ルシェロ歯ブラシは、現在多くの歯科医師や歯科衛生士がお勧めする歯科医院専用歯ブラシです。
歯科医療機器メーカーの最大手、株式会社ジーシーが力を注ぎ、開発した歯ブラシで、随所に磨きやすさへのこだわりと、歯垢が落ちる工夫が施されています。
そんなルシェロ歯ブラシのコンセプトは、「処方する歯ブラシ」。
若年層で歯の抜け替わりの凹凸のある時期、
軽度の歯周病、重度の歯周病、など、それぞれの患者様に対応した歯ブラシを歯科衛生士が選び、
お一人お一人に合ったものをお渡しする。
各個人の症状に対応して使い分けの出来る歯ブラシとなっています。
そのため、「ルシェロ歯ブラシ」と言っても、様々な種類があり、
個人で買うときには、自分に合う物を選ばなくてはいけません。
「ルシェロ歯ブラシ」は主に、「ベーシック」なタイプのものと(数字の10がついている)、若年層や凸凹の歯並びなどに対応するより小さな歯ブラシのタイプ(ピセラ)(数字に20がついているもの)があり、それぞれ、
「虫歯対策、歯肉炎対策」のものと、「歯周病対策」、「手術後など傷つきやすい方のため」のものがあります。
また、これとは別に、あまり丁寧に磨けない方や、器用に動かせない方のための大きな歯ブラシ(ルシェロのグラッポのシリーズ)が出されています。
私が、ルシェロ歯ブラシB-10、B-20の良いと思うところは、
「磨けてしまう歯ブラシ」だと感じるところ。
私はフラットな歯ブラシも好きなのですが、
歯の磨き方を習ったことがなく、歯の形状を知らない患者様が磨くのには、磨き残しが出やすい。
歯垢の残りやすいポイントを知り、気を付けて磨けば、キレイに歯垢が落とせ、歯周病対策もできる反面、
磨くポイントを知らずに、意識せずに磨いた場合、
磨かれずに残ってしまう歯垢も多く出ます。
(詳しくはこちらの記事、「なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)」)
ルシェロ歯ブラシは、例えば、凹凸の激しい若年層の口腔内を磨いたとき、
歯ブラシ植毛の先端部分が山形に突出していて、凹部分にしっかり当たるようになっていて、
意識しなくても、ある程度、自然にブラシの毛先が当たるぐらい、丁寧に考えられた作りになっています。
例えば、B20だと一番奥のさらに奥の面(一番磨き残しが出やすい部分)もこんな感じ。
今回使用所感を書くB10も、ここまで高くはありませんが歯ブラシの先に山形が付いていて、同じように磨けます。
歯列弓をザザーっとなぞるように磨いても、突出部分が歯間にひっかかってその分歯垢が落ちます。
磨き方を習わないで磨くのはお勧めしませんが、ある程度知識無く磨いても、自然にブラシの毛先が歯に当たる接着面が多くあります。
さて、「GC ルシェロ 歯ブラシ B-10M/S」 は、こんな感じです。
B-10MのMはミディアムの略で「ふつう」、B-10SのSはソフトの略で「やわらかめ」。
両方使ってみます。
毛の硬さの違いなので、2本とも見た目の形状は全く違いがありません。
歯ブラシの柄下の側面に、MかSか種類が印字してあります。
ルシェロのピセラのシリーズで、もう一つ、ピセラ(数字の20が付くタイプ)の虫歯、歯肉炎(歯周病は予防)用の歯ブラシ 「GC ルシェロ 歯ブラシ B-20M ピセラ 」と比較。 どこが違うのか。
上がB-20M。
下が今回所感を書くB-10M。
上のB-20Mは、十代の若年層や女性、歯の生え替わりで凹凸のある時期用に作られた歯ブラシで、柄の長さなど全体的に小さめ。
歯の凹凸にも歯ブラシの先端部分の山形の所が、けっこう高く植毛されていて、ここが凹部分に入り込み、磨きやすくなっています。
(詳しい使用所感はコチラの記事。「GC ルシェロ 歯ブラシ B-20M ピセラ 」)
植毛部分の幅もかなり違います。
正面から見ると、全然違う形状でした。
というところで、
GC ルシェロ 歯ブラシ B-10M/S 使用所感。
B-10M。
B-10S(ソフト)は、当たり前ですが、Mより柔らかめ。
歯ぐきが傷つきやすい方、柔らかめが好みな方に向いています。高密度植毛で、多くの毛先が磨くことになるので、柔らかめな割りに歯垢は落ちますが、特に力を入れてしまうというクセのないかたなら、Mの方が歯垢を落としやすく使えると思います。(毛の硬さ以外、SとMの差はありません。)
磨いた感想としては、とにかく本当に「繊細」、という印象です。
これは前回「B-20M」を使ったときも感じたのですが、今回は更に幅が細くなったことで、さらに繊細な印象が強くなります。
「繊細」ってどういうこと? 聞かれそうなのですが、
他の言葉で言うと、細い線で毛先が当たるというか、必要なところにだけ毛があたる感覚、
全体が、一度に磨ける感じではなく、よりポイントを絞って、そこだけ当たる、という感じでしょうか。
植毛部分の全長はB20より少し長くなったのですが、大きくなって磨きづらいということは全くなく、
「歯ブラシ、小さいな」という感じがします。
細い分、より奥の狭く届きにくい所にも届きやすくなっています。
また、フラット(平ら)な歯ブラシより、山形の先端部分がある分、歯と歯の間に入り込みやすく、小さい割りには、歯に接着するブラシ部分が大きくあるため、歯垢は落ちると思います。
磨いた後も、すっきりとします。
「B-20M」より山形の部分が低くなり、引っかかりが余り無くなるのではないか、歯間に入りにくくなるのではないかと思っていたのですが、意外にそれほど感じず、フラットな歯ブラシより充分に多く歯間に入って磨ける感じでした。
歯科衛生士としてみてみると、「繊細」な感じ、「そこだけ毛先が当たっている感覚」は、
多くの方が、「磨いている感じがしているけれど、実際に歯ブラシの毛先は当たっていない」ということが原因で、歯垢が残り、歯周病も悪化すると考えると、とてもいいと思います。
持ち手の柄も、持ったときに磨きやすい角度でカーブしていて、ラバーをポイント部分に付けることで、滑らない持ちやすいグリップとなっていました。
歯磨きを丁寧にして歯垢を落としたいというモチベーションのある方、口の中の健康を保ちたいと思われている方には、細かいところまで磨ける優れた歯ブラシだと思います。
ただ、口の中の状態だけで判断して広く多くの患者様にこれを使おうとすると、
細かく丁寧に隅々まで磨くのに適し、使いこなすことにより健康を保てるように考えられている歯ブラシのため、
口の中全体を磨くには時間がかかり、早く歯磨きを済ませたいと思っている時には、小さい分なかなか磨き終わらない歯ブラシ、ということになるかも知れません。
実際、そんなに早くいっぺんに歯ブラシの毛先は当たらないので、歯垢を落とすには、これぐらいの時間がかかるものなのですよというところですが、
処方する歯ブラシ、というコンセプト通り、
歯並びや目に見える口の中の症状、というだけではなく、性格的に歯磨きを早く終わらせたい、とか、技術的に的確な場所に歯ブラシを当てて細かく何度も往復させる動きは難しい、など、
使う方自身に合っているか、という見極めは大切だと思いました。
誰にでもピッタリ、という歯ブラシではないからこそ、
それぞれに合わせた処方が必要。
御自分に合った歯ブラシの選択が必要だと思います。
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