40歳代以降で、「歯の浮く感じ」「出血」は甘く見ず、「早めに歯科医院へ」。 30歳代ぐらいからは定期検診に歯科医院に通う。

  歯周病は、ほとんど症状の出ることなく進行し、気が付いたときには「抜歯が必要なほど重症」、という状態になることが多い病気で、
その結果、後期高齢者の3人に1人が「総入れ歯」を使っている状態、
という深刻さですが、

他の国もそうなのか、というと、違います。

80歳での平均「残存歯数」は、日本約8本に対し、スウェーデン約20本。

比べると、日本が少ない本数、歯周病などで多くの歯を抜歯してしまっている、という結果です。

 この大きな違いは、歯周病予防のために、定期的にクリーニングなど「歯科医院に通えているか」ということがあるようですが、
スウェーデンでは、多くの国民が歯科医院に通い、歯周病を防いで多くの歯を残すことに成功しているということがあるそうです。

 これ、なんというか、スウェーデンが進んでいるのか、日本が遅れているのか、という話ですが、
多くの人が予防できる、とハッキリしている病気(歯周病)に、
みすみす未だにかかり続け、多くの方々の歯が失われていく現実は、どうなのかなと思います。

 対策ですが、
80歳までに28本抜歯する、などというリスクを少しでも避けるため、
(「総入れ歯」は歯の無い状態。 ほぼ永久歯28~32本を抜歯したということです。)

歯周病の診断が下る前、健康なうちから数ヶ月に一度定期的に歯科医院で検診、クリーニングを受けて予防されるのがいいそうです。

 これには本当に、「歯周病の診断が下る前から」というタイミングが大切で、
「歯周病の診断が下った」時点では、残せない歯が多数、というほど末期だったり、重度に進行している、ということも多いです。
結局、このタイミングを逃すので、多くのかたが歯周病で歯を失う、という結果になります。

とくに、30~40歳代の方には、予防歯科のある歯科医院に、かかりつけになってもらい、定期的にチェックしてもらうことをお勧めします。

今どこも調子が悪くなくても、
「どこも調子が悪くないんですけど、定期検診とクリーニングをしていただきたいと思って…」というような電話をかけて予約を取り、受診。
歯石や汚れを取ってもらったり歯周病予防の歯磨き指導を受けたりするのが、予防歯科(スウェーデンで抜歯数を激減したシステム)になり、歯を長く残すことに繋がります。

 歯周病はサイレントな病気で、ほとんど症状がでなかったりしますが、 もし、40歳代以降などで「歯が浮くような感じ」、「最近歯ぐきから出血がある」などと思ったら、軽視しないで、本当に歯科医院に行き時だと思います。

だからと言って、
「オレ、29歳。 セーフ」。
とかいう話ではありませんが(笑)、

セーフなうちに歯周病予防対策をしていないと間に合わない、ということです。

歯周病は慢性病のことが多いので、症状は比較的ゆっくり進行しています。
ただ止めなければ、ゆっくりながら、どんどん進行を続けるので、
少し歯が浮いたから即会社を休む、ということではなく、
症状を話して予約を取り、「土曜日の休みには歯科医院へ行こう」、ぐらいのタイミングでは行くのがいいかもしれません。

行って何でもなくても、そこから定期検診でみてもらい始めます。

浮いたり、出血など、はっきりした症状のない方も、
実は、若い頃の口の中と、今の口の中は、全く違います。

歯周病は多くの場合、30~40歳代ぐらいから始まり、
40歳代では抜歯するケースも目立ち始めます。

ここで食い止められるか、歯科医院に行けるかは、
人生のターニングポイントかも知れません。

ぜひ、油断せず予防歯科のある歯科医院に通われるのがいいと思います。

「磨いているつもり、で磨けていない」を回避する、ブラッシング。 スウェーデンの歯磨き法。

 前回の記事(『なぜ、「磨いているつもりで、磨けていない」のか? 実は歯磨きに最適?! というほどでもない歯ブラシ。』)で、
歯ブラシで「歯を磨ける部分」は意外に少なく、
磨いても多くの歯垢が残りやすい、という内容を書きました。

「磨いているつもりで、磨けていない」。
これは、患者様のせいというより、
「歯ブラシ」で、歯を磨ける部分は一部分に過ぎないため、多くの人がそう思いやすい、ということですが、
前回このことをお知らせしたので、今回は、その回避法。

磨いているつもりで、「磨けている状態」にする。
という方法を考えてみたいと思います。

  この解決には、「磨いている」、と認識しているところが、「磨ける」よう
(歯面にブラシの毛先が当たり、接着している状態)になることが必要です。

そこで1970年代に予防歯科を導入し多くの人々の歯を残すことに成功している歯科先進国、スウェーデンでしているという歯磨きの方法を参考にしてみようと思います。

と、言っても、とも歯科衛生士さんはスウェーデンに行ったことがなく(笑)、
メディアで学んだ範ちゅうなので、
これが本場、スウェーデンで行われている歯磨きか、と言われると、
きっと、何かが違う(笑)。

でも、歯科専用の予防歯科製品の大手 株式会社オーラルケアさんで紹介されていて、テレビでも取り上げられたそうで、最近ネットでも多く話題となり、本も出されていて、素晴らしいと思いました。

スウェーデンの歯磨きでは、

歯ブラシを使う前に、ワンタフトブラシを2分ほど使い、歯ブラシでは届きづらい、磨きにくい所を磨き、そして、歯ブラシをかける、という方法で歯を磨くそうです。

まず歯科医院で、患者様個人のリスク部位、歯周病や虫歯になりやすい所や磨きづらい所などを教えてもらい、確認して、
気力の充実している最初にそこを、ワンタフトブラシで2分、集中的にブラッシング。
歯ブラシよりワンタフトブラシがメイン、というような考え方で磨いた後、
歯ブラシをかける。

ということだそうですが、

 さて、「ワンタフトブラシ」とは、このような物です。P1030795

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P1030799

 とも歯科衛生士さんもブラッシング指導で、ワンタフトブラシを使ったりしていましたが、ここまで活用する、という発想がありませんでした。

 ワンタフトブラシは一束の毛のブラシなのですが、

ほぼ、「ブラシの大きさ」 イコール 「歯面に当たる大きさ」
と、磨けている範囲が比較的正確に把握できる上、
歯ブラシのように、毛の一部だけに歯が当たって(ひっかかって)ブロックされ、それ以上奥に行けない、ということがありません。

P1030488-point2
歯ブラシの毛先が青い線の所などに当たりブロックされて、それ以上奥(赤い三角の部分)にまで毛先が入り込めない。

 ワンタフトブラシなら、毛先がどこかに当たってブロック、邪魔されることなく、スイスイ目的の場所(奥に入り組んだところ等)を磨けます。

つまり、「磨いているつもり」のところが「磨ける」ブラシ、ということになりやすいかと思います。

 

 さて、これで考えてみると、
歯ブラシで歯磨きをするとき、磨けないところ、磨き残しが多く問題になる場所、は主に2つあります。

一つは「歯と歯ぐきの間」、
もう一つは、「歯と歯の間」です。

 

なので、自分個人のリスク部位(歯並びの悪いところ、汚れのたまりやすいところ、炎症があるところ、等)だけではなく、
一番気になる歯と歯ぐきの間(ピンクの線)を全部、

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ワンタフトブラシで一通り磨き、そのあと、歯間ブラシ。

(ワンタフトブラシは、 小さいブラシで、ちまちまと…、 という印象ですが、心の中で、「スイスイっ」と唱えて、奥の入りにくい部分にブラシが入り当たっているイメージで小刻みに動かしながら磨くと、意外と快適? 長くても2分ですし苦にならないように、心を軽くしてお使いになられるのがいいと思います。(笑))

IMGP4077

「歯と歯の間」は、歯間ブラシ。

(歯間ブラシの使い方としては、
ただ通すのではなく、あくまで「歯と歯ぐきの間」に当てるように意識します。

 まず上の写真、「手前の歯」の、「歯と歯ぐきの間」に歯間ブラシを当ててから、出し入れし、
その後、下の写真。
「奥の歯」の、「歯と歯ぐきの間」に当てて出し入れして磨く。

写真は角度を明確にするため、かなり力が入っています。
実際には力を抜いて、過剰な歯ぐきの退縮をおこさないようにそっと磨きます。(歯科医院でプロの直接の指導の元に行うことが必要です。)

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歯間ブラシを使わないときはフロスをかける。

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上の前歯など歯ぐき退縮が気になるところは、フロスがいいかも知れません。
ワンタフトブラシも無理せず、力を入れずに必ず歯ぐきの様子をみながらされるといいと思います。

そして最後に歯ブラシで歯の表裏、力を入れず磨き残しがないように磨いていきます。

 なんとなく、本場とは違う磨き方になってる予感満載ですが、(笑)
先に2分ワンタフトブラシをかける、日本で補助用具とされているものをメインにしてみる、
というところが、スウェーデン。(笑)

 でも、これを実際してみると、歯ブラシだけの時より断然、歯垢が落ちていることが分かります。
スッキリする、といえば一言ですが、
歯ブラシをかける前でも、「ワンタフトブラシ、歯間ブラシやフロス」をかけ終わった時点で、かなり歯垢が落ちている感じです。

ただ、注意点としては、
やはり歯と歯ぐきの間、「やわらかい歯ぐき」というデリケートな部分に触ることになるので、力を抜き、過剰な歯ぐき退縮などの弊害がでないようにすること。
弊害を防ぐためにも歯科医院でプロに直接みてもらいながら、指導の元にブラッシングすることが必要です。
歯周病予防には、歯科医院の定期的なケアが必要で、スウェーデンでも、それをしたことにより成功しています。
ぜひ予防歯科をしている歯科医院に通われてください。

 歯科先進国スウェーデンでは、1970年代に予防歯科を導入して、
虫歯、歯周病での抜歯数共に激減させる成果を上げていますが、
歯周病で成果を上げている背景には、
磨き方もあると思います。

今までは歯磨きで主に「歯ブラシ」を使い、補助用具として、「歯間ブラシ、フロス、ワンタフトブラシ」などを使うという発想でしたが、
日本で未だに歯周病が問題となり、歯の喪失原因の第一位になっていることを考えると、

歯垢を取るのに必要な道具の主役、メインをむしろ、「歯ブラシ」より、補助用具としている「ワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロス」にももってくる、というような発想。
少なくても補助用具というより、歯ブラシと同等ぐらいに大切な物という認識もあったほうがいいかもしれません。

 

なぜ、「磨いているつもりで、磨けていない」のか? 実は歯磨きに最適?! というほどでもない歯ブラシ。 

 歯磨きで、「磨いているつもりで、磨けていない」は、よく聞く言葉です。

「磨いている」のに、「つもり」と言われてしまうと、

ガーン!という感じですが(笑)、

実際に、「歯ブラシ」を使って歯を磨くとき、
歯の形(曲線)に歯ブラシの形(直線)が合わず、
当てたとき、歯に歯ブラシが接する面積が少なくて、
意外に汚れが取れていない、という状態になります。

この状態をお知らせするために、歯科で使われるフレーズかと思います。

 この検証、以前の記事 『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』 でも書いたのですが、

 普通にしがちな歯磨きは、

まず歯に歯ブラシを当て、

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そこから前に動かし…、

 P1030488

後ろに動かす。

 P1030485

 歯ブラシを歯に当て、そのまま前後にシャカシャカ動かして磨く、いわゆる普通?の歯の磨き方ですが、

今、歯ブラシで磨けていた部分、青い線の所だけだったことが分かりますか?

 P1030488-point1

 歯の出っ張った部分、外側だけに毛が当たり、
そこでブロックされて、その奥には毛先が全く届かない状態。

歯の形を円、歯ブラシの形を直線、とイメージすると、
当てたときに外周の一部しか接しない感じがつかめるかも知れません。

実際に毛先が歯に当たっているのは、
青い線の部分だけです。

 1本の歯に注目して見てみましょう。
歯ブラシを当てたとき、歯に毛先が当たっているのは、ココだけ。

P1030488-point2

歯ブラシを当てても、歯に当たって磨けている部分は青い線のところだけで、
赤い三角の部分は、全く毛先が届かず磨けていない状態になります。

もう少し、力を入れて磨けば……と思うかも知れないのですが、

結局、歯ブラシの毛は直線。
その直線を丸い曲線の歯に当てると、歯の形の一番外側に出ている部分だけが歯ブラシに当たり、
そこでブロックされて、その奥に毛先は届かない形になります。

力を入れても、当たっている青線の部分に圧が強くかかるだけで、歯と歯の間にはあまり毛先が届かない状態。

 多分、これが多くの方の「歯磨き」、
「磨いているつもりで、磨けていない」の状態かと思います。

 普通「歯の磨き方」を習わないと、このように細かいところに毛先の届かない磨き方になることが多いため、

これを回避するために、奥の方にも入れ込むように毛先を細かく動かして磨いたり、
毛の向きや角度を傾けて、普段磨けないところにも毛先が届くように気をつける、等々ということをお伝えするブラッシング指導が行われます。

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例えばバス法は、毛先を斜め45度にすることで、歯周病の原因菌が溜まりやすい歯と歯ぐきの境目を清掃できる、と同時に、歯と歯の間にも比較的毛先がとどきやすくなる。

また、歯ブラシの形を、歯と歯の間などにも毛先が届くように工夫して作られている歯ブラシもあります。

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ジーシー ルシェロ B-20 歯ブラシ。

使ってみると、この先端の山形の毛先が、
他の毛より長いため、通常では届かない歯並びの凸凹した所に、毛先がしっかり当たってきます。

例えば上から当てても、こんな感じ。
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  歯ブラシは、歯を磨くための専門のブラシですが、
歯の形が複雑なため、なかなかピッタリと合うブラシの形にはなりません。
それを少しでも歯垢の取れる歯ブラシにするため、多くのメーカーが研究し、競い合っているという感じです。

 歯科医院でもこの状態をお知らせし、少しでも歯磨きで歯垢を多く取れる方法をお知らせします。
歯ブラシだけで歯垢の取れにくい部分に、歯間ブラシやフロス、ワンタフトブラシなどを使ったり、
歯間に入りやすい歯ブラシを使って、歯ブラシを歯間にも挿入する磨き方をするなど、
いろいろなブラシと、磨き方を工夫し、病気の原因菌である歯垢を少しでも多く取って患者様が長く歯を残せるようにブラッシング指導をしている感じです。

 歯ブラシもブラッシングの方法も、日々考えられていて、
多くの種類のブラシや、ブラッシング法も出てきます。

ということで、次回は、「磨いているつもりで、磨けていない」を回避しやすいブラッシング法について、また考えてみたいと思います。

「ルミデント 歯間ブラシ」は、歯科専用。 使用所感。

 「ルミデント」は、歯科専用の歯間ブラシ。
医療用具と同じガンマー線滅菌を採用している唯一の歯間ブラシなのだそうです。

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 形状は、超合金の芯に、ナイロン毛が多くついている正統派?の歯間ブラシで、ずっと形が変わらない感じ。

「ずっと」と書きましたが、いや~、これがほんと、昔からある。

少なくても、私が新卒で歯科衛生士になった時にはありました。
(そりゃ、けっこう昔だ! (笑))

 私が勤めさせていただいた歯科医院で当時ルミデントを使っていて、
私も毎日ルミデントを使い患者様の歯を磨いていた思い出が…。
と、回顧に浸ってしまいそうなのですが、
(「つい昔話をしたくなる。」 中年あるある2。(笑)) (ちなみに「中年あるある1」
それは全く皆様のお役に立たない情報なので、
「ルミデント」に絞って記事を書いてみたいと思います。(笑)

 ルミデントは、一見普通の形をした普通の歯間ブラシですが、
その人気は、何と言っても「きちんとした作り」にあると思います。

特別目を引く仕掛けや、これと言った派手な宣伝というイメージではなく、ただ汚れ(歯垢)が良く落ちるので歯科医院にずっと置いてある、というような感じです。

 超合金のワイヤーに、毛が付いている一般的な形。 と言えばそのとおりですが、
歯と歯ぐきの間の位置を的確にねらえ、毛先を当てて磨いた時にある程度の量以上の歯垢(プラーク)がきちんと落ち、かつ歯ぐきを傷つけづらく、毛がすぐ廃れづらく…、
と歯科医院で普通?に使えるためには、ブラシの持つ性能それぞれの基準全てが、ある一定以上であることが求められます。

それをクリアしている歯間ブラシ、ということかもしれません。

 芯となる超合金に歯と歯ぐきの境目に当てて磨いたときにぶれない一定の硬さがあり、
密集させすぎずかつ歯垢を取るのに十分な毛の量があり、
柔らかさと弾力を持ちながらも、使い始めてすぐ毛が倒れることなく、なかなかへたれない強度があります。

 使い終わりも、毛の状態が悪くなったからということより、しばらく使った後、最終的に金属部分が折れて捨てることになる、という感じが多かったです。

ルミデント歯間ブラシのストレートタイプ。
ウルトラスリム(US)からラージ(L)まで、太さは5段階。

Mサイズ(ミディアム)の形がコーン状になっていて、広すぎない歯間にも先端の細い部分から楽に歯間に入れることができ、「歯間に挿入しづらい」というストレスが少なく磨けるようになっています。

  このルミデントのストレートタイプは、「フレキシブルネック」というのが一つの特徴になっているのですが、

前後左右の方向性や角度を気にせずに自由にブラシの角度を曲げられるため、歯間ブラシが挿入しづらい角度の方にも、個人個人の使いやすい角度に合わせて自由に折り曲げることが出来ます。

奥歯には、このネックを折り曲げて使うのですが、
ルミデントは直接金属部分を折り曲げず、プラスチックでカバーされた部分(根元のほう)を折り曲げて使いましょう。
こうすることで、折れやすい金属部分の耐久性を延ばしています。

 ただ、この自由さを逆に使いづらく感じることもあります。
とくに調節しなくても歯間に入る、という方には、もともとアングルのあるタイプが、固定的で動かず、使いやすいかと思います。

 ルミデント歯間ブラシのアングルタイプ。
ワイヤーがウレタンコートされているため、歯ぐきへの当たりが優しく歯ぐきが傷付きにくく痛みにくくなっています。 
(インプラントをお使いの方にも対応)

 歯間はLサイズが使えるぐらい広いと、挿入しやすく、ワイヤーが歯ぐきに刺さることが少なくなってくるのですが、
小さなサイズになるほど、挿入しづらく、ワイヤーを歯ぐきに刺してしまい痛い思いをすることが多くなります。

歯間がせまく、小さなサイズをお使いの方には、ウレタンコートされた歯間ブラシの方が、刺してあまり痛い思いをすることが少なく使いやすいかも知れません。

また、歯ぐきの退縮を最小限にするため前歯には、歯間ブラシよりもフロスをお勧めするケースも多いので、
個人個人の歯と歯ぐきの状態、クセなどを歯科医院で診てもらって、御自分に一番合う、フロスや歯間ブラシを聞いてお使いになるのがいいと思います。

軽度から重度まで、範囲の広い歯周病。 多くの方が歯周病の理由。 

 歯科衛生士は、歯周病予防に関してプロフェッショナルなお仕事ですが、
そんな歯科衛生士の口の中も、多くは歯周病の経験を持っていて、全く無縁で過ごせる歯科衛生士は少ないと思います。

 先日の記事『「命を脅かす歯周病」』でもお伝えしたのですが、
日本歯科大学の沼部幸博教授のお話では、
10代でも約6割は初期の歯周病。
この初期から進行させないことが大切ということでした。

 歯周病は、歯垢(歯につく白いカス。細菌の塊)が歯と歯ぐきの境目に付着することで発生しますが、
この歯垢(病原菌)は、歯ぐきに付くと比較的早期に、歯ぐきに炎症を起こします。

 実は、この炎症を起こし「歯肉炎」と呼ばれる状態になった時点でもう、「歯周病」です。

重い病気になる前、菌に接触し、それほど症状が進んでいない時点で「歯周病」認定される、
これがギネスブック認定、「人類史上最も感染者数の多い感染症」、
の理由の一つかも知れません。

 「歯肉炎」。 この時点では、まだ歯自体を揺るがす「歯槽骨が溶けてきた」という状態には程遠く、内部にあまり進行していなくて、歯ぐきの表面が炎症を起こしている状態。

 ただ、これを放置してしまうことで、徐々に炎症が歯ぐきの奥に進行していき、
「歯肉炎」から「歯周炎」。
 歯が植わっている土台、歯垢骨を溶かして歯がグラつきだし、
さらに進行して歯自体が植わっていられなくなるほど歯槽骨が溶けて、抜ける。
という経過をたどる、「重度の歯周病」になります。

 この「軽度の歯周病」を「重度の歯周病」にしないことが、とても大切なのですが、
それには、この歯肉炎と呼ばれる軽度のうちに、気が付いて対処していく必要があります。

 「歯肉炎」は、痛みもなく、すぐに出血もせず、腫れも微妙な変化。 その上
慢性的で、「いつもこの状態」ということが長く続くので、

そもそも「炎症を起こしている」ことに、多くの人は気が付きません。

 とも歯科衛生士さんもその一人で、
小学生の時、「この白いカス、なんだろう?」と思ってました。(笑)
歯ぐきもガンガン腫れていましたが、
全く気が付いていませんでした。(笑)

 テレビのコマーシャルなどでも、よく「歯ぐきの腫れ」というのですが、
腫れに特徴的な、「熱」、「痛み」がなく、
「膨らみ」も1ミリ以下程度、
「赤くなる」といっても、そもそも歯ぐきは赤いもの。

という状態など、初期の歯周病の炎症は、
物事をよく観察している方が、気づくかも。
ぐらいのイメージ。

痛みも不快感もないので、この症状が出たから、歯医者さんへ行こう、と思える人は、めったにいません。

さらに、前歯は磨きやすいので良く磨けている、のですが、
奥歯に磨き残しがあります。

という状態になると、歯周病を知らない人が自分で見つけるのは、無理かも。
と思える範ちゅう。

現実に、自分で全てを発見、治療するのが、不可能、とまでは言い切りませんが、困難。

それで放置され続け、「後期高齢者の3人に1人が総入れ歯」。

という結果なのかも知れません。

「昔は、歯が痛くないのに歯医者に行く、ということが常識ではなかった。」
ということも理由かもしれませんが、

「後期高齢者の3人に1人の方の歯が一本もない」という事実は、とても重いと思います。

 

 今は、この炎症を見つけた段階で、歯周病を回避するように予防できる、「予防歯科」が分かっています。

薬を使った処置でもなく、手術が必要でもない、「磨き方」や清掃で多くの場合の歯周病を回避できます。

 初期の歯周病は誰でもかかるような、ごく軽いものですが、
これを放置せず、

ここで、「歯科医院にかかる」、ことがとても大切です。

 歯周病は誰でもかかる一般的なものですが、
歯科医院にかかってブラッシング指導などを受け、定期的な清掃やケア、検診を受けると、
重度の歯周病に進行せず、歯を長く残すことにつながります。

 歯周病で歯を失わないためには、
このほとんど自覚症状のない「歯肉炎のうちに、歯医者さんに行く」、
つまり、
「自覚症状がない時点で、行動する」こと。

これが明暗を分けます。

「どこも悪くないのですが、定期的に歯の清掃をして頂きたいと思って」
という歯科医院の予約は、今、珍しくなく、歯科医師や歯科衛生士にとって普通のことです。

むしろそうしないことが、多くの歯周病の進行に繋がり、歯を残せるリスクとしてはとても危険ですので、
ぜひ予約をして歯科医院に通って頂きたいと思います。