今回は、歯周病を予防、治療する際の、具体的なブラッシングのポイントについて書いてみたいと思います。
まず、歯周病の原因となる細菌(歯垢(プラーク))。
これがどこにいるのかを把握してみましょう。
ココの歯垢が取れれば、歯周病は劇的に改善することが多くあります。
「歯周病予防の歯磨きでは、『歯と歯ぐきの間』を磨いて下さい。」と聞いたことがあるかも知れないのですが、
この「歯と歯ぐきの間」、
正確には、ココ…
…、では、ありません。
「いやいや、ここも歯と歯ぐきの間でしょ?」
と言われてしまえばその通りなのですが、(笑)
そして私も、細かく説明する時間の無いときは、ついつい「ココ」とお知らせしがちなのですが、
間違いではないけど、
円周率を3.1415926…ではなく、ゆとり教育で「3」と教えちゃうみたいな。
少しはしょった感のあるお伝えの仕方というか。(笑)
フロス(糸)が、『歯と歯ぐきの間』に入りこんでいるのが分かりますか?
この隙間を『歯肉溝』または『歯周ポケット』と呼ぶのですが、ここに入り込んだ歯垢(プラーク)が、歯ぐきや、歯を支えている骨(歯槽骨)を攻撃するのが歯周病です。
ただ、歯ブラシでこの隙間に入り込んだ歯垢までをとるのは、限界がある。
なので一見、どちらを「歯と歯ぐきの境目」だと認識しても変わりがないのではないか、と思われがちなのですが、
これを知っているのと知っていないのでは、磨くときの意識が違い、歯垢の落ち方、歯周病改善の度合いが変わってきます。
例えば「バス法」は、この「歯と歯ぐきの間」の歯垢を少しでも多く落とすように磨く、歯周病に有効なブラッシング法なのですが、
この正しい「歯と歯ぐきの間」の場所を知り、意識すると、比較的間違いなく、ブラシの毛先を的確に当てられるようになります。
歯ブラシ毛を歯に対して45度の角度で当て、毛先を『歯と歯ぐきの間』 … 『歯肉溝、または歯周ポケット』の中に入れるように磨いているのが分かりますか?
実際に、歯肉溝に毛先がどれだけ入っているか、という問題よりも、
そこを意識して歯ブラシを当てることで、歯周病の原因となる歯肉溝に入り込む歯垢を、意識しないときよりも多く落とすことが出来ます。
ブラッシング、最大の肝は、「当て方」です。
細かく言っていけば色々あるブラッシングですが、
歯周病予防、とりあえず、「当てること」ができれば、なんとかなります。
(というか、ここを始めなくては、先がありません。)
どこの歯垢を落とすと効果的なのかを意識して、「当て方」をまずマスターします。
慣れないと、最初からこのような角度で当てにくいので、
まず、歯の横に歯ブラシを置き、
そこから毛先を滑らせて、角度をつけると、
45度の角度で当てやすいかと思います。
この時、ぜひ『歯肉溝、又は歯周ポケット』を頭の中で意識されて下さい。
まずは、これをマスターするところから。
(この続き、詳しいバス法は、こちらの記事に書いています。
『9, 後半 「歯周病予防の歯の磨き方。ブラッシング指導。」 詳細。』
参考にされて下さい。)
さて、歯ブラシには、歯垢を落として清潔にする、という目的がありますが、
一方でやり方を間違うと、歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきがすり減ったり、などという弊害もあります。
前歯など、歯ぐきがすり減ったりするのを極端にさけたいところなので、
症状によっては、バス法を使わないこともあります。
歯肉溝に向けて歯ブラシを当てることが、合わないなと思う方には、前歯へのバス法をお勧めしません。
フロスで歯肉溝の細菌が落とせますので、そちらが有効だと思います。
必ずしも歯肉溝の中に歯ブラシの毛先を入れ込むようにまでしなくても、歯ブラシを優しく当てると「キワ」の歯垢は取れます。
力を抜いて優しく、細かく歯ブラシを動かして、傷や弊害のおこらないようにキレイに磨いていきましょう。
次回は、その弊害に気を付けた歯ブラシの動かし方のポイントなどについて書いてみたいと思います。
(歯ブラシの当て方、皆様個人が当てて良いかの判断は、その方の症状によって違い、このサイトで皆様の症状をみないままお勧めすることはできません。
ぜひ歯科医院でブラッシング指導に入って頂き、皆様個人の症状に合う方法を習って下さい。
症状ややり方によっては傷が付いたり、歯ぐきがすり減ったり、弊害がでることもあるので、このサイトのやり方だけを見て実践するのはよくありませんが、
現実に歯科医院でブラッシング指導を受けられている方のため、ブラッシングの理解をより深めて頂く参考資料としてお読み頂ければと思います。)