なぜ、「磨いているつもりで、磨けていない」のか? 実は歯磨きに最適?! というほどでもない歯ブラシ。 

 歯磨きで、「磨いているつもりで、磨けていない」は、よく聞く言葉です。

「磨いている」のに、「つもり」と言われてしまうと、

ガーン!という感じですが(笑)、

実際に、「歯ブラシ」を使って歯を磨くとき、
歯の形(曲線)に歯ブラシの形(直線)が合わず、
当てたとき、歯に歯ブラシが接する面積が少なくて、
意外に汚れが取れていない、という状態になります。

この状態をお知らせするために、歯科で使われるフレーズかと思います。

 この検証、以前の記事 『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』 でも書いたのですが、

 普通にしがちな歯磨きは、

まず歯に歯ブラシを当て、

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そこから前に動かし…、

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後ろに動かす。

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 歯ブラシを歯に当て、そのまま前後にシャカシャカ動かして磨く、いわゆる普通?の歯の磨き方ですが、

今、歯ブラシで磨けていた部分、青い線の所だけだったことが分かりますか?

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 歯の出っ張った部分、外側だけに毛が当たり、
そこでブロックされて、その奥には毛先が全く届かない状態。

歯の形を円、歯ブラシの形を直線、とイメージすると、
当てたときに外周の一部しか接しない感じがつかめるかも知れません。

実際に毛先が歯に当たっているのは、
青い線の部分だけです。

 1本の歯に注目して見てみましょう。
歯ブラシを当てたとき、歯に毛先が当たっているのは、ココだけ。

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歯ブラシを当てても、歯に当たって磨けている部分は青い線のところだけで、
赤い三角の部分は、全く毛先が届かず磨けていない状態になります。

もう少し、力を入れて磨けば……と思うかも知れないのですが、

結局、歯ブラシの毛は直線。
その直線を丸い曲線の歯に当てると、歯の形の一番外側に出ている部分だけが歯ブラシに当たり、
そこでブロックされて、その奥に毛先は届かない形になります。

力を入れても、当たっている青線の部分に圧が強くかかるだけで、歯と歯の間にはあまり毛先が届かない状態。

 多分、これが多くの方の「歯磨き」、
「磨いているつもりで、磨けていない」の状態かと思います。

 普通「歯の磨き方」を習わないと、このように細かいところに毛先の届かない磨き方になることが多いため、

これを回避するために、奥の方にも入れ込むように毛先を細かく動かして磨いたり、
毛の向きや角度を傾けて、普段磨けないところにも毛先が届くように気をつける、等々ということをお伝えするブラッシング指導が行われます。

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例えばバス法は、毛先を斜め45度にすることで、歯周病の原因菌が溜まりやすい歯と歯ぐきの境目を清掃できる、と同時に、歯と歯の間にも比較的毛先がとどきやすくなる。

また、歯ブラシの形を、歯と歯の間などにも毛先が届くように工夫して作られている歯ブラシもあります。

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ジーシー ルシェロ B-20 歯ブラシ。

使ってみると、この先端の山形の毛先が、
他の毛より長いため、通常では届かない歯並びの凸凹した所に、毛先がしっかり当たってきます。

例えば上から当てても、こんな感じ。
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  歯ブラシは、歯を磨くための専門のブラシですが、
歯の形が複雑なため、なかなかピッタリと合うブラシの形にはなりません。
それを少しでも歯垢の取れる歯ブラシにするため、多くのメーカーが研究し、競い合っているという感じです。

 歯科医院でもこの状態をお知らせし、少しでも歯磨きで歯垢を多く取れる方法をお知らせします。
歯ブラシだけで歯垢の取れにくい部分に、歯間ブラシやフロス、ワンタフトブラシなどを使ったり、
歯間に入りやすい歯ブラシを使って、歯ブラシを歯間にも挿入する磨き方をするなど、
いろいろなブラシと、磨き方を工夫し、病気の原因菌である歯垢を少しでも多く取って患者様が長く歯を残せるようにブラッシング指導をしている感じです。

 歯ブラシもブラッシングの方法も、日々考えられていて、
多くの種類のブラシや、ブラッシング法も出てきます。

ということで、次回は、「磨いているつもりで、磨けていない」を回避しやすいブラッシング法について、また考えてみたいと思います。

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