実はメインかもしれない「隣接面」。 (歯間ブラシの動かし方)

 今まで歯ブラシだけで毎日歯磨きをしていた患者様が、
歯科医院で、歯に「歯垢」(細菌)がついていることを聞き、
この「歯周病や虫歯の主原因になるもの = 歯垢」 を減らして、自分もずっと歯を残し、健康でいたいな、と思う。

「 歯垢を今より多く落とすこと。」

 その一番手っ取り早い方法は、

今まで磨いていなかったところを磨くことです。
(当たり前。(笑))

 歯ブラシの他に「歯間ブラシやフロス」などをプラスして併用して磨けば、
今よりグッとプラークは落ちます。
(歯科医院で「プラークスコア」(プラークの磨き残し指数)を付けられた方は、ぜひその数値の変化に注目してみて下さい。)

 「歯の表側、裏側」と言いますが、歯には他に、横の面(隣接面)があります。
この隣接面には、多くの場合にとなりの歯があり、
入り組んで狭い隙間となるため、歯ブラシの毛が届きにくい。

細菌にとっては、なかなか清掃、排除されることのない、居心地の良い居場所となっています。
なので実際は、ここがメインかと思うほど、歯垢が沢山つき、歯周病を引き起こす大きな原因になります。

 隣接面の歯垢を落とす、代表的な用具としては、「歯間ブラシ」と「フロス」。

これでしっかりと隣接面の歯垢を落とすことで、歯周病を予防、改善していくことが出来ます。

歯間ブラシを使うときの最大のポイントは、
いかに「歯と歯ぐきの間」にある歯垢を減らせるか、ということだと思います。

「具体的な歯磨き、ブラッシングのポイント」でも書いたのですが、

実は、歯周病の予防、治療のために最も歯垢を落とさなくてはならない部分、
「歯と歯ぐきの間」とは、正確にはココ(キワ)…、

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…、では、なく、

コチラです。(詳しくはこの記事で。 『具体的な歯磨き。 ブラッシングのポイント』

(フロス(糸)が、『歯と歯ぐきの間』に入りこんでいる部分。(歯肉溝、又は歯周ポケット))

なので、歯と歯の間の隣接面を歯間ブラシで磨くときも、歯垢を落とさなくてはならないのは、
コチラ(歯肉溝、歯周ポケット)、と認識しましょう。

ただ、実際には歯間ブラシの毛先は、この歯肉溝の中までは届きにくいのですが、
歯垢の細菌は、歯肉溝の上の見える部分(落とせる部分、歯と歯ぐきの間の境目の「キワ」)に付着してから、歯肉溝の中に侵入していきます。

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ここの歯垢を落とすことで、歯周ポケットの中に歯垢の菌が侵入するのを防ぎます。

このイメージを持って、「キワ」についている歯垢を出来る限り落とすと、歯周病改善、予防ができます。
歯間ブラシは、フロスほど、歯肉溝の中に毛先を入れ込めるわけではありませんが、
歯肉溝に入っていく歯垢をキチンと落とすイメージを頭において、「キワ」を清掃する。
この歯間ブラシの動かし方を見ていきましょう。
(傷が付かないように力加減は優しく調整してください。)

まず、多くの方がしていまう 「爪楊枝のように、食べカスがとれた時点で、満足」。は、 
歯肉溝の上についた「キワ」の歯垢を意識して落とさないので、同じ歯間ブラシをかけても、効果は薄いです。
なので大変、もったいない。

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このように歯と歯の間に入れれば、「食べかす」はゴロっと取れてきて、いかにも汚れが取れた感がありますが、
「キワ」についた歯垢はあまり取れません。

なので、「キワ」を意識し、

まず、手前の歯の、「歯と歯ぐきの間」、
ココの歯垢が取れるように歯間ブラシをしっかり当てて清掃し、

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次に、
奥の歯の「歯と歯ぐきの間」、に歯間ブラシの毛をしっかり当てて押しつけるようを意識して清掃する。
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まずはこの二カ所(手前の歯と奥の歯の「歯と歯ぐきの間」)に一度しっかり歯間ブラシを当てることが大切です。
しっかり当てたら、あとは、そのキワに歯間ブラシを押しつけ気味にしながら、あまり力を入れずゆっくり出し入れして清掃します。

この歯と歯ぐきの間(キワ)の歯垢を落とす。
その意識がないか有るかでは、同じ時間、同じ歯間ブラシをかけても、
歯周病改善の効果は全く違うものになります。

 フロスを使う場合は、無理のない範囲でしっかり歯肉溝の中にフロスを入れ、そこから上下に動かして清掃します。
膨らむタイプなど、太いタイプのフロスだと、歯垢が多く絡め取られると思います。
(詳しくはコチラの記事 「フロアフロス」 太くなるフロスで、効果てきめん。

 隣接面の歯垢が落とせるようになると、口の中の清掃状態は一気にグレードアップ。
急にプラークスコアが上がることが多いです。
(プラークスコアを付けていなくても、歯垢が落ちた効果は歯ぐきに如実に表れます。)

 お使いでない方は、歯ブラシ以外の補助用具(歯間ブラシやフロス等)を、ぜひお使いになってみて下さい。

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