「磨いているつもり、で磨けていない」を回避する、ブラッシング。 スウェーデンの歯磨き法。

 前回の記事(『なぜ、「磨いているつもりで、磨けていない」のか? 実は歯磨きに最適?! というほどでもない歯ブラシ。』)で、
歯ブラシで「歯を磨ける部分」は意外に少なく、
磨いても多くの歯垢が残りやすい、という内容を書きました。

「磨いているつもりで、磨けていない」。
これは、患者様のせいというより、
「歯ブラシ」で、歯を磨ける部分は一部分に過ぎないため、多くの人がそう思いやすい、ということですが、
前回このことをお知らせしたので、今回は、その回避法。

磨いているつもりで、「磨けている状態」にする。
という方法を考えてみたいと思います。

  この解決には、「磨いている」、と認識しているところが、「磨ける」よう
(歯面にブラシの毛先が当たり、接着している状態)になることが必要です。

そこで1970年代に予防歯科を導入し多くの人々の歯を残すことに成功している歯科先進国、スウェーデンでしているという歯磨きの方法を参考にしてみようと思います。

と、言っても、とも歯科衛生士さんはスウェーデンに行ったことがなく(笑)、
メディアで学んだ範ちゅうなので、
これが本場、スウェーデンで行われている歯磨きか、と言われると、
きっと、何かが違う(笑)。

でも、歯科専用の予防歯科製品の大手 株式会社オーラルケアさんで紹介されていて、テレビでも取り上げられたそうで、最近ネットでも多く話題となり、本も出されていて、素晴らしいと思いました。

スウェーデンの歯磨きでは、

歯ブラシを使う前に、ワンタフトブラシを2分ほど使い、歯ブラシでは届きづらい、磨きにくい所を磨き、そして、歯ブラシをかける、という方法で歯を磨くそうです。

まず歯科医院で、患者様個人のリスク部位、歯周病や虫歯になりやすい所や磨きづらい所などを教えてもらい、確認して、
気力の充実している最初にそこを、ワンタフトブラシで2分、集中的にブラッシング。
歯ブラシよりワンタフトブラシがメイン、というような考え方で磨いた後、
歯ブラシをかける。

ということだそうですが、

 さて、「ワンタフトブラシ」とは、このような物です。P1030795

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 とも歯科衛生士さんもブラッシング指導で、ワンタフトブラシを使ったりしていましたが、ここまで活用する、という発想がありませんでした。

 ワンタフトブラシは一束の毛のブラシなのですが、

ほぼ、「ブラシの大きさ」 イコール 「歯面に当たる大きさ」
と、磨けている範囲が比較的正確に把握できる上、
歯ブラシのように、毛の一部だけに歯が当たって(ひっかかって)ブロックされ、それ以上奥に行けない、ということがありません。

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歯ブラシの毛先が青い線の所などに当たりブロックされて、それ以上奥(赤い三角の部分)にまで毛先が入り込めない。

 ワンタフトブラシなら、毛先がどこかに当たってブロック、邪魔されることなく、スイスイ目的の場所(奥に入り組んだところ等)を磨けます。

つまり、「磨いているつもり」のところが「磨ける」ブラシ、ということになりやすいかと思います。

 

 さて、これで考えてみると、
歯ブラシで歯磨きをするとき、磨けないところ、磨き残しが多く問題になる場所、は主に2つあります。

一つは「歯と歯ぐきの間」、
もう一つは、「歯と歯の間」です。

 

なので、自分個人のリスク部位(歯並びの悪いところ、汚れのたまりやすいところ、炎症があるところ、等)だけではなく、
一番気になる歯と歯ぐきの間(ピンクの線)を全部、

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ワンタフトブラシで一通り磨き、そのあと、歯間ブラシ。

(ワンタフトブラシは、 小さいブラシで、ちまちまと…、 という印象ですが、心の中で、「スイスイっ」と唱えて、奥の入りにくい部分にブラシが入り当たっているイメージで小刻みに動かしながら磨くと、意外と快適? 長くても2分ですし苦にならないように、心を軽くしてお使いになられるのがいいと思います。(笑))

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「歯と歯の間」は、歯間ブラシ。

(歯間ブラシの使い方としては、
ただ通すのではなく、あくまで「歯と歯ぐきの間」に当てるように意識します。

 まず上の写真、「手前の歯」の、「歯と歯ぐきの間」に歯間ブラシを当ててから、出し入れし、
その後、下の写真。
「奥の歯」の、「歯と歯ぐきの間」に当てて出し入れして磨く。

写真は角度を明確にするため、かなり力が入っています。
実際には力を抜いて、過剰な歯ぐきの退縮をおこさないようにそっと磨きます。(歯科医院でプロの直接の指導の元に行うことが必要です。)

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歯間ブラシを使わないときはフロスをかける。

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上の前歯など歯ぐき退縮が気になるところは、フロスがいいかも知れません。
ワンタフトブラシも無理せず、力を入れずに必ず歯ぐきの様子をみながらされるといいと思います。

そして最後に歯ブラシで歯の表裏、力を入れず磨き残しがないように磨いていきます。

 なんとなく、本場とは違う磨き方になってる予感満載ですが、(笑)
先に2分ワンタフトブラシをかける、日本で補助用具とされているものをメインにしてみる、
というところが、スウェーデン。(笑)

 でも、これを実際してみると、歯ブラシだけの時より断然、歯垢が落ちていることが分かります。
スッキリする、といえば一言ですが、
歯ブラシをかける前でも、「ワンタフトブラシ、歯間ブラシやフロス」をかけ終わった時点で、かなり歯垢が落ちている感じです。

ただ、注意点としては、
やはり歯と歯ぐきの間、「やわらかい歯ぐき」というデリケートな部分に触ることになるので、力を抜き、過剰な歯ぐき退縮などの弊害がでないようにすること。
弊害を防ぐためにも歯科医院でプロに直接みてもらいながら、指導の元にブラッシングすることが必要です。
歯周病予防には、歯科医院の定期的なケアが必要で、スウェーデンでも、それをしたことにより成功しています。
ぜひ予防歯科をしている歯科医院に通われてください。

 歯科先進国スウェーデンでは、1970年代に予防歯科を導入して、
虫歯、歯周病での抜歯数共に激減させる成果を上げていますが、
歯周病で成果を上げている背景には、
磨き方もあると思います。

今までは歯磨きで主に「歯ブラシ」を使い、補助用具として、「歯間ブラシ、フロス、ワンタフトブラシ」などを使うという発想でしたが、
日本で未だに歯周病が問題となり、歯の喪失原因の第一位になっていることを考えると、

歯垢を取るのに必要な道具の主役、メインをむしろ、「歯ブラシ」より、補助用具としている「ワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロス」にももってくる、というような発想。
少なくても補助用具というより、歯ブラシと同等ぐらいに大切な物という認識もあったほうがいいかもしれません。

 

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