歯周病での抜歯は、40歳代で目立ち始め、50~60歳代で抜歯数のピーク…、
ということで、つまり、歯周病はどちらかというと中年以降の病気。
そのため、若い頃に歯磨きをする意味を見いだせない方も意外と多い。
「歯磨き 意味が無い」。
最近、ネットで見つけてしまった検索フレーズです。(笑)
ちなみに、「歯磨き 必要性」、というフレーズも発見。(笑)
みんなそんなことを疑問に思って検索していたのか?!
ネットは新発見の宝箱です。(私にとって。(笑))
虫歯になりますよ。
というところですが、
時々、磨かなくても、ならない方がいる。(笑)
歯垢(菌)は、虫歯になる要因の一つですが、歯垢が付いているということだけで即虫歯になるわけではなく、
そこに餌になる甘い物が入るとか、食べものが口の中にある時間の長さ、体質等、他の要因も複合されて虫歯になると言われていて、現実的には歯垢が付いている患者様全員が、必ずしもすぐ虫歯になるとは限りません。
要因は重なりやすく、日本人の約9割の方が虫歯にかかった経験をもつそうなので、
虫歯になられたことのある方は、要因を取っておこう、きちんと歯を磨こう、と思われる方が多いようですが、
体質などにより、虫歯になったことがない方は、
「磨かなくても、虫歯にならない」ということを、実体験として感じるので、
もはや歯を磨く意味さえ、見いだせなくなることもあるようです。
さて、そんな虫歯にならない健康な歯をお持ちの皆様も、
高確率でかかってしまう病気。
それが歯周病です。
歯周病の罹患率は他の病気と比べてもとても高く、8割くらいの方は、歯周病になるそうです。
虫歯になりづらい方は、歯周病になりやすい、と聞いたことがあるかもしれませんが、
私自身、歯科医院の診療の中でもそれを感じることは多かったように思います。
虫歯が無くあまり歯科医院に行く機会のなかった方は、
歯ぐきの下で歯周病が進み歯を植えている骨(歯槽骨)がかなり溶かされた状態で来院されるため、
多くの歯を一気に失ってしまうことが珍しくありません。
虫歯が無く、真っ白な抜いた歯を見ると、「歯周病だな」と思います。
手遅れにならないためには、歯周病でも虫歯でも無いときから、歯科医院に定期的に通って、
歯石除去、クリーニングなどのケアを受けることですが、
一度でも歯周病にかかり進んでしまった歯は、「歯間乳頭」が無くなってしまうことが多々あります。
昨日の記事 『美しい歯間乳頭を残す。』 でも書きましたが、
歯周病になると、この歯ぐきの三角形の尖りが消失して一直線状になるため、
歯と歯の間を埋めていた歯ぐき(歯間乳頭)が無くなって、歯と歯の間は空いて見えるようになります。
ある程度の年齢以上になると、そのように空いてしまった方の歯や歯ぐきをよく目にするようになりますが、
これを防ぐためには、
「歯周病にかかる前」に予防する必要があります。
これが、若いときから歯を磨く、一つの理由になるかもしれません。
一度、歯周病になり進行してしまったら、治療に入って炎症が引き歯槽骨が溶けなくなり、病気自体は治っても、
跡は残ってしまいます。
消失した歯間乳頭を戻すことはできません。
また、別の話になりますが、
サブリミナル効果というのがあります。
以前、清涼飲料水のCMの中に砂漠の映像を意識できないほど短いカットで入れ、
無意識の中に渇きをイメージさせて売上げを増やした、ということで有名になりました。
この効果の是非はまだ議論があるようですが、
人は目にはっきり意識しなくても、無意識の中で認識している事柄があります。
スッキリと片づいた清潔な感じ、
片づいて何も出ていないのに、どことなく薄汚れている感じがする。
同じように整頓されていても、一拭きされているのと、されていないのでは違います。
前歯を一本黒く塗ったコントもありますが、
人と向き合うとき、前歯はほぼ、「見えているところ」です。
歯垢は歯と同じ白色で、意識できるほど、汚れている、という感じには思わないかも知れませんが、
人の五感に、どことなく清潔でない感じ、という印象は伝わっているように思います。
本人には気づかない口臭も気になるところです。
逆に歯に歯垢の付いていない感じ、よく磨けている感じは、私が歯科衛生士で職業柄、歯に注目してしまうからそう思うのか、
皆さんもそうなのか分かりませんが、
はっきり分かります。
若い方もぜひ歯は毎日磨いて、清潔で爽やかな印象をアピールされるといいと思います。