なぜ、歯磨きは、歯ブラシに力を入れて磨いてはいけないのか?  傷つけないことだけ、ではない力加減。

 なぜ、歯磨きは、歯ブラシに力を入れて磨いてはいけないのか?

え?
それは当然、歯ぐきが傷つくからで、
すり減ってきたり、歯ぐきが下がって歯が伸びるように見えてきたり…。

というところですが、正解です。(笑)

何しろ、磨かれる対象物が、「歯や歯ぐき」。
やわらかい歯ぐき、にいたっては言わずもがな。
歯は硬いですが、毎日ゴシゴシ磨かれれば凹みが出てきます。

よく、「お像」の、
頭を触れば、頭が良くなるとか、
身体を触れば、その部分の病気が治る、と言われ、
みると、そこがツルツルで凹んでいたりします。
 足元に接吻すると良い、とされるキリスト様のお像は、
どう見ても硬そうな足の金属が、見た目でもハッキリ分かるほどへこんでいて、
どんだけ強いんだろう、人の唇って…。
と、思うほどです。

 さて、もう一つ、
実は、歯磨きの時に力を入れないほうが、逆に汚れが落とせる、ということもあります。

えっ? マジで?
という感じですが、(笑)
本当です。

 歯垢を一番落とせるときの歯ブラシの毛の状態は、
歯に歯ブラシの毛先を当てるとき、歯ブラシの毛が真っすぐになっていること。
いわば歯ブラシの毛が「つっぱり棒」になったかのように突っ張る。
(毛が曲がらずに真っすぐ毛先が歯面に当たる。)
この突っ張りが無ければ、歯垢はなかなか取れません。

これを写真で見ると、こんな感じ。

P1030554

P1030549

(歯ブラシの毛が真っすぐで直線である、上の写真のほうが歯垢が取れます。
こちらの記事にも書いています。『なぜ、開いた歯ブラシは取り替えるべきなのか?』

とくに最近は、「やわらかめの歯ブラシ」を使っているケースが多く、
これが古くなってきて、毛の一本一本ばらけかけたところに、
さらに磨くときに力が入ったりすると、毛先がかなり曲がりやすい状態になるのですが、

毛の曲がってしまった「やわらかめの歯ブラシ」
の歯垢除去能力は、格段に落ちます。

力を伝えるための直線のベクトル(矢印)が曲がり、
力が伝わりにくくなり、分散して逃がされてしまうからです。

つまり、
歯ブラシは、力を入れて毛を曲げてしまうよりも、
力を入れないで真っすぐな毛の直線をキープした方が、歯垢が落ちます。

密度も、ある程度は高密度のほうが、一本一本の間の隙間が少ないため、
真っすぐな状態を保ちやすく、突っ張り感が増すことと、
また歯垢を取る面(毛先)も、本数が増えることで面積も広がるので、歯垢が落ちやすいと思います。

 この「突っ張り」を利用することを、「毛の弾力を使って磨く」というように表現することが多いのですが、
毛を曲げず、直線を保ったまま、磨くと、
毛のしなりや弾力が、手によく伝わります。

歯ブラシの毛が曲がってくると、この弾力がなくなってくる。
歯を磨く時には、この手に感じる弾力に意識を集中すると、より歯垢の落ちやすい磨き方が出来ると思います。
毛を曲げずに真っすぐ、そのツッパリ感や弾力を活かして磨く、
そのために、力を入れずに磨く、という感じです。

 日常生活では、頑固な汚れを落とすとき、力を入れてこすり落とすことが多いかと思います。

歯磨きも、ついその法則に当てはめ、
取れにくい汚れを力でこそげ取ってしまいたくなりますが、

現実には、それで歯や歯ぐきが傷つくだけでなく、
歯垢自体も落ちにくい状態となります。
(力の加わった個所のみ汚れが落ち、全体としてはキレイにならない。)

ぜひ、毛先断面の広い範囲を使って磨くつもりで、歯や歯ぐきに当て、
毛が無理に曲がらないような力加減で、毛の弾力を感じながら揺らすように磨かれてみるといいかと思います。

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