point1

この写真の、歯と歯ぐき間に隙間があるのが分かりますか?
(ちょっと、分かりにくい。(笑))

えー……、実際の口の中と同じように分かりにくい写真となってしまったのですが、この歯と歯ぐきの境目の部分には、隙間が空いています。

なので、こんなことをしても、あまり痛みはありません。

IMGP4385

この隙間は健康な歯ぐきでも、2㎜ぐらい空いているので、器具の先は痛み無く入ります。

ここが「歯肉溝」(3㎜以上の深さになった場合、「歯周ポケット」と名称が変わる)と呼ばれるところなのですが、

患者様の歯磨きについて、歯科医師や歯科衛生士は、「ココ」を注目して見ています。
そして、ココ(歯肉溝)の注目度合いが、ことのほか大きい。
どのくらい大きいかというと、

「ココ」が磨けていたら、他に多少汚れが残っていても、
「キレイに磨けていますね」
と言われ、

逆に、
他がどんなにキレイに磨けていても、「ココ」に歯垢が残っていたら、
「磨けていませんね」
と言われる。(ほぼ100%)

つまり、
患者様が磨いているのに、「磨けていない」
と言われるのは、

「患者様が磨いているのに、

歯科医師や歯科衛生士の思い通りの所が、磨けていない。」

という、実はワガママな言い方なのかもしれない。

ということに最近気が付きました。(笑)

 何も言わずに「を磨いて下さい」と歯ブラシを渡され、

歯科衛生士の前で一所懸命に歯を磨いてみたら、

歯科衛生士に、

「普段、歯としてよく見ているところはあまり注目していません。問題は、

日常生活でほとんど注目されていない「ココ」です。」

と、歯根を指さされる。(笑)

これが星 飛雄馬(ほし ひゅうま)(by 昭和のアニメ「巨人の星」)のお父さんなら、

「だったら最初からそう言えっ!」

と、ちゃぶ台ひっくり返すかも知れない…。

「そこが歯なのかっ!」

と、暴れ出すかも知れない…。

と思うところです。
(想像力豊かすぎ。(笑))

まだ、健康な歯ぐきの人なら、ココ(歯の根元)は「歯」の一部ですが、

歯周病でそこを磨かなければならない多くの方々は、歯ぐきの位置が下がり、
そこはもはや、歯というより、「歯根」になります。

 実は、こういう「患者様の考えているところ」と、実際に「落とさなければ歯周病が防げないところ」、
この歯ブラシの毛先を当てて欲しい「場所が違う」というだけではなく、
実際に歯の形には丸みがあって、その左右表裏、円周全部を隅々まで磨くのは難しいため、
歯は本当に「磨いているのに、磨けていない」ということになりやすい場所で、
この言葉は間違いではないのですが、
(詳しくはコチラの記事をご覧下さい。『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』

この歯の丸みの他に、さらに、普段注目することの少ない「歯の根元に注目しなければならない」、ということが重なって、
ダブルで磨けていないということになっているという気がします。

 

なので、これからブラッシングするときは、歯だけでなく、歯の根元に注目してください。

 えー…、歯の根元に注目して頂きたいあまり長い話になりましたが、(笑)
歯周病予防と治療は、とにかく患者様自身が、歯の根元に注目し、歯ブラシを当てることがとても大切になります。

P1030456-cut1

こんな感じ。
歯の根元にポイントを絞って、45度の角度から歯ブラシの毛先を当てています。

少し別の角度から見てみましょう。
「バス法」は、歯と歯ぐきの境目のところに、歯ブラシを45度の角度であてます。
気持ちとしては、歯肉溝の中に毛先が入れるような感じですが、軟らかい歯肉を触るため、ここで力を入れて動かすのは避けます。

IMGP3951

ただ毛先を当てるだけのような力加減で、毛先の位置を全く動かさないで揺らすような感覚の方がいいかもしれません。

 慣れないと、最初からこのような角度で当てにくいので、
まず、歯の横に歯ブラシを置き、
P1030516

そこから毛先を滑らせて、角度をつけると、

P1030517

45度の角度で当てやすいかと思います。

これができたら、後は毛先を移動させずに、力を抜いて揺らすだけです。

(歯磨きの仕方は、必ず歯科衛生士さんのブラッシング指導を受けて実践されて下さい。軟らかい歯ぐきは力を入れすぎるとすり減るなど弊害の出ることもあるので、歯科衛生士さんに御自分に合った方法を聞いて磨きます。
(必ずしも御自分にバス法が合っているとは限りません)
歯科医院で「ブラッシング指導を受けたい」と希望すると受けられます。)

 

まず、一番にどこの部分の汚れを落とさなければならないのか、
どこが重要ポイントなのか、と意識して磨くことで、的確な歯磨きが出来るようになると思います。

白い歯の被せ物。保険と保険外の個人的な所感。

 「儲けようとしている歯医者」みたいなキーワードで来てくれた方がいらっしゃいました。

みたいなキーワード、と書いたのは、他にも似たようなキーワードで来られる方々がいらっしゃるからです。(笑)

本当に良い治療なのか、それとも儲けたいだけなのか、
金額が高額なので、疑いたい気持ちになるのも分かります。

今回はこのことについて書いてみたいと思います。

 先日、保険の白い歯の被せ物が、一部保険適用になった記事を書きましたが、
(コチラの記事。『平成26年4月。 今まで自費だったハイブリッドレジン冠(白い歯の被せ物)が一部、保険適用になりました。』

保険と保険外(自費)の被せ物の違いで、気になるのは、やはり値段的なことかと思います。

保険外(自費)の被せ物(冠)は歯科医院によって値段が違い一概には言えないので、目安ですが、だいたい一本8万円~15万円ぐらいだそうです。
治療する歯の本数が多くなると、百万円単位なんてことも。

そのお金、歯に使うなら、私が好きに使いたい。(笑)
歯も毎日見られるが、バックだって洋服だって毎日のように見られるわけで。
友達と行く食事も、日々楽しみたいわけで。
決してパソコンだけが趣味ではなく、あんな趣味も、こんな趣味も、あるわけで。(笑)

と、もし歯科のことを知らなければ値段だけ見て、私も思ったかもしれないのですが、

今、あえて、どこの歯科医院にも勤めていない(誰が保険外を入れても全く自分の儲けに関係ない)フリーの立場で言ってみると、
私なら白い歯の被せ物は、保険外(自費)を入れます。

値段的に全部は大変なとき、奥歯の金属(銀歯)は保険で入れることがあるかもしれませんが、
小臼歯より前の白い歯は、保険外(自費)を入れたいところ。

小臼歯とは、ここ。

P1030512-point3
犬歯の後ろの2本ですが、ここを金属にすると目立ちます。
なのでココから前の歯は全部、白い歯にしたいところです。
(下の歯の写真ですが、上の歯も同じ位置にある歯を小臼歯と呼びます。)

小臼歯については、前回記事で紹介したように、今回保険の白い歯の被せ物の選択肢が広がり、材質は上がりました。
新素材についてはまだ使い始めて間もない状態で、予後は分からないのですが、
主に今まで使われていたもので現在も保険適用中の小臼歯の白い被せ物の冠(硬質レジンジャケット冠)について、
(硬質レジンジャケット冠は今も保険適用中で、新たな材料も使えるという選択肢が(ハイブリッドレジン冠(CAD/CAM冠)が要件付きで)増えたということです)
個人的な所感を書いてみたいと思います。

小臼歯の被せ物で保険の物は、歯科医師に噛み合わせの圧に耐えられると判断された方だけが、
金属を使わない白い被せ物ができることになっています。
噛み合わせの強い方は、金属(銀歯)のみ保険適用。
また、金属を使って上に白い素材を付けた物は、犬歯までの前歯のみに適用されているので、保険では小臼歯より奥歯には使うことができません。

その保険の白い歯の材質はプラスチック。
そこに今回新たにプラスチックに陶器の粉を混ぜ込んだ物も要件によりOK、ということになったのですが、
その理由は、今までの保険の物の材質があまり良くなく、多くの歯科医師が積極的に使うことをさけたい冠としているからかもしれません。
(歯科医師の先生が硬質レジンジャケット冠の所感を書いて下さっているページを見つけました。『歯チャンネル88のサイトへ』

 よくネット上での質問に、保険と保険外の被せ物、どちらにしようか迷っている記事や、良い歯医者さん選びの相談の答えで、「自費を勧めるのは儲けたいから。きちんと保険で治療してくれる歯医者さんもありますよ」といった患者様同士でのアドバイスがあったりするのですが、

確かに、コスト的には、保険外を入れた方が歯科医院は儲かります。
なので、儲けようとして歯科医師が保険外を勧めているのではないか、と、疑われることも多々あるようなのですが、
(ネット上で初めて、こんなに疑われていたことを知りました。(笑) 
もう少し多くの方が、「本当に良い物だから勧めてくれるんだな」、と思ってくれていると思っていました。(笑))

ただ、正直に言うと、歯科医師や歯科衛生士が治療するとき、自分達には、なるべく保険外を入れます。
(とくに硬質レジンジャケット冠)
(データーもないですし、全ての歯科医師、衛生士、とはいえませんが、私の知っている方は皆さん自費。 私の第二小臼歯(小臼歯の奥側の歯)にも、自費で支払った保険外のセラミックの被せ物が入っています。)

歯科医師の先生が治療に来られることもありましたが、歯科医師や歯科衛生士が、保険の白い歯の被せ物を選択しているのを、私はまだ、見たことがありません。

もちろん、家計が困っているとか、とてもピンチなときは、そんなこと言っていられませんが、選択できるならそうすると思います。

 これには、審美的な見かけもありますが、耐用年数が大きく関係していると思います。

保険の白い歯、金属を使わない物の場合、その素材はプラスチック。
(H26年4月から、プラスチックに陶器の粉を混ぜ込んだ物が使えるようになりましたが、プラスチック素材なので、劣化(変色)はあるそうです。この新素材の長期的予後はまだ不明です。)
口の中の環境で、多くは数年~十数年のうち、たとえもう少し長く持たせることが出来ても、どこかで再治療になることが多く、一時的というか、どの時点かで再治療になることの多い素材だからです。

再治療になれば、その度に歯を削り、歯が小さくなり、また再々治療になっていって削り、繰り返して、被せ物が出来ないくらい歯が小さくなると抜歯です。

オールセラミックの冠(保険外)なども、歯周病や虫歯にかかれば治療になりますが、
少なくても、セラミック(陶器)自体はほぼ劣化しないため、被せた物じたいの経時的変化や材質で、再治療になることがさけられます。ブラッシング方法を覚えて歯周病予防ができ、PMTCに通ってクリーニングや管理をし虫歯にかからなければ、長く持たせられる可能性があります。

再治療をさけ、歯周病や虫歯を予防する。

このサイクルが整うと、長く健康な口の中でいられる可能性が高いので、きちんとしたブラッシング指導を行い、予防に努めて管理するような治療を心がける歯科医院としては、
材質が良くなく再治療になる可能性があると分かっているものを、安いからと言って安易にお勧めできない。
ということだと思います。

自費の治療を勧めただけでも、「儲けようとしているんだな」と思われてしまうこともあるようなのですが、
それだけではなく、強度や劣化、材質のデメリットもあって、保険外の被せ物をお勧めしていると言うことも、ご理解いただいた上で、ただ、金額のかかるものなのでそういう個人的な状況を考慮して、
患者様御自身が、保険か保険外か選択されるといいと思います。

平成26年4月。 今まで自費だったハイブリッドレジン冠(白い歯の被せ物)が一部、保険適用になりました。

 診療報酬改定で、今まで自費だった第一小臼歯、第二小臼歯(犬歯の奥側にある二本)の、ハイブリットレジン冠の一部が保険適用になりました。

第一小臼歯、第二小臼歯とは、この歯。
(手前、犬歯の隣がそれぞれ第一小臼歯、その奥が第二小臼歯。)

 P1030512-point3

犬歯の奥の二本なのですが、ここを金属にすると目立ちます。
なのでここをぜひ、白いもので被せたいところなのですが、

今まで保険の白い歯の被せ物、その白い部分は、使える材質がプラスチック(レジン)のみだったので、とくに金属を使わない物は正直お勧めできませんでした。
(硬質レジンジャケット冠等)

プラスチックは、材質も強くなく、劣化します。
日常生活の用品を使って御存知かとは思うのですが、プラスチックを長い時間厳しい環境にさらしたりすると劣化してしまったり、強い力を受けると壊れてしまいます。

口の中でも、プラスチック(レジン)の冠は、材質も強くなく劣化もある物で、どこかの時点で再治療となることが多く、半永久的に入れておけるのもではないという認識がありました。

さて、今回保険適用になったハイブリッドレジン冠。
白い歯の被せ物の材料はプラスチック(レジン)のみだったので、初めてプラスチック以外の素材も保険適用になった、ということだそうなのですが、
ハイブリッドレジン冠とはどういうものか、調べてみました。

 ハイブリッドレジンは、ハイブリッドセラミックとも呼ばれ、
プラスチック(レジン)にセラミック(陶器)の粉を混ぜ合わせて作られたものだそうです。

長所、短所の大まかなところとしては、

長所

・ 色が白く、歯に似ている。(審美性)
・ 硬さに弾力があり、噛み合わせの歯などを痛めない。(機能性)
・ 金属による歯ぐきの変色や金属アレルギーなどが起こらない。(安定性)

短所

・ 色調がセラミック冠には劣る。(審美性)
・ 時間が経つと変色する。 (審美性、安定性)
・ 割れることがあるので、噛み合わせ等により適用できない場合がある。(機能性)
(保険適用の物はハイブリットレジンのブロック塊から削りだして作るため、手作りで築盛して作るものより強度があるそうです。)
・ 口腔内装着後の長期的予後が、まだはっきりと分かっていない。

という感じだそうなのですが、
プラスチック(レジン)のみを使用した場合の弱点を、セラミックの粉を混入することで補強しているようです。

プラスチック(レジン)の強度などの短所を少しでも長く持たせられるようにカバーし、
陶器の硬すぎるという短所もない物だそうですが、
陶器の粉を混ぜ込んでいるプラスチック素材なので、変色じたいはあるそうです。
また、まだ取り入れて新しい素材のため、今後の長期的な予後については不明な部分も多く、未知の素材となっています。

 ハイブリットレジン冠は、全てが保険適用になったわけではなく、
「第一小臼歯・第二小臼歯のCAD/CAMシステムを用いたハイブリットレジン冠」で要件にかなったものが保険適用になったそうで、つまりは、手作りの物ではなく、歯を削って作った模型を機械で三次元的にスキャンし、それをもとに、コンピューターがレイアウト、ハイブリットレジンのブロック塊から削りだして制作したハイブリッドレジン冠(CAD/CAM冠 [キャドカムかん])で要件にかなったものが保険適用ということです。

今回保険適用になった背景としては、今まで(現在も)保険適用の白い冠(硬質レジンジャケット冠)の素材がそれほど良くないため、改善が求められてること、
歯科の技術革新が進み、CAD/CAMシステム(コンピューター)で製作されたハイブリッドレジン冠(CAD/CAM冠)は、製作過程において人の手間が大きく削減できること、また、保険適用で使われる金属の割合を減らし、保険費を削減しようという狙いがあるとネット情報で読みました。
保険点数は1200点(12000円相当)(H26.4現在)だそうです。

理想的な歯科材料を、保険の歯に適用することはコスト的に難しいと思いますが、
保険で出来る治療の材質が今までよりも少し良くなったということだと思います。

続き記事 『白い歯の被せ物。保険と保険外の個人的な所感。』

「テーパード毛」(極細毛)の歯ブラシの使用所感

 現在、歯周病用の歯ブラシには、「テーパード毛」という毛の形状がよく使用されています。
市販品に限らず、歯科用歯ブラシでも使用され、また宣伝も大きくされているので一般的な認知度も高いかと思います。

 「テーパード毛」は、毛先を細く細く削っていった極細毛のこと。
毛の先端にいくほど細くなり、断面の少ない、いわゆる穂先の毛のような形となっています。

生まれたての赤ちゃんの毛髪ように、一度も切られたことのない断面のないような毛先の形、なのですが、
歯ブラシに使用するテーパード毛は、頭髪のイメージとは違い、「すくっと直線で立っている」。
根本はしっかりしていて強く直線で立っているのに、毛先が極細なので、
つまり少し、「針」のようなイメージ。
ただ、よく見ると、毛先の先端部分は、ナイロン毛が細すぎて直線ではなく先が曲がり、右に左に揺れる柔らかな感じ、
この細さで歯ぐきへ当たった感じは針というほどではなく、一見、柔らかな印象になります。

さて、このテーパード毛(極細毛)。

実はこれを、どうとらえて良いのか…。

 テーパード毛にも太め細めがあり、歯ぐきの敏感な方、痛くなりやすい方は細く軟らかい方がよいそうです。

私は「歯ぐきが敏感な方、痛くなりやすい方」だったようなのですが、気づかずに太めを使用してしまいました。
正直、使ってみてびっくり。 初めて自分が「歯ぐきが敏感な方、痛くなりやすい方」だったと気づいたのですが、時すでに遅し。
太めのテーパード毛の歯ブラシで、毛先を歯肉溝に入れるような磨き方(バス法)をしてみたら、
チクチク感、使用後のヒリついた感じがあり、ブラッシング後にもこの感じがしばらく残っていました。
私の歯ぐきは健康で、ブラッシングによる出血も傷も、肉眼では確認されないのですが、
テーパード毛ということを意識せず、普通の歯ブラシのように毛先を歯ぐきの方に向けたバス法で磨いてしまったことで、たぶん、目に見えないミクロの世界で歯ぐきを擦ってしまったのだと思われ、
この歯ブラシは、この磨き方では、私の歯ぐきには合わないな、と思ったのですが、

この歯ブラシを使うと、確かに歯ぐきの炎症は取れる。

 チクチク感、痛みがでやすいので、磨き方には注意が必要。
でも、歯ぐきの炎症を取る効果のある毛先。

なに? このブラックジャック的な感じ。(笑)

腕はあるけど、一癖ある、みたいな?。(笑)

チクチクするのに売れている、皆は痛くないのかな?
と思って調べてみたところ、確かな情報ではないのですがネットで、3割ぐらいの人に痛みがでることがある、みたいな文章を発見。
ネット情報で3割と読んだだけなので、この数字の信憑性は不明ですが、どうやら痛みの出る少数派に、入ったようです。

 テーパード毛の、チクチクとした刺激は、
先端が細くなっている分、針のような構造になっていて、組織に刺さる、という感覚だと思います。

これは、毛先の表面が細く軟らかくても、根本はしっかりしていて、毛自体は強く真っ直ぐ立っているため、
毛先に指を当てて押しつけると、
どこかの時点で、「刺さる」感じがする。
当たる面積が極狭くなる分、同じ力でも意外に刺激が強いと思います。

例えば、歯周病治療の為の歯ブラシとしては、テペ歯ブラシのエクストラソフト(ラウンド加工(毛先を丸くする加工)が施された、普通の毛先の歯ブラシです)も有名ですが、
(テペ歯ブラシの使用所感記事。『スウェーデンで約8割が使用する 「TePe (テペ) 歯ブラシ」』

こちらは、一本一本の毛先が当たった場合にも、丸く加工された毛先断面の面積がある程度あり、その全体で力を受け止めるため、組織に当たる面積が広く、刺さるという感じはあまりありません。
さらに、毛の硬さが大変軟らかく、植毛の本数を増やすこと(高密度植毛)で、多くの毛が同時に歯ぐきに当たる構造なので、歯ぐきにかかる力を分散し、当たったときの刺激をなるべく低く抑え、
少しの刺激でも出血、傷になる、歯周病の軟らかい歯ぐきにも使える工夫をしています。

  テーパード毛は刺激が強く、使い方と、その方個人の歯ぐきによっては、ヒリつく感じがでることもあるので、かなり上級者向きの歯ブラシなのかもしれません。

歯科医に必要だと認められたときに、歯科医院で使い方をきちんと教わり、指示どおりにつかうべき歯ブラシだと思います。

私の使い始めの所感としては、
歯周病治療のブラッシングは、このテーパード毛が必要と言い切れる歯ぐきの状態は、そんなに多くなく、
普通のナイロン毛をラウンド加工している歯ブラシのほうがが無難で広く使いやすいのではないかと感じています。

 歯科衛生士は、歯周ポケット(歯肉溝)の深さを測定する時、
歯肉溝のなかに細い器具を入れて歯肉溝の底に触りますが、

ただその時、決して力を入れず、そこが傷つかないように細心の注意を払っています。

歯肉溝の中にテーパード毛を入れることで、確かに歯ぐきレベルは改善されることもありますが、
それを普段あまり意識せずに力強く行うと、目には見えなくてもそこは傷がつきます。
そう考えると、一般的な歯周病治療に必ずしもテーパード毛を使う必要はなく、
まず、普通の毛先の歯ブラシで歯垢を落とし、歯ぐきの炎症を改善して、健康な歯ぐきにすることを前提に、
それでも、症例によって、普通の歯ブラシよりこのテーパード毛の歯ブラシのほうがいいというケースがあれば、ケースバイケースで使うのがいいように感じました。

 現在、テーパード毛を使った歯ブラシの宣伝を見ると、
この細く細く削られた毛先が歯肉溝に入り込み、歯肉溝(歯周病ポケット)のなかの清掃をする効果があるのだそうです。
また歯周ポケットにやさしい、という説明もあり、必ずしも私の使用所感が歯科全体の意見ではなく、
テーパード毛には、歯科医師の中でも賛否両論あるようです。

 このテーパード毛の毛先で、歯肉溝の中の歯垢がおとせるのか、というと分かりませんが、
歯肉溝に迫る細部、細く入り組んだ部分を毛先が触ることで歯ぐきレベルは改善することもあるように感じます。
実際に使ってみると、テーパード毛が歯肉溝のなかに入り込んでいくのを、肉眼でも見ることが出来ます。
問題は、毛が垂直方向に当たったときの圧が強く、歯肉溝の底に毛先が当たり、押されたり刺さるような状態になりやすいことなのではないかと感じています。

どちらかというと高度で上級者向き。針にちかい感覚もあり、間違った使い方をしないように注意がいります。
歯肉溝の中に毛先が入るということは、そこに作り上げられている細菌叢が全く邪魔されることなく活発に歯ぐきの炎症物質を出している状態の、細菌叢の一部を崩し、少しでも炎症物質の出にくい状態にすることが出来るので有効だと思いますが、
このテーパード毛を使用するようになってからの期間が短く、まだ長期的予後について不明なため、一般の方々が長期間使い続けて何か弊害がでてくるのかこないのかは、現時点では判断がつきにくいところだと思いました。

  確かに歯科衛生士が歯肉溝内を意識した清掃をすることで、PMTCの効果を上げることを思うと、
この毛先は、歯ぐきの状態には効果的に変化をもたらすことができるかも知れません。

 ただ、このテーパード毛の歯ブラシは、極細すぎる毛先先端のため長さも微妙に不揃いで「ここの歯垢を」と場所を的確に狙うことは難しく、
針のように細く刺さる上、直線で当たったときの圧が、かなり強いことを考え、
また極細の毛先は肉眼で確認できなくても、かなり早期に痛んでしまうこともあり、

場合によって使うことのある歯ブラシかと思いますが、
私の個人的な所感としては、自分の歯ぐきに合わなかったこともあり、万人向きではない歯ブラシなのかもしれないと思います。

以上が私のテーパード毛の歯ブラシの使用所感。

歯ぐきの炎症をとる効果はありますが、適用するケースや技術が必要なところのある歯ブラシ。
歯肉溝という繊細な場所に入り込める分、注意が必要な歯ブラシ。といったところです。

 使うときは自宅でPMTCの一部をするぐらいの慎重な感覚で、歯肉溝の底を垂直に強くつつくことがないように注意する必要があります。

歯ブラシでテーパード毛ではないものでも、歯垢を落とせば歯周病予防は出来ます。
普通の毛先の歯ブラシで歯と歯ぐきの間(境目)に毛先を当て、力を入れず細かく動かせば、
歯ぐきの炎症が引いてくる状態を確認することができます。

 テーパード毛の歯ブラシは、もう少し使い込んだら、所感も変わってくるかも知れませんが、現時点ではこんな感じです。