歯周病治療のブラッシング指導。
口の中の歯、全てに集中するのは初めからは難しいので、まずポイントから意識したいと思います。
そもそも歯周病は、どの歯からかかるのか。
どの歯が一番、危険か。という話ですが、もちろん個人それぞれなのですが、
一番、歯垢が残りやすく、歯周病になって抜く確率の高い歯は、
きき手側(右利きなら右側)の奥歯です。
そして反対側の奥歯も、歯ぐきと歯の境目に潜り込む歯垢を取り除くように磨きます。
臼歯部(奥歯)の寿命は、前歯部の寿命より16年短いと言われています。
(ちなみに前歯も歯周病にかからない、と言うわけではなく、重症な歯周病になって抜歯ということはよくあります。
前歯と比較すると奥歯の方が磨きにくいということだけなので、しっかり前歯も磨いてください。)
まず、ここから磨くように気を付けてみましょう。
(上の奥歯も同様の所を磨きます。)
ワンタフトブラシというのもありますが、磨く範囲が小さく、手間なので、ここは、GCルシェロ歯ブラシをお勧めします。先端の山形の部分を使って磨きやすいように設計されており、それほど意識しない時でも、自然に当たる感じがします。
(GCルシェロ歯ブラシは、失われやすい臼歯部をいかに磨くかを追求して作られている歯ブラシです。)
毛先が歯ぐきに当たっている感触が、確認できるぐらい、ここは意識してしっかり入れていきましょう。
写真はルシェロのB20Mという若年向きのものです。
(ルシェロ歯ブラシについての私の使用所感書いてます。『最大手GCが力を入れる 「ルシェロ 歯ブラシ」』)
ちなみにこれがワンタフトブラシ。
普通の歯ブラシで磨くときは、歯ブラシを立てるようにして、つま先の部分の毛先を意識して奥面に当てましょう。
それから、歯科医院によっては、患者様のお口の中の検査結果を教えてくれるところがありますが、
そこにもし、ポケットの深さが、3㎜とか4㎜とか6㎜…などと書いてあったら、一番数字の大きい場所を気を付けて磨きます。 ポケットの深さは、深いほど(数字が大きいほど)、そこにある歯を支える骨が多く溶けていて、その分、プローブ(定規)が入りやすく、深いミリ数まで隙間が空いていることを意味しているからです。
ちなみに、みなさんが資料をもらった際の、歯式の見方は、
右上 [奥歯 ← 前歯] | [前歯 → 奥歯] 左上 |
右下 [奥歯 ← 前歯] | [前歯 → 奥歯] 左下 |
向かえ合わせに見ている形になるので、正面左側が、
本人の右側の歯、ということになります。
また、歯の番号が書いてあった場合には、1番が一番前の歯、2,3…と一本ずつ奥歯になっていきます。
ちなみに3番が糸切り歯、ここまでが前歯です。
一番奥の歯は7番。親知らずのある方は8番です。
(乳歯(全部で20本)はアルファベット。前歯から、「ABCDE」で表します。)
右上 8 7 6 5 4 3 2 1 | 1 2 3 4 5 6 7 8 左上 |
右下 8 7 6 5 4 3 2 1 | 1 2 3 4 5 6 7 8 左下 |
この歯式を見て、御自分の口の中に照らし合わせ、歯周ポケットの深いところを常に磨くようにして、歯垢をいつも除去し、ポケットが深くならないように努めます。
あとは、歯垢(プラーク)を落とすイメージ。
1. 歯垢のつく場所 「歯と歯ぐきの間」。
歯周病になる原因の歯垢はここに付きやすく、
歯と歯ぐきの間には隙間(溝)、に入り込みます。
まず、この場所をイメージしましょう。
歯と歯ぐきの間、
① 「上の歯の表側」
② 「裏側」
③ 「下の歯の表側」
④ 「裏側」
の4ブロックあります。端から端まで残さず磨くこと。
(磨く順番は決まっていませんが、磨き残しがないように、端から端まで、自分でやりやすい順を決めて下さい。)
2. 次、「当てる」。
奥から順番に、確実に「当てて」いきます。
毛先が、「歯と歯ぐきの境目に当たっていること」。
それを確実にしましょう。
それぞれの歯科医院で指導される磨き方は異なると思いますが、
「確実に当たっているか」、を意識して下さい。
3. 「動かす」
力を入れずに、細かく揺らすイメージです。
(一ヶ月以上同じ歯ブラシで磨いても毛先が開かないような力です。)
とても分かりやすい動画が、サンスターさんのHPにありました。
参考にされると分かりやすいかと思います。
※サンスターさんのHPで「スクラッピング法」と呼ばれているのは、このサイトの「スクラビング法」と同じです。
4. 「歯と歯の間も磨く」
歯と歯の間にも歯垢はたまります。
ここは、歯間ブラシ、フロス、等、担当の歯科衛生士に選んでもらい、御自分にあったサイズものを使います。
例えば、こんな歯間ブラシ。
これを歯と歯の間に入れ、「歯間部の歯と歯ぐきの間」の歯垢が取れるように磨きます。
手前の歯と歯ぐきの間。
そして、
後ろの歯の、歯と歯ぐきの間。
です。
大切なのは爪楊枝(つまようじ)のように、ただ間に通すのではなく、まず奥の歯と歯ぐきの間の部分に当てて、出し入れし、次に手前の歯と歯ぐきの間に当てて、出し入れするように動かします。
まずは上記のポイントの4つのイメージトレーニングから。
歯垢の細菌は24時間以上経過してから活動し始めると言われているため、1日1回、丁寧に磨くのが理想です。
磨き方はお口の中の状況等により変わり、また様々な磨き方の選択肢がありますので、かかりつけの歯科医院で御自分に合った歯磨きの仕方を教えてもらって下さい。
では、「歯周病を防ぐ基礎知識」の記事も残り3つ。
次回はブラッシング指導記事の前半。
あとは、後半に続き、メインテナンスについて、で終了です。
次、『8, 前半 『歯周病予防』のためのブラッシング指導。ぜひ受けて頂きたいので、その様子を書いてみました。』にお進み下さい。