5,ここからは、歯周病『対策』。

 このサイトの主旨は、読んでいただいた皆様の歯を一日でも長く、残すことです。
歯を失う原因の一番多いものは、歯周病ですが、

 歯周病の対策はズバリ、「歯垢」を落とすことです。

医療に関しては「日進月歩」という言葉がよく使われますが、つまり、
「今までこうだと思われていたが、本当はこうだった」、と教科書が塗り替えられることがあります。

 歯周病に関してもしかり、で、その詳しいメカニズムなど、今後も塗り替えられる可能性を持っていると思いますが、ただ、日常の診療で、

「歯垢を落とせば、歯周病が改善する」、は、事実です。

とても分かりやすい因果関係だと思います。
自分の目で見て確認できることなので、ぜひ皆様にも体験して頂き、「歯垢」を落として、歯周病を予防、治療し、いつまでも御自分の歯でお食事を楽しみいただきたいと思います。

さて、
よく「培養実験」といって、寒天をひいたシャーレの中に、菌をつけて、それを体温ぐらいの温かさを持つの培養器の中に入れ、菌を増殖させる実験を行いますが、

口の中は、まさにその培養器のような環境です。

水分があって、栄養があって、適温がある。
そして菌にとっては絶好の菌の住み家や、隠れ場所(歯石や歯周ポケット等)があります。

 この菌の数を減らし、毎日ある程度のレベルの菌数に保つことが出来れば、
歯周病の治療も、予防も、完成です。

 

  では、ここから歯周病対策、実際に「歯垢の付きやすいポイント」について見ていきましょう。

 歯垢の正体が生きている細菌だと、『2,「歯垢(プラーク)」について。』でお知らせしました。

その細菌が、歯と歯ぐきの境目から侵入し、歯と歯ぐきを繋ぐ歯周組織(軟組織)のつながりを切って徐々に進み、歯を植える骨に到達して、その表面から少しずつ骨を溶かしていく、
というのが、歯周病です。

歯を支えていられないほど骨を溶かし続けるのには、年数がかかりますが、
そこに歯垢(細菌)が付いていれば、歯周病にかかり骨を溶かされてしまいます。

これを予防、治療する方法は、一つ。
歯垢(細菌)を清掃し、菌数を減らすことです。

それでは、歯垢(細菌)が、歯周病の原因だとご理解いただいたことろで、今度は実際に、悪さをさせない効率的な方法を考えたいと思います。

 勝利を収めるためには相手(歯垢)のリサーチが欠かせません。

そこで今回は、実際にどこに歯垢が付き、どこの歯垢を落とせば効果的なのか、を知って頂くことから始めたいと思います。

例えばこんなお口の中。(顎模型です。)

P1030439

 歯科衛生士学校時代、赤いマニキュアを歯石に見たてて、歯石除去の練習をしました。跡が残っていてスミマセン。(笑)

 

P1030439 point2

 ピンク色でなぞった所が、歯周病に大きく影響する、
「歯垢がつきやすいポイント」です。
この歯と歯ぐきの境目には、歯周ポケット(歯肉溝)と呼ばれる隙間があって、そこに細菌が住み着きます。

  写真では、歯垢を私がピンク色でマーキングしていますが、
本当に歯垢がこのようなピンク色をしていたら、歯周病問題はは、もう少し簡単に解決です。

 誰でも原因菌がのついていることが分かれば、多くの人は歯ブラシで落として歯周病を快方に向かわせることがもっと簡単になるからです。

 ところが、実際には歯と全く同じような色合いの「白色」。
カメレオンもびっくりの擬態模写です。

 さて、この中で、さらに歯ブラシで磨いても落ちにくいポイントをいうならココ。

 P1030439 point3

 歯は、まず歯の上の方が隣の歯とぶつかります。なのでその下のココに三角状の隙間ができ、歯垢が溜まるのです。
 この「歯と歯の間」には歯ブラシが届かない。
なので、この部分の歯周ポケットは、歯垢の活動しやすい環境が整ってしまいがちです。

 この問題を解決するため、歯周病予防、治療のためのブラッシングには、歯ブラシと併用して、歯間ブラシやフロスなどを使用したりします。
 なんでこんな磨きづらいところに歯垢が付くのか……と思いますが、歯垢からは「だからこそだよ!住みやすいんだ。」という声が聞こえてきそうです。

 歯ブラシで歯を磨いている方は多いですが、「歯垢」を取るように意識して細かく磨かれている方、ブラッシング指導を受けて御自分に合った磨き方を知る機会のあった方は意外に少ない。
 まずはブラッシング指導をきちんとしてくれる歯科医院に通院することが大切かも知れません。

 

 それでは次回は、歯垢が付いて歯周病が進んでしまうポイントを具体的にみていきます。

次、『6,「歯と歯ぐきの間」とは? 歯周ポケットはココにあります。』にお進み下さい。

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