ブラッシング指導、出来る人には出来る、と思った話

 歯科衛生士はときどき、研修会や勉強会に参加します。
先生方同士が知り合いの数件の歯科医院のスタッフで集まったり、
有料で研修会があったり、大規模な組織で開催していたり、と様々ですが、

そこで発表される「ブラッシング指導の症例」の多くは、理想的なものです。

私もそうですが、発表の場になれば、自分が行っているブラッシング指導の中で、
患者様自身、「歯磨きをしよう」という意思が高く、熱心で、かなりきれいなレベルに毎日磨き上げる、歯磨き上級者。
歯科衛生士である自分との人間関係も良好で、ブラッシング指導を通して信頼関係も築け、
歯周病の状態も、理想的に近く回復し、改善した。

というようなケースを発表します。

その中で、自分の行った工夫や、こういう症例には、こういうやり方(磨き方等)が効果的だった。
などという成功例や実践を見せる感じです。

 でも実は、その「理想的に上手くいったケース」のカゲに、それより多くの、そこまで上手く行かなかったケースが存在します。

患者様に向き合う時点で気持ち的に負け、
(患者様社長タイプ、私ペーペータイプ(笑))
ブラッシング指導で多くの汚れの残るその方の歯磨きを改善して、習慣づけてもらうまで患者様の行動を変えて引っ張るほどの自信を、自分の中に持つことができなかった。
(経験有り。)
ブラッシング指導をしても、患者様になかなか器用に歯垢を落としてもらうことが出来なかった。
(経験有り。)
歯科衛生士である自分の話を、患者様がどのくらい受け止めて下さったのか、今イチ分からなかった。
(経験有り。)
熱心に言い過ぎ、怒らせてしまった。
(経験有り。)

(そこ…。 その理想的なケース発表するより、ずっと勉強になるんじゃないのかな?!
くらいの。(笑))

 この、発表されないその他大勢のケースを、どこまで広く拾えるか、諦めずに自分自身の糧として、より長く歯を残せるように多くの患者様に接することが出来るようになれるか、が本当の歯科衛生士の仕事のように思います。

「患者様御自身に磨く気がなかったので」、という究極の?逃げ手もあるのですが、

それを言っちゃうと、こんな楽なお仕事はないんです、歯科衛生士って。(笑)

 50年以上筋金入りのヘビースモーカー。
誰に止められても、どこ吹く風だった私の父は、
ある日スパーンと、タバコを止めました。

以来数年、一切喫煙していないわけですが、
そのきっかけは、父のことを真剣に考える、熱心な医師に指導されたことでした。

誰もが諦める、
「この患者様、タバコ止めないな」、という雰囲気。

娘の私でさえ、すでに止める気ナッシング。(笑)

でも、本当の真心があれば、出来る人には出来るんだ、と思い知った出来事でした。

(あまりの効果。突然一本も吸わなくなるという思い切りの良さには医師自身も驚いていたそうですが。)

 ブラッシング指導で上手く行かなかったときには、
「私以外の誰がブラッシング指導に入っても、この方は、磨くことはなかったのだろうか」
と考えることが必要かもしれません。

 さて、これを読んでおられる読者の皆様が、歯科衛生士さんのブラッシング指導を受けたことがあるか、ないかは分からないのですが、
私のサイトの書き方でなかなかお伝えしきれなかったとしても、
歯と歯ぐきの境目を意識して優しく磨き、歯垢を落とすことには、本当に大きな意味があります。

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歯と歯ぐきの間から、歯周病菌が入り込んで、抜かざる得ないぐらいまで歯を植えている骨を溶かしてしまう、
それが歯周病で、
歯と歯ぐきの境目の汚れを落とすことで予め防ぐことができる病気だからです。

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年末に入り、これから歯科医院の予約を、という予定が立ちづらい季節となりましたが、
今年中に予約を取れなかった皆様も、年明けには定期的に歯科医院に通院して歯石除去、歯のクリーニング、歯の磨き方のレクチャーを受け、歯周病を予防して頂きたいと思います。

完ぺきを目指し過ぎない。

 今日の記事タイトル、「完ぺきを目指し過ぎない」。

えー完璧ではない、とも歯科衛生士さんらしいタイトルです。(笑)
正直、「目指しましょう」と言われたら、
……。

そう考えるだけで、プレッシャー。(笑)

(えー、もちろん目指さなければならないところはあると思いますが、
理想を追求することと共に、現実を見極める目も必要だと思います。)

 さて、例えば、今ココで全国の歯科衛生士を抜き打ちで全員集めてきて、

歯垢が染まる、染め出しを行ったら、
100%誰一人一切染まることはない、
ということは多分無いかと思います。

かなり昔、
歯科衛生士の月刊誌で、新人の歯科衛生士さんが染め出しに一切染まらないように挑戦する、
100%磨きに挑戦、というような記事があり、
そうなんだ、と思った記憶があるのですが、
毎日常に一切染まらないまでに磨き上げられるのは、プロでも全員ではないというところ。
100%磨きは意外に難しかったというレポートだったように思います。

歯には、歯と歯ぐきの境目(歯頸部)、歯自体の表裏、歯と歯の間(隣接面)、噛み合わせの面、複雑な凹凸などがあり、
時間に余裕のある日もあれば、ない日もある中で、
隅々まで毎日欠かさず磨けるのは、時間もかかり、
またさらに仕事を持っていたり、自分一人だけでなく子供達の仕上げ磨きも必要になると、
100%磨きに毎日挑戦し続けるということは、技術的にも高度でけっこう負担になることだと思います。

理想的に言うと、それをしなければ虫歯になったり、病気になる可能性があるので、
完ぺきを目指して、歯磨きしましょう、と患者様にいうのも、歯科衛生士の仕事ということになるかもしれませんが、

ただ、ブラッシング指導に熱心な歯科医院の患者様であっても、
100%で有り続けることを強要され続けることは、負担になる可能性があると思います。

「磨こう」という気持ちがあること、と、
「磨ける」ことは、違います。

歯磨きを完ぺきにすることは、意外に上級者の技で、マスターできない方のほうが多いように思います。

やる気があるのに、現実には磨けない、
そこを毎回指摘され続けること、
かなり頑張って磨いて、
指摘され、
頑張って磨いて、
指摘され、
その繰り返しになることが、
やがてやる気をそぐ結果となり、
自信がなく終わる、ということは、
ブラッシングに詳しくない患者様ならありえること。

やろうとする気持ちのある分、やれなかったときの気持ちの負担もまた大きいかもしれません。

 でも実は、全く染め出されないほど完ぺきに、磨ける方のほうが少数派です。

こういうと、磨かなくても大丈夫、とだけとらえられそうなので、あえて書きますが、
保障はしません。
大丈夫とも言えません。

ただ、自分にとって高度すぎる技に挑戦して、挫折してしまうより、
必ずしも、完ぺきにできなくても、やった分、努力した分は、歯が残る可能性が広がります。
これが本当に大きいと思います。

 米映画の「ターミネーター」
(アーノルド・シュワルツェネッガーさん扮するターミネーター(人型ロボット)が、「I’ll be back.(また来る)」と言って去っていき、戻ってきて大破壊をしてしまうセリフも有名。)
と同じ原作から書かれた、米ドラマの「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」
(DVDで借りました。)の中で、ターミネーターが人間に向かって呟く言葉があります。

「神に聞いてみたいことがある。 どうして人間の関節をボールジョイントにしなかったのか、と。」

えっ?
だってそこ、ボールジョイントにしたら、
「エクソシスト」になっちゃうじゃん!
という、ともさんのボールジョイントイメージのセリフは、
全く答えになりませんが、(笑)
(「エクソシスト」は、米の伝説的なホラー映画。 
一番有名なシーンは、一度むこうを向いた女の子の首が360度まわって、またこちらを向くところ!(笑)
こう書くと笑えますが、見ると恐怖。)
とりあえず人は、出来る範囲を完ぺきにするのが良いようです。(笑)

 さて、前回記事(『80歳で20本の歯を残すのは、「意識」すれば意外ににカンタン』)にも書きましたが、
8020運動(80歳で20本の歯を残す運動)は、完ぺきでなければ達成できないほどの、夢のような数字ではありません。
ある程度、歯と歯ぐきの境目の歯垢が取れること等で、実現可能な数字です。

体質も生活も違うので全員できるとは言えませんが、
日本全体では、目標に出来る数字だということです。

まだ、日本では一本も歯のない状態になるほど、歯周病で歯を失ってしまう方々も多くいらっしゃるのですが、
これは少しずつ状況が良くなりつつあります。
厚生労働省や日本歯科医師会の8020運動などの啓蒙活動もありますが、
意識して気を付ける
(歯科医院に行って、歯石除去などのクリーニングをしてもらったり、定期的に診てもらう)
ことによって、歯はより多く残せるようになってきます。

どちらかというと、多くのかたに出来ること、
完ぺきを目指しすぎなくても、「今より多くの歯垢を落とすこと」は、出来るかたが多いのではないかと思います。

自分で出来なくても、歯科医院で定期的に診てもらい、クリーニングしてもらえば、
また、長く残せる可能性が増えます。

 御自分で管理が難しくても、定期的に通ってクリーニングを受けること、
歯科医院の歯科衛生士さんに聞いた方法で磨くことは、歯を長く残すために有効な手段です。

高望みではなく、目の前の一歩を踏み出すつもりで、
予防歯科のある歯科医院などで、定期的に診てもらうといいと思います。

80歳で20本の歯を残すのは、「意識」すれば意外ににカンタン

 順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生(大ベストセラー『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』を書かれた先生)は、
著書 『超一流の人の「健康」の極意』で、

白い紙に点を書き、そこから水平の線を引く。
いわばこれが超一流ではない人の心と体の状態。
でも次この点から、1ミリ=1度でも上に角度を付けて線を引くと、
線はどんどん上に向かって伸びていき、最終的に水平の線との差は、大きく広がっていく。

これが超一流の人と、そうではない人との違いで、
人生に手遅れはなく、気がついたときから始められることで、また誰にでも出来ないほど難しいものでもない、

超一流の人は、決して遠い存在ではなく、たった1ミリ前に踏み出したら、あなたの心と体の健康も超一流になれるのだ、

ということを書かれ、その具体的な方法を載せられています。

 

 斎藤一人先生の書いた『微差力』という本があります。
「銀座まるかん」という健康食品の会社で売上げ、生涯納税額が日本で第一位。
といっても、まだお若く元気でご活躍されているので、これからも納税され続けると考えると、
一体どれだけ日本に貢献されるのだろう、という方でいらっしゃいますが、
それだけの成功を収めている斎藤一人先生も著書の中で、

成功する人としない人の差は「微差」。

ほんの少しのことを、「するかしないか」だ。

ということを書かれています。
これだけの大成功者が、成功しない人との違いを「微差」だと言い切るのは驚きですが、

小林弘幸先生と、斎藤一人先生は同じ事をおっしゃっていると思います。

 さて、とも歯科衛生士さんには珍しく、なんかスゴイ方々を持ってきてしまった壮大な記事の書き出しになりましたが、(笑)
話を記事のタイトル通り、80歳で20本の残存歯、に戻しますと、

「80歳で20本の歯を残せるかどうか」も、この微差、1ミリの違いであると思います。

現在、後期高齢者の3人に1人が「総入れ歯」を使っている状態だそうですが、
歯は、ほんの少し「する」だけで、高齢になっても20本は残り、生涯自分の歯で食べ物を食べることが出来る、その予防法がスウェーデンで成功しています。

厚生労働省や日本歯科医師会が「8020運動」(80歳で20本の歯を残す運動)を推進しているのも、
これが夢ではなく、少し意識すれば日本全体で実現可能な数字だからです。

ただ、そこには微差、ほんの1ミリ意識を向ける必要があります。

 私の祖父は八十歳代後半で天寿を全うし亡くなるまで、ほとんど歯が残っていました。
キチンと数えなかったとは歯科衛生士としてどうなの? という感じですが、(笑) 全て残っていたのではないかという感じです。

毎日丁寧に歯を磨いていたことが功を奏したと思いますが、
私がブラッシング指導するなら、「もう少し細かく歯ブラシを動かして下さい」と、言っていたかもしれません。

几帳面でキチンとしていて、丁寧にけっこう細かく動かして何分か磨いていましたが、
かなり時間をかけて磨く、とか、端から見て負担になっているのではと思うほどではありませんでした。

多分100%歯垢が落ちる磨き方ではなかったはずですが、
ある程度丁寧に磨けていたことで、歯を残しました。

 永久歯は28~32本あり、

それを現実的に、何十分も時間をかけ、毎日一日も休まず継続しなければ、八十歳で20本残すことはできない、とは、限りません。

ある程度、歯垢を落とす努力をする。

定期的に歯科医院で歯垢や歯石を落としてもらい、
少しでも歯と歯ぐきの間の歯垢を落とすことを意識する。

一度やり方を覚え、これだけのことでも、だいぶ変わります。

もしかしたら、ここが微差力。
1ミリの意識で、大きく結果を変えるところだと思いますが、
たとえ完ぺきじゃなくても、自分で出来る行動をして、丁寧に汚れを落とそう、とする意識は非常に大切。

なるべく丁寧を継続して、より多くの歯を残せるような努力に変えることも必要ですが、

まず「健康に過ごそう」「歯を残そう」と「意識する」。
このことがきっと、80歳で御自分の歯が残っているか、残せないかの明暗を分けます。

もちろん、人それぞれで例外もあり、
全身の疾患や体質があって、丁寧に磨いても歯周病に罹りやすい方はいらっしゃいますし、
喫煙の習慣等から、歯周病が良くなりづらいかたもいらっしゃいます。

ただそれがあるからといって、まだ歯を失う前から、自分はズボラだから、そこまでできないから、難しそうだから、と諦めてしまうのは、あまりにももったいない。

完ぺきに磨けなくても、8本失っても、
残すことを意識して磨いていたことで、20本ぐらい残すことが出来る、ということは、多いと思います。

歯と歯ぐきの境目、どこの歯垢を、取ればいいか、
どのように歯ブラシを当てれば歯垢が取れるか、
というポイントに絞って歯科衛生士の話を聞き、

定期的に歯科医院に通って、歯石や汚れを取ってもらう。

毎日完ぺきに歯を磨けなくても、
忙しい時期に歯磨きの手を抜いてしまうことがあっても、

知識と意識があれば、多くの歯を残せる可能性は高くなります。

 

 ぜひ、どこも悪くないうちから「歯石除去」などを希望して、クリーニングで定期的に歯科医院に通い、

勇気を出してボソッと、「歯の磨き方、ブラッシング指導を受けたいんですが」とつぶやいてみていただきたいと思います。

それが御自身の8020を実現する道かも知れません。

(ブラッシング指導は「予防歯科」をしている歯科医院だと、受けやすいかと思います。)

 

歯周病「予防」のブラッシング指導は自費でも、歯周病「予防」のために受けられるのがお勧めです。

 歯周病「治療」でするブラッシング指導には保険が適用されますが、
歯周病「予防」のためのブラッシング指導には保険がきかないそうです。

ただ、歯周病には、この「予防」がとても大切です。

歯周病は、
「歯周病予防の歯磨きをすることで多くを未然に防ぐことができ」、

「歯磨きができなければ高確率でかかります」。

 歯周病になる前に、歯周病にならないための歯磨きの方法を知ることには、
とても大きな価値があると思います。

さて、そんな大切な「歯周病予防のための歯磨き法」をお伝えするブラッシング指導ですが、
歯科医院で本格的に受けるときは、自費。
(歯科医院によって自由に値段設定ができるので、金額はそれぞれなのですが、一回3000円前後で入って下さるところもあるようです。それぞれの歯科医院でご確認下さい。)

 それでも、受けられれば良いほう、というか、
予防のためのブラッシング指導があること自体、教えて頂けないこともあるようです。

 これは、場所や使う機械などのコスト、時間や人件費のコスト、国家資格を持った一人よく分かっているプロが個人レッスン、ケアをする、というような、ものの価値や値段を考えると、一回3000円前後なら安いぐらいだそうですが、
(ブラッシング指導に入れる資格を持つ「歯科衛生士」は、パートさんの時給だけでも、求人を見るとたいてい千数百円。)

患者様に、「保険外で自費」、をお勧めするだけで、
「儲けようとしている」、というふうに誤解されてしまうことがある上、

現実にはたいした儲けにならず、その時間に他の治療をしていたほうが誤解もなく金銭的にも潤う、ということもあるようです。

 患者様が歯周病で歯を失うことのないよう、歯周病予防の歯磨き法をお伝えする。
本当にとても重要で大切なことなのに、保険がきかず自費のため、
お勧めした方が儲けようとしていると誤解され、
お勧めしなかった方が、患者様に良心的な歯科医院だと思われる可能性がある、というのは、
歯科衛生士として、今イチ納得できませんが、
これが現実のようです。

  私も歯科医院で、この自費のブラッシング指導に入らせていただきましたが、その時は、
まだ、歯科医院全員それぞれの立場で患者様に歯周病の原因(菌)、予防の大切さをお知らせし、その予防できる方法をお伝えすることが珍しい時代、

他にない良い歯科医院だな、と思って下さる患者様が多かったこともあり、
患者様にとても喜んで頂きました。
当時、ブラッシング指導に入って、次回に全く反応無く磨いてこない患者様はあまりいらっしゃらなかったと思います。

 歯周病になる前の段階で、ブラッシング指導を受けることが、いかに大切か。
一生を通して、歯を残そうとする方法を、知ることの重大さを、
カウンセリングなどでしっかりお伝えすることが出来れば、
それでも、ブラッシング指導はいらない、という患者様はとても少ないと思います。

 

 日本国憲法第25条第1項、生存権に、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と記されています。

そのため日本には、国民皆保険の保険制度があります。

 病気の治療が受けられずに生きる権利が阻まれることの無いよう、保険でお金のかからない治療をする、そのことは大切だと思います。

ただ、社会主義ではなく資本主義が繁栄している事実からも、
最低限度にとどまらず、お金を出すことには出すことの価値も、やはりあるように思います。

ブラッシング指導は、保険でも自費でも一度受けてみられるのがお勧めです。

一回ではなかなか覚えられないブラッシング方法ですが、
最初はだいたい三回10000円ぐらいのお値段で、教えてくれる歯科医院が多いように思います。
(自費なので、それぞれの歯科医院が設定したお値段です。それぞれでご確認下さい。)
(口の中を診て、歯科医師や歯科衛生士が回数など判断してくれます。 終わった後も、定期的に入った方がいいなど、必要に応じてお勧めしてくれると思います。)

 美容院に毎月お金を使うのに、なぜ歯を残すためのブラッシング指導には、抵抗があるのか、と歯科ではよく言われるのですが、多分、
歯の磨き方によって将来歯の治療をし、失っていく現実に対する知識が周知されていないから、
と言うところかも知れません。

80歳で20本以上の残存歯を目指して、
ブラッシング指導を受ける。
自費は高い、というイメージがあるかも知れませんが、きちんと値段を確認してみると、ブラッシング指導は、
患者様が希望すればとくに、そうとうお得なお値段だと思います。
(その歯科医院により値段は変わります。それぞれご確認ください。)

「歯磨きの仕方、ブラッシング指導を受けたいんですけど」
と歯科医院でつぶやくと、予防歯科をしている歯科医院で診ていただけると思います。

 

歯科衛生士は専門の学校に行って取得する国家資格です。

若いうちに磨き方を覚える

 歯周病を防ぐ歯磨きは、若いときから定期的に歯科医院に通って歯石除去やクリーニングなどのケアを受け、
1年365日、歯を磨いて、隅から隅までフロスをかけ、
それを何十年もこれからさき一生、一日も休まずに続ける。

そうしなければ歯周病で歯を失う、

とは限りません。

「キチンと歯を磨きましょう」、の「キチンと」は、頻度ではなく精度であることも多いです。

まずは「キチンと」、つまり、ある程度「的確に、歯垢が落ちる」磨き方を覚えます。

 これは、若いときにブラッシング指導を受けると良いなと思う一つの理由でもあるのですが、
ブラッシングは、いかに「肝心な所の歯垢が残さず落とされているか」が大切です。

まずは、なるべく若いときに、この技の習得を目指します。

 「一日三回、歯を磨くよりも、一日一回でいいのでキチンと丁寧に磨きましょう。」ということが、よくブラッシング指導などでも言われるのですが、

歯周病予防や治療のための歯磨きでは、
いかに、歯と歯ぐきの間についた歯垢を取り除くことが出来たか、が大切です。
歯垢(菌)が付き続けていると、それによって炎症も続くからです。

ただ、「歯垢(菌)をある一定数以下にするようにキレイに磨ける」 ということと、
「それを毎日続けられる」 ということは、実践にしてみると、また別問題。

ここをいっぺんに考え、初めから必ず同時に、これから一生し続けよう、と強制すると、歯磨きの難度はスゴく上がってしまうため難しくて、現実的は挫折することになりかねません。

「できないのならそれでいい、できる精鋭だけついてこい」、というブラッシング指導のスタイルもありますが、(笑)

私はユルい歯科衛生士なので、ここは難度を下げていきたいと思います。(笑)

人は意外と、「実際にやる」ことよりも、
これからやらなくてはならない、と「思うこと」に、気持ちの負担を感じているものだと思います。

そしてこの気持ちの負担が、「歯周病予防の歯磨き法、からのフェードアウト」に繋がります。
えー、自然にやらなくなってしまう、ということです。(笑)

歯周病になっている人も今はなっていない人も、まず「磨き方を覚える」、これだけに集中してみます。
なっていない人も、年齢が上がれば高確率でかかる、それが歯周病です。

何度かブラッシング指導に入って歯科衛生士さんのチェックを受けながら、毎日練習のつもりで続けて磨き方をマスターしてください。
とにかく「磨き方を覚えるまで」は、毎日しっかり磨き、たとえ出来ない日があっても挫折せず、翌日からまた磨きます。

私はユルい歯科衛生士ですが、ここは強引に進めます。
歯ブラシの使い方から、歯間ブラシ、フロスのかけ方まで、完璧に近く一度マスターしてしまって下さい。

ポイントは「どこに」当てるか、これを確実に覚えます。

ここで短期間であっても、毎日磨くことと、歯周病予防の歯磨きがキチンとできる、という自信をつけます。

 まずは、ここから始めて見るのがいいと思います。