実はスゴイ! 「フロス」

 「デンタルフロス」。 御存知ですか?

 「糸ようじ」なども有名なので、一度は使われてみた方も多いかと思います。

ただ、「買った」という方は多くても、「全部使い切った」という方はどうでしょうか?

「見た目も『糸』だったけど、
使ってみてもやっぱり『糸』で、特別汚れが取れている気がしなかった」
という方もいらっしゃるかも知れません。

そう、デンタルフロスの一つの特徴は、
「見た目も『糸』」
「使い勝手も、やっぱり『糸っぽい』」
みたいなところ。

そのスゴさを知らなければ、使い続ける気の起きにくい、
ちょっと使いづらくて、意味の分かりにくいアイテムです。

ただし、これを使うと、ライバルとの差は歴然。

皆が使わない、ということは、使えばダントツ美しくなれる。
口臭も相当減る。
私がオバアさんになっても、歯が残る。

実は「肝心なところ」の汚れを、ピンポイントで多量に取れ、笑顔の口元、歯ぐきの美しさはケタ違いにレベルアップ。
歯の喪失予防、口臭予防に最適な、裏ワザ優れものアイテム。

 デンタルフロスとは、このような物です。(各メーカー様々あります。)


 やっぱり否めない、「糸でしょ?」感。(笑)

一体これの何がスゴイのか。

 フロスの凄さ、一番は、
一見、見えない歯ぐきの下の部分(歯肉溝又は歯周ポケット)に、もぐりこんでいる菌そのものを、直接ごっそり取り、除去できることにあります。

 写真のフロスが、歯と歯ぐきの間の、歯ぐきの下(歯肉溝)に入りこんでいるのが分かりますか?
(歯周病になって「歯肉溝」が3㎜以上の深さになった場合、ここを「歯周ポケット」と言います)

 歯周病は、歯と歯ぐきの間にプラーク(細菌)が入り込み、歯ぐきの炎症を引き起こすところから発症します。
 歯周病では「フラップオペレーション」という手術が行われるのですが、歯ぐきを切って開き、歯ぐきの下にある歯根に付いた歯石や汚れ(プラークが住みつく要因)を直接見て取る等の手術です。
 このように書くとかなりオドロオドロしい感じですが、歯科医院の局所麻酔で、よく行われます。

 つまり、歯周病は歯と歯ぐきの間にある、原因菌(プラーク)を取ることが出来れば、大きく改善する病気なのですが、
「フラップオペレーション」のように、麻酔をかけて歯ぐきを開かなくても、
フロスは日常、痛み無く、この「歯と歯ぐきの間にある、プラーク(細菌)を、直接取ることの出来る」アイテムです。

 もちろん「フラップオペレーション」は、フロスではとれないほど奥についた場所の、
フロスでは取れない歯石などを取る手術なので、歯周病が進んでそこに歯石等が付いてしまっている方は、フロスでだけで治癒させることは不可能。手術の必要がある、ということなのですが、
(フロスは柔らかい歯垢(プラーク)しか取れません。歯石は歯科医院に行って取ってもらうしかない硬くこびり付いたものです)
 歯周病になる前の段階で、フロスで歯周病を予防することは可能ですし、
歯周病でフラップオペレーションを受けた後にも、もちろん清掃は有効です。
(歯周病は一度改善しても、歯垢(プラーク)が多く付けば、また再発します。)

 歯周病は、歯肉(歯ぐき)の炎症から始まるので、
この歯肉炎のうちに炎症を抑えてしまえば、歯周病にはなりません。

炎症の原因となっている菌は、フロスで直接ごっそり取り去ることが出来るので、
菌としても、歯ぐきの炎症を起こし続けることが出来ない。

結果、フロスを使うと、歯ぐきの炎症は良くなっていく。
ということになります。

 

 フロスが歯肉溝に入る様子が写真で見えます。

上と同じ写真です。

写真の歯ぐきの美しさ、フロスの効果がわかります。

 

 こんな感じで、歯ぐきの下、奥に入り込んで、
歯ブラシに触られることもなく、空気もさけ、
活発に活動して、歯ぐきを腫らし、炎症を起こし続ける細菌を、直接取り除くことができます。
もし、フロスを入れなければ、ここは病原菌の安全地帯。
どんどん活動して、歯周病を進行させていく場所でもあります。

 この歯肉溝(歯周ポケット)の中に入り込んだ菌(プラーク)のことを「ジンジバルプラーク」と言います。
そしてこのジンジバルプラークこそ、歯周病の原因です。

 歯ブラシで歯周病の原因になっているプラークを取るのにはコツや知識が必要で、
患者様自身がブラッシング指導を一度受けても、なかなか歯周病の原因になっている部位のプラークを的確に除去することが難しい、と感じる場合も多いですが、
(ブラッシング指導は定期的に何度か受けて頂くのが良いと思います。)

フロスの場合、一度コツをつかんでしまうと、除去しなければならないプラークの位置を間違わず、的確に取りやすい。
 また、歯ぐきに無理がかかりにくいので、歯肉退縮を起こしにくい。
歯ぐきをあまりすり減らさずに美しい歯ぐきのままいられる可能性が大きい、というメリットがあると思います。

 実はここが、フロスの凄さで、私がもう一つ感じるところなのですが、
「歯磨きに自信が持てる」、ということ。

歯ブラシなら、
「歯と歯ぐきの境目を的確にとらえて、歯ブラシを当てられるとき」ばかりでなく、
磨き残したり、歯垢がついたままのところがでて、

磨いているつもりでも、磨けていない。
ということがあるのですが、

これが、フロスには少ない。
歯と歯の間にフロスを入れ、右の歯、左の歯、と擦って、引き抜く、
それを順番にフロスを入れていけばいいだけなので、
歯の隣接面を磨いたつもりで、磨けていない、ということに、
歯ブラシよりなりにくい。
磨くところが限られていて、比較的、的確に歯垢が取りやすいと思います。

さらに、歯ぐきに炎症を起こす最大原因である歯肉溝内のプラークが直接取れるので、炎症が進まず改善しやすい、
という大きなメリットもあります。

 定期的に歯科医院でのケアを受けながら、歯ブラシと併用して、自分に合った安全なフロスの使い方が出来れば、歯ぐきはかなり健康な状態に保たれ、歯周病とは無縁な良い状態に予防することが出来ると思います。

フロス関連記事
・ 『「フロアフロス」 太くなるフロスで、効果てきめん。』
・ 『「ルシェロ フロス」は膨らむタイプ』
・ 『フロスのデメリットと、使い方。』

オススメ記事。

・ 『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』

・ 『なぜ、開いた歯ブラシは取り替えるべきなのか?』

・ 最大手GCの高機能歯ブラシ 「ルシェロ 歯ブラシ」。   ジーシー ルシェロ 歯ブラシ B-10M/S 

・ 患者様が、歯科衛生士の指導通り磨かない理由、を考える。

コメントは受け付けていません。