「重曹はみがき」、試してみました。

 虫歯予防には、飴やキャラメルなどを控えること。

と良く言われます。

 これは口の中にいる虫歯菌が、糖分を取り込んで酸を出し、
急激に酸性になることで、歯が溶け始め、虫歯の原因になるとされているからです。

 この口の中が「酸性になっている時間」を短くすることが、「歯が溶けている時間」を短くすることであり、虫歯予防になります。

 つまり、食後に酸性になった口の中を素早く中性に戻し、なるべく、「中性になっている時間を長く保つ」ことが大切です。

 重曹による虫歯予防は、民間療法的に語られることが多いのですが、酸性になった口の中に、
弱アルカリ性である重曹水を入れ、うがいをすることで、速やかな中和が可能、 
重曹は虫歯予防に大きな効果があるとおっしゃる歯科の先生もいらっしゃいます。

 そこでさっそく試してみた食後の「重曹うがい」。

(まだ読んでいらっしゃらない方はこちらの記事。『虫歯予防に『重曹うがい』。
その時は、さっぱりしたような…でも気のせいかも…。
ぐらいだったのですが、
翌朝、口の中の感じが違う(さっぱりしてる!)と感じたので、改めて、重曹について調べてみることにしました。

 でも実は、「重曹うがい」と一緒に、「重曹ハミガキ」もしてしまっての結果で、ちょっと、「どちらの効果か分からない…」という状態。
 正直、翌朝の感じが変わるところまでは全く期待せずに試してみた、というのが本当のところです。

とりあえず、乾いた小さな歯ブラシに重曹を軽く付け、少しついたか付かないかぐらいの超少量の重曹で、力を入れずにブラッシングしてみました。

 重曹は研磨作用があるとか、磨いて歯ぐきを痛めたと、検索記事で読んだので、歯ブラシも柔らかめのものに変えて、かなり慎重に弱々しくそっと磨いてみました。
 この超微量の重曹歯磨きが効き、
 翌朝の口のさっぱり感が、いつもと違う。
なんというか、糸のひかない粘つきのないさっぱりした感じ。
 重曹は使ってから後、比較的長い時間、効果があるような気がします。
(やはり、「重曹うがい」より「重曹はみがき」をした方がさっぱりしていました。 ただ、私ももう二日目は慣れてしまい、初日ほどの実感が感じられなかった(^^;)です。)

 歯科衛生士の教科書に、重曹を使った虫歯の予防法は大きく勧められていなかったと思うので、あくまでも個人的な感想です。

で、そもそも重曹とは何か。

化学名… 炭酸水素ナトリウム(別名 重炭酸ソーダ、重曹)
化学式… NaHCO3
水溶液は、弱アルカリ性。

用途も広く、掃除に洗濯、パンのふくらし粉、消臭剤、等々として長年多くのかたに愛用されている、歴史の古い…

要するに、「弱アルカリ性の白い粉」です。

 ただ重曹にも、工業用などがありますので、もし口に入れる際には必ず「食用」を使いましょう。

安価で長期保存も可能。
もちろん、「重曹ファン」も沢山いらっしゃり、検索すると、重曹の用途は数限りないのではないのだろうか、と思われるほどヒットします。

 ちまたの重曹ファンの皆様の間では、

「重曹はみがき」も、珍しくなく行われているようです。

 使い方は、重曹を微量、歯ブラシに直接つけて使う物から、グリセリンを混ぜる、それにハッカなどを混ぜる、など様々です。

重曹はみがき粉の作り方は様々ですが、このような作り方をサイトで見ました。
→重曹20gにグリセリン11gを混ぜ、ハッカ油を少々まぜる。

 今回私は、一番お手軽な、重曹の粉を直接歯ブラシに付けるやり方で磨いてみたのですが、

私個人的には良かったのですが、はっきり言って、

 万人向きではないと、思われます。

 私個人は一回使ってみていいな、と思いましたが、刺激が強すぎて、トラブルになる方もきっといるだろうな、という「強すぎる」感じはして、子供には使わないでおこう、という感じです。

 グリセリン、その他のものを混ぜて、「重曹歯磨き粉」を作ってから使用すると、刺激が弱まり、使いやすくなるのかもしれません。

 私自身も、一日三度は使わず、とりあえず始めは、食後の「重曹うがい」+一日一度「重曹はみがき」ぐらいで試してみようかな、と思っています。
 やはり研磨効果があるようなので、軽く磨いても歯ぐきがヒリヒリしそうな気配を感じ、
力を入れて磨かれる方には、歯が削られる危険性もあるので要注意だと思います。
 ただ、一回で着色がすごく落ちた、というほどきつくはなく、歯もつるつるしてキレイになる感じなので、私個人的には使えますが、人の体質や歯の磨き方はそれぞれなので、安易にはお勧めできないなという感じです。

 それでは、重曹をハミガキに使用した場合に、欠点だと思われることを書いてみます。

・ 研磨作用があるので、磨き方によって歯が削れたり、歯ぐきを傷つける可能性がある。
・ 歯ぐきや粘膜などに刺激のある可能性もある。
・ 歯石の沈着促進。
・ 重曹の成分はナトリウムなので、塩分を摂らないようにされている方などには注意が必要。

一応思いつく範囲でこんな感じです。

 検索記事で、「重曹で磨き始めて2分ぐらいで茶色の色がでてきて、喜んでみがいていたら、(歯が削れて?)知覚過敏になった。」という記事を読んだのですが、
私は重曹を付けた状態でそんなに長く磨いていなかったのですが、この記事を読んで試したら、もともと着色があまりないので、2分しても茶色の色はでてこず、3,4分磨いたら、歯ぐきが痛くなりました。(笑)
(もう少し重曹の量を増やす、ヤニが付いている、などの条件があれば茶色が出てくるかもしれませんが、歯や歯ぐきは痛みやすいです。歯磨きに使う時は、もっと痛めにくいような歯磨き粉にするなどまだ工夫が必要な気がします。)
 重曹の量も微量で、ほとんど力を入れて磨いていなかったのに痛くなったので、長く磨くのは危険だと思います。

確かに、いくら出来すぎの「重曹」さんだからと言って、掃除の時は「よく汚れを落としてほしい」と思い、歯磨きは「優しく」、は、難しいですよね。(^^;) これ以上を求めるのもどうかと思いますが、
「重曹はみがき」で、口の中のトラブルになった方もいるようなので、もし使用するなら自己責任で少し試してみる、短時間で力を弱めて始めるなど、慎重さが必要です。

とにかく、自分では使っても、体質によって合う人合わない人がいるので、安易に人にお勧めは出来ないなという感じはしました。

 ただ弊害に気を付けて磨けば、食べ物を食べて酸性になった口の中(虫歯になりやすい)を、重曹の弱アルカリ性で中性に戻す、と同時に、歯垢を取るように磨くことで、虫歯になりにくい環境にはなると思います。

 とりあえず私自身は、楽しんで試してみたいな、と思っています。(^^)

他の「重曹」の記事はこちらです。

・ 『虫歯予防に『重曹うがい』。』

・ 『「重曹」と「歯」の関係。』

オススメ記事。
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』

虫歯予防に『重曹うがい』。

 インターネットが普及して、検索機能ができたこともあり、
最近は、歯科医院でも直接は(患者様が遠慮して?)あまり聞けない、患者様の本当の気持ちや、思いを多く知ることが出来るようになりました。

 その一つに、
「虫歯にならないように、良く歯を磨いて気をつけていたのに、虫歯にかかってしまった」というものがあります。

 確かに、虫歯菌のない方は虫歯になりませんし、いつも「(虫歯菌のいる)歯垢」の残りやすいところから、虫歯になることを考えると、
「よく歯を磨いて、虫歯予防をしましょう」ということ自体は間違っていないと思いますが、
あるレベル以上きれいに磨けている患者様に、それ以上を求めることで虫歯予防を完璧にしようとするのは、現実的に無理があるのかな、という気がしています。

 歯科では、
 こうすれば虫歯になるリスクが減ります、ということをお知らせはしていますが、
(こちらの記事をごらんください。『3,①虫歯予防の話』
例えば、甘党の方が日々甘い物を食べないようにするのには、ダイエットのような難しさがあります。
正直、この他にも有効で容易に実践可能な、虫歯予防の対策はないかな、と考えてしまいます。

 そこでふと思い出したのが、ウチにある「アルカリイオン整水器」

引っ越ししてからずっと使っていませんでしたが、ここのサイトで虫歯に関しての記事を書いていて思い出しました。

「口の中が酸性になる時間が長いこと」が虫歯の原因なら、アルカリイオン整水器の水でうがいして中和すればどうなんだろうか?

と単純に思い浮かんだわけです。

 で、検索したのですが、それらしい歯科医師の記事は見あたらず、
誰でも手軽に手に入る同じアルカリ性の「重曹」で検索したら…、

思いがけず、たくさんの記事がヒット。
民間療法てきな記事が多く、歯科医師の書いている記事は少ないのですが、それでも
数少ない歯科医院がヒット。
(ずーーっと見ていけばもっとあるかもしれませんが、歯科関係者以外の方の書いた記事の方が圧倒的に多い。)

え?

と驚くのは、歯科医院の数がコンビニ以上に多いと言われるだけあって、いつも歯科情報を検索すると、オニのように多い歯科医院の記事がヒットするから。

 なので(歯科医院の記事の件数が少なかったことを)ものすご~く、意外に思いながら、読ませて頂きました。(『I歯科医院の高楊枝通信』

 先生のブログでは、毎食後と就寝前の歯磨きの後、
食事をして酸性(虫歯になりやすい)になってしまった口の中を「重曹うがい」で中性に戻すことをお勧めされていました。

 「重曹うがい」の、やり方は簡単。
小さじ一杯(3g)の重曹(食用)を500mlのペットボトルの水に溶かし、それで「うがい」してグジュグジュ、ペッ、とはき出すだけ。

 飲食後なるべく速やかにうがいすると、酸性に傾いていた口の中が一気に中和されて中性に戻ってくるのだそうです。

 重曹は昔からパンのふくらし粉などにも使われているものですし、
うがいするだけで効果のあるものなら、とても手軽でありがたいので、
「重曹うがい」試してみたい、

ということで…、

P1030539

一箱50g(25g×2袋)入り、近所のスーパーで、73円で購入。

 実際やってみると、500mlの水で薄めるため、もう「すごくしょっぱい」とかいうことはないです。

 とても楽ですし、うがい後長い時間さっぱりしています。
もちろんこれだけで虫歯予防をすることは難しいので、歯を磨いて歯垢を落とすなど、他の対策にプラスして実践することが大切になります。
(虫歯予防対策はこちらの記事をごらんください。『3,①虫歯予防の話』
酸性になった口の中を中性に戻すこの「重曹うがい」の方法は、安価でとても手軽だと思います。

今のところ歯科の教科書で、重曹を用いての予防を大きく取り上げているということはないようなのですが、民間療法でも根強い人気があります。
 ただ塩分が微量ながらも摂れてしまうことがあるので、疾患にかかられている方などは、そこに注意したほうがいいかも知れません。

 とりあえず我が家では、子供も楽しんで「重曹うがい」をしていたので、まだ虫歯のない子供の歯を守れるように続けてみたいと思います。

 

他の「重曹」の記事はこちらです。

『「重曹はみがき」、試してみました。』

『「重曹」と「歯」の関係。』

よろしければこちらの記事などもご覧下さい。(^^)
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。』

2,虫歯の原因を考える。

 さて、ここで虫歯の原因を考えてみましょう。

 虫歯の原因は、歯周病よりちょっと複雑です。
歯周病は、「歯垢」を取れば、目に見えて症状が良くなっていきます。
そのおかげで原因が特定しやすく、その原因を取ることで歯周病を改善させることができます。

ただ虫歯の場合、その原因は一つに特定されていません。
複数の要因が重なり合うことにより発生していると考えられ、対策も、
例えば「歯磨きをする」ことと、「甘い物が口にどどまる時間を短くする」ことなど、複数を組み合わせて予防します。
 一応理屈的には、複合要因の何か一つが欠けると虫歯になりにくいとされているので、何か一つを徹底的に排除できれば虫歯にならない、ということになりますが、
現実的には、歯ブラシと歯間ブラシを用いて落とせる歯垢は50%程度と言われ、さらに、虫歯菌の餌になる甘い物には糖質(炭水化物)なども含まれるので、それら何か一つを徹底的に完全に断つということは通常考えられません。

結果、虫歯対策としても、
なるべく良く磨いて歯垢を落とし、
なるべく食べ物が口の中にある時間を少なくし、
なるべく酸性の強い食品を口の中に入れないようにする

というような、複数の対策をとることになります。
今のところ決定的な対策を取ることが難しい、ということが予防的になかなか虫歯を防ぎきれない原因かも知れません。

 

 現在、虫歯の原因としてよく言われるのが、

・ 細菌(虫歯菌)
・ 糖(餌)
・ 時間(酸性)
・ 歯質

の4つの要因が全て揃ったとき、虫歯が発生するという説です。
(ニューブランの輪)

 ただ今はまだ、虫歯の原因やメカニズムが完全には解明されていないそうなので、
今後他の要因が考えられる可能性もあります。

 『虫歯菌』の住み着く口の中に、『糖』(餌)が入り、歯垢の中の虫歯菌がそれを餌にして酸を出す。歯は酸に弱い性質を持っているので、『口の中が酸性』になる『時間』が長ければ長いほど、虫歯になるリスクが高いのだそうです。

さて、この4つの要因を見てみますと、

まず、1番目 「細菌」。

 虫歯の発生は歯垢(虫歯菌)が付きやすく、取れづらいところ(歯の溝や隣接面)から発生します。
そして、虫歯菌のない方は、実際に虫歯になりません。

 虫歯は菌によっておこる感染症。
3歳頃までにこの菌に感染しなかった人は、(その時期(3歳)までにその人の口の中の菌の割合が決まってしまうため)その後も感染することがなく、虫歯にならないそうです。

 ただ、3歳以上のもう虫歯菌がいることが確定してしまった皆様は、(笑)
(私もです(^^;))

 やはり歯磨きなどで歯垢を落として細菌数の少ない状態を日々キープするようにします。

 例えば歯垢の中の細菌は糖分を取り込むと、
数分のうちに、糖分を取り込んで代謝して「酸」を出し、口の中を一気に酸性にすると言われていますが、
少しでも「歯垢」を減らして、代謝して出される「酸」の量を減らすこと、
また歯垢が付いていると高確率で歯周病になるという観点からも、細菌数を減らすことは大切です。

 

2,3番目 「糖分」 と 「時間」。

 昔テレビで、甘い炭酸飲料(酸性)の中に人の抜去歯を漬けておくと、その歯が溶かされてしまう、という実験を見たことがあるのですが、
歯は酸に溶けるという性質を持っていて、
お酢やジュースなど酸性の液体に漬けておくと、溶けて軟らかくなってしまいます。

 口の中が酸性になる時間が長いと、虫歯になるリスクが高くなると言われますが、
口の中が酸性になる条件は主に3つ。
1つは、酢や甘い炭酸飲料など「酸性」のものが口に入ること。
2つめは、「糖」が口の中に入ること。
3つめは、嘔吐など胃液が入ること。

通常、口の中を酸性にする原因は、食物などです。
酢、清涼飲料水、スポーツドリンク、ジュースなど酸性のものも、もちろんそのまま口の中を酸性にしますが、糖も口の中に入れると歯垢(虫歯菌)がそれを餌に活性化して代謝物(酸)をだし、なんと数分で急激に酸性になってきます。

通常、口の中はph6.8位の中性ですが、糖を入れると一気に酸性に傾きます。ph5.5が歯のエナメル質が溶け始める(「脱灰」を始める)酸性ラインだといわれ、それ以上の酸性は歯の表面から溶け出している状態となるそうです。

実際にはph5.5以上の酸性に、口の中はよくなります。

 しかし、食べ終わると「唾液」(弱アルカリ性)の作用で口の中の酸性は、時間の経過とともに(酸性度合い、個人の体質等にもよりますが目安として約40分ほどで)「中和」され酸性から中性に戻っていくと同時に、溶かされた歯の表面(エナメル質の脱灰)も「唾液」によって修復され、元の硬い状態に回復(再石灰化)します。
(ステファンのカーブ)

この脱灰と再石灰化を繰り返しているのが、日常の私達の口の中で、
そのサイクルが、「歯の表面だけを溶かし、唾液による修復(再石灰化)で回復できるレベル」を保っているうちは虫歯になりませんが、 要因が重なり、酸性の時間が長くなり、歯質が耐えられなくなるなど、個人の虫歯に対する抵抗力が限界を迎えると、 「唾液」の再石灰化だけでは、修復不可能な所まで歯が溶け出し、「虫歯」になりやすいと言われます。

 この口の中が「酸性」になることが虫歯の発生に大きく関与していますので、
虫歯予防の対策としては、なるべく酸性になることをさけ、また「酸性」に傾いたものを、早く中性に戻し、「中性に戻っている時間を長い間保つ」、ということが大切なことだそうです。

 

では4番目、「歯質(抵抗力)」
を書いてみます。

 虫歯の原因は、複数の要因が重なると考えられているので、食生活などもありますが、
 一度治療している歯が増えた(二次カリエス)など、口の中の状況の変化、唾液の量などの変化、全身的な疾患の有無、個人的な体質、というのもよく原因にあげられます。

 例えば虫歯の原因菌として、「ミュータンス菌」などが有名ですが、口の中にいる菌数は人によって違います。
その他、唾液の量や粘性などにも個人差があり、
それによって、個人の虫歯に対する耐性も大きく変わります。

 今は、歯科医院で、それらを調べる「唾液検査」などがあり、個人の虫歯になりやすさ等を知るため、歯医者さんで勧められることがあるようです。

 よく「体質」ということを言いますが、
虫歯も実際「良く磨いているのに虫歯になる方」、「あまり磨いていないのに虫歯にならない方」がいらっしゃり、
また、同じ人が、同じような食生活をしていても、去年は虫歯にならなかったが、今年は虫歯になってしまった、ということは、よくあります。

虫歯に限らず、人の健康はそのようなものかもしれませんが、
単に、虫歯になる条件だけを並べてみても、実際の生体には必ずしも当てはまらない、ということもあります。
 やはり最後は、その人自身の持つ体質、全身の抵抗力、ストレス等による精神的な弱まり、などといったものが、病気の発生には関係してきているのかも知れません。

 ただ、虫歯の発生しやすい条件が重なり、それとその方自身の持つ抵抗力とのバランスが崩れて病気が発生するにしても、
虫歯になる条件を追求し、知識を付けることで、一つずつ健康を害する要因を軽減させていくことが、全身の健康を守る上でも大切だと思います。

 

次、『3,①虫歯予防の話』 

 

「虫歯の多くはココから発生。」 「シーラントとは。」

 歯の喪失原因の第1位、「歯周病」について、説明と予防を書いたので、
(ご覧になっていない方はこちらから。『1,ココから順番に書いています。』
今度は、第2位の「虫歯」について書いてみます。
 歯周病と虫歯で、歯の喪失原因の95%ほどを占めるそうなので、この2つを予防できると、かなり多くの歯が長く残せると考えます。

まず虫歯の進行について。

虫歯は、よく見る図解ですが、d_34 虫歯の進行絵
このように、歯の表面の硬いエナメル質から、堂々と侵入してきます。

「歯の構造」は、

img21 歯の構造
画像引用©2011 Nobel Biocare  http://www.ns-search.jp/

歯の表面の
・白色の部分が『エナメル質』 (硬い組織。)
・黄色の部分が『象牙質』    (エナメル質より柔らかい組織。)
・赤色の部分が『歯髄』      (痛みを感じる「神経」。)

の大まかな三層構造になっており、
(ちなみに、歯根の回りにある「まだら模様」が、『歯槽骨』です。)
虫歯も、その表面の『エナメル質』から『象牙質』、そして中心にある『神経』に達するように順番に侵入し、
それにともなって、穴の空いた歯も崩れるように崩壊していくので、最後は歯根だけになり、抜かざる得ない状態になっていきます。

よく、C0~C4で虫歯の進行度を表しますが、状態を書くと、
C0 … 「エナメル質」が溶けたり、自浄作用で戻ったり状態で治療の必要なしの状態。
C1 … 「エナメル質」までの虫歯。今なら軽い処置で間に合う。
C2 … 「象牙質」まで虫歯菌の入った状態。神経に近づきつつあるので早急に歯科医院へ。
C3 … 虫歯菌が「神経」にまで達した状態。治療すれば歯は残せることが多い。
C4 … 見えていた歯は崩壊し、主に歯根が残る状態。抜歯もあり得る。残せるかぎりぎりのリミットの場合もあるので一刻も早く歯科医院へ。

というような感じです。

 

 皆様だいたい虫歯になりやすい所は共通していて、
虫歯の多く発生する場所は、主に4カ所。
・ 歯の溝 (奥歯の噛む面にある溝など)
・ 隣接面 (隣の歯との接触点)
・ 歯頸部 (歯ぐきに近い部分)
・ 治療で詰めた物と、歯との間。

などです。

 この4カ所に共通することは、「歯垢が残りやすい場所」であるということ。
歯ブラシの毛先が届きにくい場所でもあります。

さて、一つ一つ見ていきましょう。

一番目、「歯の溝」は、
特に大臼歯の溝が虫歯になりやすく、続いて小臼歯の溝が虫歯になりやすいです。

「大臼歯」とはこちら、

P1030512point1

下の歯を、線で色分けしてみました。
赤い線が、『大臼歯』。 一番奥から2本、親知らずのある方は3本あります。
青い線が、『小臼歯』。 大臼歯より前にある2本です。
ちなみにピンクの線は『前歯』。 糸切り歯から反対側の糸切り歯までの6本を一括りにしてみました。
(上の歯も同様です。)

 この赤い線、「大臼歯」の噛む面の溝は、深く、狭くてギザギザな複雑な作りをしています。
個人差があるので一律ではないですが、永久歯である第一大臼歯(手前側の大臼歯)は6歳頃から生え始め、第二大臼歯(その奥の大臼歯)は11歳頃に生え始めます。
 ただ生えて数年の間に、この溝から虫歯になる確率がとても高い歯です。

 原因の大きなものとして、この溝が狭すぎて、歯ブラシの毛先が届かない。その狭い溝に「歯垢」長くとどまり続けるため。
と、いうものがあると言われています。

 そこで予防法として、虫歯にならない状態のうちに、
この溝に少量のプラスチックを流し込み、溝の深いところを塞いで、歯垢が入り込むのを防止する「シーラント」という方法が、よく使われます。

 溝をそのまま残した状態では、高い確率で虫歯になる歯なので、その溝を先にプラスチックで埋めてしまおうという処置です。

 虫歯ではないので麻酔を使わず、
「機械で歯の溝を清掃(回転させたブラシで歯の表面を磨く等)した後、少量のプラスチック液を流し込んで固める。」
という方法が一般的。(それぞれの歯科医院のやり方なので一概には言えません。)

 機械のブラシで磨くときに響く感じがあるかかも知れないのですが、子供にきちんと説明してくれる歯科医院なら、注射や怖い処置がでてくる訳ではないので、子供の最初の歯科処置としては、ちょうど良いかも知れません。

 ちなみにプラスチックは、無色透明が一番目立ちませんが、目立たな過ぎて破折や脱落が分かりにくいことがあり、白色など色づけされた物が使われることもとても多いです。
 私が歯科衛生士学校の実習で使ったシーラントは透明なピンク色。
若い女の子としては、ちょっと嬉しかった思い出です。(笑)

 ただこのシーラント、利点ばかりではなく欠点を指摘する声もあり、
「詰めたプラスチックが破折、離脱すると、そこに段差ができて歯垢がたまりやすくなるので、かえって虫歯になりやすい」、「プラスチックを詰める際にエッチング(接着を強くするよう酸性の液を使って溶かし、歯の表面にギザギザを作る)をする場合は、歯を痛めるリスクがある」、等々、歯科医師のなかでも、賛否があります。

・ 『シーラントについて歯科医師の見解を伺っている「歯チャンネル88」』

参考にされてください。

 

 では次に二番目、「隣接面 (隣の歯との接触点)」から発生する虫歯です。

歯科でよく話題にされる、歯垢の残りやすい「歯と歯の間」は、細かく言うと2つあると思います。
1つは歯周病の問題になりやすい歯と歯の間で、
歯周病に関する記事(『5,歯科医院で行う「PMTC」とは。 歯周病対策「歯垢のつきやすいポイント」』)でも書きましたが、

 歯周病に大きく影響する「歯垢の付きやすい場所」

P1030439 point2

 の中で、歯ブラシでは容易に磨けない、ピンポイントなこちらの場所

P1030439 point3

 を指す「歯と歯の間」。(ここは歯周病の原因菌が取れにくいので「歯間ブラシ」で磨きましょう、とよく言われる場所です。)

そして2つめ、今回の虫歯の発生に関わる歯垢の残りやすい場所の「歯と歯の間」(歯の「隣接面(隣の歯との接触点)」)は、ココです。

P1030439 point4

 一枚上の写真の歯周病の時のポイントより若干上、歯と歯のぶつかり合うところになります。
ここも、一度ついた歯垢が落ちにくく長い時間とどまり続け、虫歯が多く発生する場所になります。

ちなみに写真は奥歯だけが写っていますが、「前歯」の隣の歯と接しているところも、よく虫歯になるので要注意です。
 

 さて三番目、今度は「歯頸部(歯ぐきに近い部分)」です。
ここは油断すると目でも歯垢が溜まっているのが確認出来るほど、とても簡単に歯垢がついてしまう場所。
 さきほど「歯周病に関する記事でも書きました」と、載せたばかりの写真ですが、


 歯周病にも大きく影響する「歯垢の付きやすい場所」でもある、

P1030439 point2

 ココです。

歯垢は歯ぐきとの境目に付き、どんどん歯の上の方に上ってくるように付いてきますので、歯の中でも歯ぐきに近い部分が虫歯になりやすいところです。

 

 そして最後、四番目、
「治療で詰めた物と、歯との間」 です。

 これは、「二次カリエス」(カリエスは虫歯のこと)と呼ばれ、非常に多いです。

実は歯は、全く治療していない状態が、一番虫歯になりにくい状態で、
削って詰めた状態は、歯の虫歯への耐性として、弱くなった状態になります。
ちなみに「治療で詰めた物と、歯との間」と書きましたが、かぶせた歯でも歯頸部などから二次カリエスになります。

とくに一度虫歯になって治療した後、虫歯にならない対策を取らないままの状態では、
一度虫歯になった歯の多くがまた虫歯になります。

そして虫歯を繰り返し、削る量が増えれば増えるほど、「歯」自体の大きさも小さくなり、最後いくら「かぶせ物」で補填しようとしても支えきれないくらい小さくなると、抜歯です。
何かで読んだのですが、大体4回位の治療で持たなくなることが多いと書いてありました。(それぞれのケースなので一概には言えません。)


以上、虫歯の発生する場所として多く見られるものを書いてみました。

9, 後半 「歯周病予防の歯の磨き方。ブラッシング指導。」 詳細。

 それではさっそくA子さんへのブラッシング指導を始めたいと思います。

歯を磨く順番に決まりはありませんが、全てを磨き残しなく磨くために自分なりの順番を決めましょう。

まず下の歯、奥歯から磨いてみます。

奥歯で磨き残しの多い場所はココ。(ピンクのマーキング。)

P1030512point2

一番奥の歯の、さらに奥側の面です。
なのでまず、ここから磨いていきます。
 歯ブラシの先端部分を使うと磨きやすいかもしれません。この時、必ず「歯と歯ぐきの境目」に毛先が届くように意識して磨いてください。

 P1030522

そして、一番奥の歯の表側。
実はこの、一番奥の歯は、歯列に沿ってそのまま歯ブラシを当てても、毛先が全く歯に当たらない歯です。
しかも、食べ物をかんだり、食いしばったりする時にとても重要な歯なので大切にしていきましょう。

P1030519

歯列に沿って動かした歯ブラシの毛先が、一番奥の歯には全く当たっていないのが分かりますか?

 実は、こんなに歯並びの良いA子さんでも、一番奥の歯より手前の歯の方が大きいため、手前の歯の方が少し頬側に出ている形になり、そのままでは毛先が一番奥歯に当たりません。

これを回避するため、一番奥歯を磨くときは、歯ブラシの柄を頬側に傾けます。

P1030521point2

 こんな感じです。

いきなりバス法の当て方になりましたが、
スクラビング法(毛先を歯に直角に当てる)でもこんな感じ。

P1030520

歯ブラシの柄が、歯列に沿っているのではなく、頬側に傾いています。

さて、A子さんにはここをバス法で磨くことをお勧めしました。

P1030521

 そこから一本手前の次の歯を磨き、

P1030517

 その手前の小臼歯を磨きます。

P1030523

 余談になりますが、この小臼歯は、大臼歯や他の歯に比べて、丸い形をしているのが分かりますか?

 この丸い形はスクラビング法をした時などにとても磨き残しが出やすい歯なので注意しましょう。

歯ブラシをただ当てただけの状態では歯が丸いので、

P1030488-point2

 こんな感じです。
(毛先が当たるのは青い線の部分だけ。赤い三角の部分は全く磨けません。)
 ここは意識して当たっていない赤い三角の部分に毛先が当たるように、歯ブラシを細かく動かし、角度を付けたりして意識して磨きましょう。

そして、この次に磨く歯からは「前歯」になるのですが、この前歯の磨き方(3面に分けた磨き方を写真で載せています)も、先程からご紹介しているコチラの記事(『検証・「なぜ、普通?の歯の磨き方」ではいけないのか』)に詳しく載っています。A子さんにもこの3面に分けた磨き方をお勧めします。
糸切り歯から糸切り歯までの6本を、一本一本、3面に分けた磨き方をしていきましょう。

この前歯の磨き方は、歯ブラシを「鉛筆を持つように持つ」持ち方ではやりずらいので、柄を握るように、御自分の持ちやすい方法で持って下さい。

左側(本人にとっては右側)も同様に進みます。一番奥の歯まで磨けたら、裏側を磨きましょう。

下の奥歯、裏側の歯ブラシの当て方はこんな感じです。
(順番的には向かって左側、本人に取っては右側の歯の裏側に進むと、良いとおもうのですが、写真は、見やすくとれたので、反対側の歯の裏側のものになりました。(^^))

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 下の奥歯の裏側は、意外と磨き残しの多いところです。意識して忘れずに磨いて下さい。
ここから、同じようにバス法で一本一本順番に進んで磨いていきます。

上の歯です。

上の歯は毛先を上に向けます。
こんな感じです。後は下と同様、少しずつ順番に細かく動かして磨いてきて下さい。

 P1030525

A子さんにはバス法をお勧めしましたが、一応スクラビング法で磨くとこんな感じです。

P1030526

このまま下の歯と同様に一本一本前に進み、上の前歯は下の歯と同様、3面で磨いて下さい。
上の前歯の裏側も3面磨きです。

上の歯の奥歯の裏側はこのように 磨くことをお勧めしました。

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反対側の、奥歯の裏側です。

P1030529

さて、一通り説明したのですが、
一度だけのブラッシング指導では、意外に覚えられないものです。
A子さんにも、磨き残しや歯ぐきの状態をチェックしながら、A子さんの磨き方のクセなどを把握し、これから何度かに分けてブラッシング指導を続行をしていきたいと思います。

 次は、歯間ブラシの説明です。
歯ブラシだけでは歯と歯の間の歯垢は落とせません。
 歯と歯の隙間の大きさは、人によって違いますので、フロスや歯間ブラシのサイズなどを、患者様の口の中をみて歯科衛生士が判断します。
A子さんには、SSSのサイズの歯間ブラシをお勧めしました。

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 このように、歯と歯の間に入れて磨きます。
ちょっと間違いやすいのは「つま楊枝」とは違うということです。
歯間ブラシを通すと、歯と歯の間に詰まった食べカスなどが取れてきて、それで満足しがちですが、目的は「歯垢」を落とすこと。

歯間ブラシを通したら、まず奥の歯の「歯と歯ぐきの間」の歯垢を取るようにして、歯間ブラシを出し入れし、その次に手前の歯の「歯と歯ぐきの間」の歯垢を取るようにして磨いていただきます。

 一通りのブラッシングについて御説明しました。
こんな感じでA子さん自身に歯ブラシを持って頂き、実際に歯科衛生士がチェックしながら磨き方をお伝えしていきます。
 一度でブラッシング方法を全て覚えて頂くことは難しいので、何度かに分けて、磨きやすい方法や細かい技術的なこと、A子さんのクセに合わせた対処法などをお知らせしていく予定です。

 その歯科医院によってやり方は様々ですし、同じ歯科医院でも口の中の様子や、ブラッシング指導に入った回数等によってやり方を変えると思いますが、
今回は、この後、歯科衛生士が歯ブラシと歯間ブラシでA子さんの歯を全て丁寧に磨き上げます。
A子さんに歯ブラシで磨いたときの感触や感じを実感していただきたいと思います。
 その後、機械を使って磨いていこうと思います。

 

  さて、これはA子さんにしたブラッシング指導で、皆様に当てはまる物ではありません。
例えばA子さんには、歯間ブラシをお勧めしましたが、歯周病に一度もかかったことがなく、歯ぐきが健康で歯と歯の隙間の空いていない方などに歯間ブラシは合わない、などということもあります。
 口の中は、一人一人、歯の状態も、歯ぐきの状態も全然違うため、歯科医師や歯科衛生士に直接みてもらった上で実践しないと、症状を悪くすることもあり、危険なのです。
 またその歯科医院の先生のお考えで、歯磨きの仕方も変わります。
 目指すのは、歯と歯ぐきの健康を保てるブラッシングの仕方、ということだと思います。

 ぜひ一度、かかりつけの歯科医院でブラッシング指導を受けられてみてください。

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