日本人の多くが毎日歯をみがきますが、
8割以上が歯周病に罹ります。
歯垢が少なければ、歯周病にはなりませんから、
「歯磨きしているのに、歯垢が残っている」という状況が、あるのです。
そこで、歯周病にかかられた患者様には、たいてい、歯科医院で歯の磨き方、
ブラッシング指導が入ります。
でも、なぜ今まで通りの磨き方では歯垢がとれないのでしょうか?
普通に歯ブラシを口に入れ、歯磨きしているのに、柔らかい歯垢がとれない、
歯を磨いてるのに、キレイにならないなんて一見、不思議で仕方がありませんが、理由の一つは、歯の形にあると思います。
今日はそれを検証してみたいと思います。
では、歯ブラシを歯に当ててみます。
そこから前に動かし…、
後ろに動かします。
歯列に沿って歯ブラシは動くので、手前の歯が少し大きいと、一番奥の歯には全く毛先が届きません。
(これを改善するには、この位置のまま歯ブラシの柄を頬側に傾けます。
詳しくはこちらの記事。『9, 後半 「歯周病予防の歯の磨き方。ブラッシング指導。」 詳細。』)
よく見られる、2,3歯分を一度にシャカシャカと磨く歯ブラシの動かし方ですが
歯ブラシで磨けていたのが、「青色の線の部分だけ」だったことが分かりますか?
実際に毛先が歯に当たっているのは、
青い線の部分だけです。
1本の歯に注目して見てみましょう。
歯ブラシを当てたとき、歯に毛先が当たっているのは、ココだけ。
こんな感じです。
(赤い三角の部分は全く磨けません。)
もう少し、力を入れて磨けば……と思うかも知れないのですが、
実は力を入れても、当たっている青線の部分に圧が強くかかるだけで、歯と歯の間にはあまり毛先が届かない状態が続きます。
実際には、歯ブラシの回りの毛ははねて、毛先で歯垢を捕らえることが難しくなり、
また、毛先の広がらない歯ブラシで磨いても、青いところに強い圧がかかって、赤い部分はあまり磨けないという結果です。
多分、これが多くの方の「歯磨き」の状態です。
歯ブラシの毛先ではなく、側面を利用した磨き方なら届くはず。ということで、(かどうかは全く定かではありませんが、)
以前、ローリング法という歯磨きの仕方が全盛でした。
歯ブラシの脇腹を使う方法で、上の歯は歯ブラシの毛先を上に向けて、歯ブラシの脇腹を歯ぐきに当て、そこから下ヘ手首を回転して歯ブラシの毛を降ろして磨き、歯ぐきと歯を同時に清掃する(下の歯は向きを逆にする)という方法でした。
ただ、歯垢除去ということでみると、
歯ブラシの脇腹で歯と歯ぐきの境目の歯垢を落とすのは難しく、歯垢が落ちにくいということで、今は主流ではなくなりました。
実際、歯に付いた歯垢は歯ブラシの毛先で多く落ちます。
なので今日は、その毛先を歯垢に当てる方法をお知らせしたいと思います。
まず、写真で見た「磨いているのに、歯ブラシの毛先が届いていない状況。」
これを回避するため、
1,歯ブラシを細かく、小さく動かす。(1歯1歯磨く感じです。)
2,歯の形を理解する。
ということが必要かと思います。
さて、分かりやすくするため、上の前歯で見てみましょう。
前述の磨き方で気になる磨き残しは、ピンクの部分です。
そこで、歯の表側を磨くとき、「3面」を意識します。
「手前側」の面に毛先を直角に当ててみます。
歯面に対して直角に歯ブラシの毛が当たると、歯垢が落ちやすくなります。
奥側の面
そして、正面。
裏側を磨くときも同じ。
手前の面。
奥側の面
そして正面です。
下の前歯の裏側は、舌に当たるところなので、この磨き方をすると、歯垢がとれてすっきりした感じが実感していただけると思います。
奥歯の磨き方は、前歯のように3面に対して毛先を直角に当てることはできませんが、2,3歯を一度に磨く大きな動かし方ではなく、1歯だけを磨くように細かく歯ブラシを動かして、奥の面と手前の面に毛先が届くよう意識して磨いてください。
この他の歯磨きの記事、よろしければコチラからお読み下さい。
『8, 前半 『歯周病予防』のためのブラッシング指導。ぜひ受けて頂きたいので、その様子を書いてみました。』
ただ、歯ブラシの毛先が歯ぐきや歯に付いているときは、力を入れてはいけません。
もう、「歯磨き」という言葉のイメージから離れるかと思われますが、
「歯を、ブラシで擦って磨くイメージ」ではなく、「あまり力を入れずに細かく揺らすイメージ」です。
力を抜いて、毛先はほとんど移動しない、ただ振動している位の、細かい動きにしてください。
数ヶ月同じ歯ブラシを使っても毛先が開くことがないような圧です。
(実際には毛の弾力がなくなるので1ヶ月ほどで歯ブラシは取り替えて下さい。)
サイトでは皆様お一人お一人の実際の状態は分かりませんので、ぜひ、参考にして歯科医院の歯科衛生士さんにみてもらって下さい。
よろしければこちらの記事もご覧下さい。(^^)
・ 「なぜ、開いた歯ブラシは取り替えるべきなのか?」