「命を脅かす歯周病」 テレビ番組モーニングバード

 朝日テレビの「モーニングバード」で平成27年1月26日(月)、
石原良純さんのコーナー(アカデミヨシズミ)で歯周病が取り上げられ、
日本歯科大学の沼部幸博教授にお話をお伺いしていました。

モーニングバードの良純さんのコーナーでは、 平成25年1月28日にも歯周病のことが取り上げられ、最先端治療を紹介していたのですが、
(コチラの記事、 『一日で終わる』 最先端歯周病治療ペリオド。全歯30~60万円。

沼部教授のお話では、「今の時期から春先にかけては“歯周病菌が特に増えやすい要注意シーズン”である」とのことで、取り上げられやすい季節なのかも知れません。

「冬場の空気の乾燥」や「春先の花粉症による口呼吸の増加」などのため、唾液による自浄作用が少なくなってしまい、「口の中が乾燥し、歯周病菌が増えやすい環境になってしまう」とのことです。

 さて、沼部教授のお話、ここからが本題。

歯周病は初期の段階で治療を始めること。治療を開始した方がいいサインは、
・ 歯ぐきが「赤くなる」
・ 歯ブラシに「血が付く」
・ 歯ぐきが「膨らんでくる」

これを放ってしまうと、
・ 歯ぐきが「下がってくる」
・ 下がった結果、歯と歯の間に隙間が出来て「食物が挟まりやすくなる」
・ 歯が「ぐらつく」

など、重い歯周病に進行してきます。

10代でも約6割は初期の歯周病ですが、これを重度の歯周病にしないことが大切です。
そのためにはなるべく早く歯医者さんに行き、診てもらうこと。
歯科医院に行って重度の歯周病に進行させないようにしましょうということでした。

 歯周病自体も歯が抜けてしまう病気ですが、今言われているのは
全身の病気との関係で、
歯周病の炎症があるということは、そこに病原菌(歯周病菌)がまるで火薬庫のように溜まっているということ。
 歯周病を放置してしまうと、この病原菌が「毛細血管」を通って全身に回り、心臓や脳などの血管の壁に付いてコブを作り、血流を阻害。

心筋梗塞や脳梗塞など、血流が詰まったことによって引き起こされる病気になるリスクが高まるのだそうです。

 以上が、歯周病の問題点。

さらに、この対策としては、歯科医院で診てもらい処置を受けることと、
磨くこと。

重度の歯周病になると歯科医院では、歯ぐきを切って開き、歯根についた歯石や汚れなど歯周病菌のついているものを直接目で見て除去します。
以前は、器具を使ってこそぎ取るだけでしたが、最近はレーザーで取ることも出来るのだそうです。

また、患者様に御自分でしていただく治療法として、「磨くこと」は欠かせません。

どのように磨けばいいか。
番組の中では、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを45度の角度で当てて揺らす、バス法をご紹介していました。

 まず「ペンを持つように歯ブラシを持ち」、
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てる。この際、歯の根にほうに毛先を向けて「45度の角度で当てて揺らす」(力を抜いて一カ所10秒ほど)。
 さらに、歯間ブラシやフロスを使って歯間を磨くといいそうです。

磨き残しが無いように、一筆書きのように磨くのもいいそうです。

 

 「バス法」の磨き方。
歯と歯ぐきの境目のところに、歯ブラシを45度の角度であてます。
P1030517
このような感じです。

 慣れないととくに、最初からこのような角度で当てにくいので、
まず、歯の横に歯ブラシを置き、
P1030516

そこから毛先を滑らせて、角度をつけると、

P1030517

45度の角度で当てやすいかと思います。

ブラシを当てたら、その場で力を入れずに揺らします。

 

バス法、歯の磨き方 関連記事
● 8, 前半 『歯周病予防』のためのブラッシング指導。ぜひ受けて頂きたいので、その様子を書いてみました。
● 9, 後半 「歯周病予防の歯の磨き方。ブラッシング指導。」 詳細。

歯科医院に行くタイミング。 とにかく「行けるときに行っておく」。

 歯科医院の治療は、意外と時間がかかります。

口の中全ての治療が終わって、後はメインテナンスだけ、という状態にしておけばラクですが、

これから治療、となると、
「今は忙しいから」、「仕事が大変な時期」、「子供や親のお世話をすることになった」、
結婚、お祭り、

などなど予定がでてきてそれと重なり、なかなか腰が上がらなかったのに、さらに行けなくなり、
気が付いたら抜歯せずに治療できる時期を過ぎていた、ということになりかねません。
(これが意外に多いです。)

思い立ったら吉日と言いますが、「今、行ける」というタイミングを逃さず予約を取りましょう。

今行けると、この先もずっと同じように行けると考えがちですが、
そうとばかりも限りません。

 一度治療が必要になるほど進行した虫歯が、放置していたら良くなった、ということはありません。

歯周病はブラッシングで良くなってきますが、
歯科医院に行かずに自己流で治すにはハードルが高く、歯石を取ってもらう処置などもいります。

磨き方を分かっている歯科衛生士も、歯科医院に通って歯石を取ってもらい、PMTC(機械での清掃)をしてもらいます。
(自分の歯磨きだけで健康を保てる、とは思っていません。)

自分でなんとか、と思っていると、悪化していって時期を逃し抜歯にまで進行しかねないので、
(歯を磨いているつもりで、ついている歯石を磨いていた、というようなこともあります。)
ここは、逃れられず、「行かなくてはならないもの」ぐらいの気持ちで行動した方がいいように思います。

治療の必要のない状態でいく歯科医院は、痛みもなく、クリーニングしてもらうだけで快適。
ということも多く、
あくまでもその患者様によりますが、通院するのを楽しみにして下さる方もいます。

 先手を打って、先に通うと、歯周病のチェックも受けられるようになり、
歯周病で多くの歯を失うリスクが減っていきます。

クリーニングを「すっきりして気持ちが良い」と言って下さる方も多く、
歯科医院のイメージも変わるかも知れません。

歯科医院の選び方。 歯科医院の「得意分野」を探す。

 歯科医院は多くありますが、それぞれの歯科医院で得意としている分野があります。
その歯科医院のアピールしているポイントをホームページなどで確認して探してみるのもいいと思います。

歯周病、なるべく削らない治療、インプラント、義歯、優しい、痛くない、など様々です。

ただ、見ているだけでは口の中は良くなりません。
(当たり前ですが (笑))
治療が必要なほど進行してしまった虫歯は、放置しても良くなることはなく、悪くなる一方ですし、
まだ症状の出ていない歯周病も、中年者の多くが内部で罹患し、
静かに進行していることが多くあります。

歯周病は、ギネスに認定されるほどの高い罹患率を持ちます。
「人類史上最も感染者数の多い感染症」、だそうです。

迷ったら、とりあえず歯科医院に行ってみる。

長く口の中の健康を保つには、ほとんどの場合、歯科医院に行く必要があるので、ここは勇気を振り絞って(?)、早めに診てもらうのが良いと思います。

行かなくても健康、という方も多くは中年ぐらいまで。
虫歯にならなくても、実は歯周病になりやすく、
50~60歳以降で歯科医院と無縁で健康、という方は本当に少ないようです。
どうせ行くことになると思うので、抜く治療を回避できるタイミングに間に合うように、直ぐに通院しておきましょう。

自分に合う信頼できる歯科医院を、健康なうちから見つけておく気持ちで行動するといいと思います。

インプラントの注意点の一つ。 インプラントもブラッシングが大切です。

 インプラントは、失った歯の代わりとして、顎の骨に金属を埋め込み、それを支柱として人工の歯を入れることができる補綴物です。

「埋め込むってどうするの?」 というところですが、

チタン合金を骨に植えると、何と、骨と金属が結合!

異物は生体から排除される、という現象がほとんどなのですが、
金属のチタンは、なぜか排除されず結合していきます。

 1950年代スウェーデンのブローネマルク医師がこの発見をされ、
長い年月研究と実験を重ねて人に使える技術とし、インプラントは今広く普及して、
義歯など他、多用途の医療に使われているそうです。

 実はとも歯科衛生士さんが歯科衛生士になったのは、このブローネマルク医師のインプラントがまだそれほど一般的ではなかった頃。
当時最先端治療だったインプラント、しっかりオペ室を完備して施術する歯科医院を見せていただき、
先生がインプラントのレントゲン写真で、
「このチタンは、骨と結合するんだよ」と御説明下さったのが、
つい先日のことのようですが、
それから長~い年月が経ちました。(笑)

(光陰矢のごとし。 中年、あるある。(笑))

 さて現在、「インプラント」というと、一般の方でも多くのかたが人工の歯をイメージするほど、歯科で身近になったインプラントですが、

デメリットとしては、外科的処置が必要、金額が高額、手術等100%上手くいく保障はない、清掃など定期的にみてもらうメインテナンスが必要、等々。

このデメリットを全てクリアして上手くいくと、

メリットはやはり、一度失ってしまった歯の「自然に食物を噛む感覚」を、もう一度取り戻すことができる、という、夢のような機能回復を果たすことが期待できる、ということが大きいと思います。

顎の骨の量や個人の体質など、本人の意思とは別に、全員が適応できるわけではないので、詳しい検査がいります。

 さて、歯科衛生士として、インプラントをみた場合、
やはり一番気になるのは、清掃のことです。

 一度歯を失った方が、インプラントを入れ、再び歯と同じように噛める生活を取り戻したことは大きな喜びかと思いますが、
インプラントも歯と同じように、プラークが付いていることが原因で、歯周病と同じような病気にかかります。

 汚れを放置すると、歯が歯周病にかかるときと同じように、歯槽骨が溶け、抜かなければならない状況になってしまうことがある、ということです。

一度、歯周病で歯を失い、インプラントを入れ、
また、歯周病の症状でインプラントを失った、ということにならないために、

インプラントも、ブラッシングが大切です。

 入れ歯を入れなくても、一度失った歯を取り戻すように、
顎の骨に支柱を埋め込み、歯と同じように噛める物が出来たということは、

天然歯を歯周病で失うのと同じように、
インプラントも歯周病のような症状で失うことがあることを意識して、歯磨きをする必要があると思います。

 健康な口の中を保つためには、どこまでもブラッシングが重要なのですが、歯垢がいかにキレイに落とされているかは、とても大切です。
歯磨きは、天然歯を失って人工の歯になっても、歯周病にならないために必要ですので、
ブラッシングの習慣のつかない方には、インプラントは向かないそうです。

インプラントを入れる際には、歯科衛生士さんがきちんとブラッシング指導をしてくださるところで入れて、担当の歯科衛生士さんの指示通りに磨くこと、
インプラントも入れた後のメインテナンス、定期的に歯科医院に通院することが大切だと思います。

歯科衛生士のサイト作り。

 読者の皆様、今年一年も終わりに近づきましたが、本当にありがとうございました。

 今年一年、と言わず、今まで私のサイトを読んで下さった皆様にお礼を言いたいと思います。

どうもありがとうございました。

あれ? このサイト終わるの?
というところですが、多分まだ続きます。(笑)

 歯科衛生士ですが、今は専業主婦。

テレビドラマなら、「キャビンアテンダント刑事 (スチュワーデス刑事)」、とか、
「温泉女将の事件簿」、といった、
信じられないような同一人物異業種コラボが成立するのですが、

現実の世界でも、専業主婦と歯科衛生士はコラボできたようです。(笑)

 

 数年前からの大ベストセラーで、今も売れ行きを見せる渡辺和子さんの「置かれたところで咲きなさい」という本があります。

私は「専業主婦」が大好きで、こんな素晴らしい仕事をさせてもらえることを本当に有り難く思うわけですが、
(ある時はナイチンゲール、ある時は優しい聖母、そしてある時は、鬼。(笑))

その場所にいながら、歯科衛生士としても記事を書けたこと、また読んで下さった方がいらっしゃったことを嬉しく思います。

これからも自由な歯科衛生士さんとして、勝手に咲いていきます。(笑)
(誰にも止められません。(笑))

それでは、
とも歯科衛生士さんのサイトを見て、歯科医院に通うようになったという皆様、
そして、
まだ行っていないという皆様、
(いらっしゃること、知ってます。(笑))

来年もぜひ、歯科医院に行って歯のクリーニングを受けましょう。

良いお年を。