年を取ったら、入れ歯? の負担考えてみました。

 年を取ったら、入れ歯にする。

と元気におっしゃる方がいらっしゃいますが、
今日は、それを考えてみたいと思います。

 私達の身近には、意外に、入れ歯の方が多くいらっしゃいます。

不幸そうでもなく、元気に過ごしておられ、
入れ歯にしても、あんなに明るくしていられるのだから、
自然の成り行きで、そうなってもしょうがないかな、
などと、ついつい思いがちです。

入れ歯になって、ど~ん、と暗い方ばかりであれば、
「ああなりたくない」、と思われるのですが、
入れ歯の方々は明るく魅力的な方が多いので、歯科衛生士も困ります。(笑)

商売あがったりだ、という話ですが、
保険適用の診療報酬額をもとに換算してみると、
金銭的には、皆さんが健康であった方が、歯科衛生士(歯科医院)はあがったりです。

実は、ここ(歯周病「予防」にあまり保険がきかない)に、日本の80歳代の平均残存歯数が少ない、ということの原因の一端があるような気もするのですが、

歯周病予防をすれば多くの歯周病が防げます。

そして、使命的には、皆さんの歯を守るのが、歯科衛生士の仕事。

なので、今日も、健康でいられる歯科の知識を書いてみたいと思います。

 では分かり易く、総入れ歯の例で見てみましょう。

 まず、一本一本抜いていく抜歯代(永久歯32本、親知らずのない方でも28本)がかかるということから始まる金銭的な負担は、
抜歯した後にも放置できず、食物を噛んで飲み込むために、入れ歯やインプラントの作成が必要、というふうに続きます。
 何本か抜いた時点で、上下の入れ歯を作り、さらに時期をずらして抜歯が必要になったとすると、一本でも抜歯が増える度、入れ歯は合わなくなりますから、
抜歯をする度に新しい入れ歯の作成費用がかかります。
インプラントは、さらに高額。
顎の骨に人口の土台を外科的手術で埋め込み、その上に人口の歯をたてます。
入れ歯のように、都度いつも作り直すというわけではありませんが、
保険がきかないので、金銭的に大きな負担。
また、外科的手術をするという精神的な負担や、肉体的な負担もあります。

 その他に、発音が上手く出来なくなったり、食事をおいしくいただけない、噛むと痛い、入れ歯が合わない、食事の度に入れ歯が汚れ、落とすためにマメに洗わなくてはならない、容姿の変化、歯を食いしばることが難しくなることにより、力が出なくなる、さらに認知症のリスクが高くなると言われていること等、
その不便さやデメリットは計り知れません。

 入れ歯を使用される方々が明るく振る舞っているから、といって、
その姿を鵜呑みにせず、そのつらさや苦しさも察して頂きたいと思います。
 やっと合った入れ歯に落ち着いても、年数が経つと徐々に合わなくなり、作り替えが必要です。

 また、インプラントは、天然歯よりも、歯周病に弱いため、
インプラントを入れた後の、歯周病予防のための歯磨きは必須になります。

インプラントになってから必須になるブラッシングを、
歯周病になる前からやっておけば、快適さも若さも、経済的な負担も大きく違います。

歯周病になる前に歯を磨くか、インプラントになってから歯を磨くか、
どちらにしても、磨くことになります。

歯を失うことは、とても悲しいことで、精神的につらい思いをされる方が多いです。
ただ、歯周病予防の方法を知らずに過ごされると、結果、高確率で歯周病になり、抜歯という事実を受け入れ、諦めなくてはならないという現実に直面します。

 ぜひ、そうなる前に、歯周病は歯科医院でケアを受け、歯石除去やPMTC、ブラッシング指導を受けて、事前に予防して頂きたいと思います。

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