歯周病。 歯磨きのコツ。

 何かをするとき、上手にするためには「コツ」があります。

 上手にできる人は、そのコツをつかんでいる。

先日 テレビ番組「さんま御殿」を見ていたら、
よしもとの土肥ポン太さんが、小籔千豊さんから、お笑い「以外」の仕事は、ものすごく出来る、お笑い芸人、と紹介され、出演されていて、
クリーニングのバイトをしたら、クリーニングの技術を競う大会で、
長年熟練の技を磨いた方々がそろうなか、アルバイトなのにその地方の第2位に選ばれる。
野菜の移動販売をしたら、売れに売れて、アルバイトの身で、さらにアルバイトを雇う状況になる。
(スゴい。)

というお話をされていたのですが、
さんまさんが、何で?
と尋ねると、

やはり、「コツがあるんですよ」、と答えていらっしゃいました。

 ちなみに、野菜移動販売のコツは、すごく太くて大きい大根を仕入れ、
それを100円で売って、抱えるように持ち帰らせること。
 大きな大根を持って帰るだけで目立って、それが宣伝になり、
近所の人と会うと、「移動販売で100円だった」、と話題になり、それがまた宣伝になってお客さんが来てくれる。
 また、「キュウリある?」などと言われたらすぐに売らず、
「キュウリ、ちょっと待ってくださいね~」と、一度取りに行くように背中を見せるのがコツ。
(背中を見せ、去る仕草をすると、追いかけるような心理?)
背中を見せ、キュウリを取りながら「う~ん」と考えるセリフで一瞬の間を作って、
振り向きざまに、「3本98円でっ!?」、というと、
「ちょうだいっ!!」
ということになる。
(欲しい!! みたいな気持ち。)
(なんか、分かります。(笑))
「おばちゃん、て、背中が大好きなんですよ」
とおっしゃっていました。(笑)

 さて、ブラッシング指導を始める時も、すぐにブラッシングの方法を伝えずに一度背中を見せてから…、
という話ではなく、(笑)
 歯磨きにも、「コツがある」という話を今日は書こうと思います。

 実は、歯周病予防の歯磨きの方法と、虫歯予防の歯磨きの方法は、微妙に異なります。

極端に言うと歯周病予防の歯磨きは、「歯と歯ぐきの境目」さえ、磨けていればいい。

歯と歯ぐきの境目の歯垢を、完全に落とすような気持ちで歯ブラシの動きを振動させるぐらいにして全て磨き、
フロスや歯間ブラシで歯と歯の間にある歯垢も落とします。

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 これが虫歯予防も、ということになると、一気にレベルアップ。
磨く範囲が広くなります。

 それぞれのやり方で決まりはありませんが、
虫歯がなくて進行した歯周病の状態、
炎症が起きていて、ブラッシングなどで今とにかく歯ぐきの改善を図ることを考えるような状況では、
歯周病に特化した歯磨きの方法を指導することもあります。

 歯磨きで、虫歯を予防するには、かなり丁寧なブラッシングが必要で、磨く時間も習得する時間もかかるので、
まず、歯周病に集中して治療に入る、という感じです。

 ここらへんは、ブラッシング指導に入る歯科衛生士の判断も大きいところなので、
それぞれのやり方なのですが、

 私個人的には、重度の歯周病患者様の治療に入る際は、
「歯磨きは難しく、自分には困難だ」と、思わせないことが大切なのではないかと思います。

 難しいことを難しいまま伝えるのではなく、
磨けるように伝えることに、気を遣います。

「このまま磨いていたら、歯が残せる」と思って磨くのと、
「あそこもここも磨けていない、完璧な歯磨きなんて、自分にできるのか?? もう残せないかも…。」と思って磨くのでは、
継続できる確率が大きく違い、
歯を残せるかどうかの結果も違ってくるように思います。

 そのために今一番重要なことに焦点を絞り、そうでないこと(歯周病以外の部分の歯磨き)をバッサリ切る、という感じかもしれません。

 理想を目指して100%できる方もいますし、
患者様のタイプ、性格にもよる部分が大きいのですが、
ブラッシングに挫折してしまいそうな気配を感じたら、
時系列で「今重要なこと」を見極め、焦点を絞り込んで、まず患者様ご自身に自信をつけていただくことが大切かもしれません。

 歯周病で、今すぐ歯垢を落とすことが必要な患者様には、
まず歯ぐきにつく原因菌を落とすことに集中してもらい、次の段階としてもう少し高度なテクニックのブラッシングも覚えてもらうなど、階段がある感じ。
いきなり難度の高いことをしない、という感じです。

 意外と人って投げ出すときは、丸投げするもの。
自分がそうだと、よく分かります。(笑)

(私も、「もうムリ」、と思った時の潔さったらもう…、(笑))

 ブラッシング方法は、いろいろありますが、
歯科医院に行けば、歯科衛生士さんが患者様のお口の中をみて、
今の患者様に合った歯磨きの方法を分かり易く、指導してくれると思います。

 とくに歯周病の進行しているような状態の歯磨きは、
患者様お一人では困難。

 歯科医院で歯石や汚れを取ってもらい、治療やケアに入りながら、患者様ご自身に合った適切な方法を教えてもらうことが、
歯を残すことに直結します。

歯周病は歯磨きで治る場合もありますが、それには、患者様お一人だけでするのではなく、
歯科医院で歯石を取ってもらったり、クリーニングをしたり等の処置が必要で、
歯科医師の管理のもとに行うことが大切です。
自宅で患者様お一人で歯磨きするだけで治療しようとすると、気づかずに進行させてしまうケースがとても多いので、まだ歯を残せるタイミング(なるべく早く)で歯科医院に受診しましょう。

 痛みもなく、行きたくな~い、気持ちは分かりますが、(笑)
このタイミングを逃すと、将来歯周病で抜歯する可能性がグンと高くなってしまいます。

 歯周病はとにかく、自覚のない段階から、いかに歯科医院でプロの管理下に入れるかがとても重要なのです。

なのでもし、何も痛くない状態の場合でも、
少なくても40歳の誕生日を過ぎたら、歯科医院に定期的に通うことをお勧めします。
(その前から通うことがおススメですが、そのころからリスクがグンと高まっていきます。)
虫歯がある方はもちろん、虫歯も歯周病もない方でも、クリーニングと定期検診を受けてみてください。
8020運動。80歳で20本以上の歯を残せる確率が大きく高まります。
歯を長く残すために、それが一番有効な近道だと思います。

 今は、痛みや症状がなくて、
虫歯や歯周病と診断されていなくても、自ら「歯のクリーニング」に通う患者様は珍しくありません。
何も症状がないのに、と気になる方は、予防歯科のある歯科医院に、電話して予約を取られるといいと思います。

 

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