今日の記事タイトル、「完ぺきを目指し過ぎない」。
えー完璧ではない、とも歯科衛生士さんらしいタイトルです。(笑)
正直、「目指しましょう」と言われたら、
……。
そう考えるだけで、プレッシャー。(笑)
(えー、もちろん目指さなければならないところはあると思いますが、
理想を追求することと共に、現実を見極める目も必要だと思います。)
さて、例えば、今ココで全国の歯科衛生士を抜き打ちで全員集めてきて、
歯垢が染まる、染め出しを行ったら、
100%誰一人一切染まることはない、
ということは多分無いかと思います。
かなり昔、
歯科衛生士の月刊誌で、新人の歯科衛生士さんが染め出しに一切染まらないように挑戦する、
100%磨きに挑戦、というような記事があり、
そうなんだ、と思った記憶があるのですが、
毎日常に一切染まらないまでに磨き上げられるのは、プロでも全員ではないというところ。
100%磨きは意外に難しかったというレポートだったように思います。
歯には、歯と歯ぐきの境目(歯頸部)、歯自体の表裏、歯と歯の間(隣接面)、噛み合わせの面、複雑な凹凸などがあり、
時間に余裕のある日もあれば、ない日もある中で、
隅々まで毎日欠かさず磨けるのは、時間もかかり、
またさらに仕事を持っていたり、自分一人だけでなく子供達の仕上げ磨きも必要になると、
100%磨きに毎日挑戦し続けるということは、技術的にも高度でけっこう負担になることだと思います。
理想的に言うと、それをしなければ虫歯になったり、病気になる可能性があるので、
完ぺきを目指して、歯磨きしましょう、と患者様にいうのも、歯科衛生士の仕事ということになるかもしれませんが、
ただ、ブラッシング指導に熱心な歯科医院の患者様であっても、
100%で有り続けることを強要され続けることは、負担になる可能性があると思います。
「磨こう」という気持ちがあること、と、
「磨ける」ことは、違います。
歯磨きを完ぺきにすることは、意外に上級者の技で、マスターできない方のほうが多いように思います。
やる気があるのに、現実には磨けない、
そこを毎回指摘され続けること、
かなり頑張って磨いて、
指摘され、
頑張って磨いて、
指摘され、
その繰り返しになることが、
やがてやる気をそぐ結果となり、
自信がなく終わる、ということは、
ブラッシングに詳しくない患者様ならありえること。
やろうとする気持ちのある分、やれなかったときの気持ちの負担もまた大きいかもしれません。
でも実は、全く染め出されないほど完ぺきに、磨ける方のほうが少数派です。
こういうと、磨かなくても大丈夫、とだけとらえられそうなので、あえて書きますが、
保障はしません。
大丈夫とも言えません。
ただ、自分にとって高度すぎる技に挑戦して、挫折してしまうより、
必ずしも、完ぺきにできなくても、やった分、努力した分は、歯が残る可能性が広がります。
これが本当に大きいと思います。
米映画の「ターミネーター」
(アーノルド・シュワルツェネッガーさん扮するターミネーター(人型ロボット)が、「I’ll be back.(また来る)」と言って去っていき、戻ってきて大破壊をしてしまうセリフも有名。)
と同じ原作から書かれた、米ドラマの「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」
(DVDで借りました。)の中で、ターミネーターが人間に向かって呟く言葉があります。
「神に聞いてみたいことがある。 どうして人間の関節をボールジョイントにしなかったのか、と。」
えっ?
だってそこ、ボールジョイントにしたら、
「エクソシスト」になっちゃうじゃん!
という、ともさんのボールジョイントイメージのセリフは、
全く答えになりませんが、(笑)
(「エクソシスト」は、米の伝説的なホラー映画。
一番有名なシーンは、一度むこうを向いた女の子の首が360度まわって、またこちらを向くところ!(笑)
こう書くと笑えますが、見ると恐怖。)
とりあえず人は、出来る範囲を完ぺきにするのが良いようです。(笑)
さて、前回記事(『80歳で20本の歯を残すのは、「意識」すれば意外ににカンタン』)にも書きましたが、
8020運動(80歳で20本の歯を残す運動)は、完ぺきでなければ達成できないほどの、夢のような数字ではありません。
ある程度、歯と歯ぐきの境目の歯垢が取れること等で、実現可能な数字です。
体質も生活も違うので全員できるとは言えませんが、
日本全体では、目標に出来る数字だということです。
まだ、日本では一本も歯のない状態になるほど、歯周病で歯を失ってしまう方々も多くいらっしゃるのですが、
これは少しずつ状況が良くなりつつあります。
厚生労働省や日本歯科医師会の8020運動などの啓蒙活動もありますが、
意識して気を付ける
(歯科医院に行って、歯石除去などのクリーニングをしてもらったり、定期的に診てもらう)
ことによって、歯はより多く残せるようになってきます。
どちらかというと、多くのかたに出来ること、
完ぺきを目指しすぎなくても、「今より多くの歯垢を落とすこと」は、出来るかたが多いのではないかと思います。
自分で出来なくても、歯科医院で定期的に診てもらい、クリーニングしてもらえば、
また、長く残せる可能性が増えます。
御自分で管理が難しくても、定期的に通ってクリーニングを受けること、
歯科医院の歯科衛生士さんに聞いた方法で磨くことは、歯を長く残すために有効な手段です。
高望みではなく、目の前の一歩を踏み出すつもりで、
予防歯科のある歯科医院などで、定期的に診てもらうといいと思います。