7,歯周病治療のブラッシング指導を受ける際のポイント。 歯式の見方。

 歯周病治療のブラッシング指導。
口の中の歯、全てに集中するのは初めからは難しいので、まずポイントから意識したいと思います。

 そもそも歯周病は、どの歯からかかるのか。
どの歯が一番、危険か。という話ですが、もちろん個人それぞれなのですが、

一番、歯垢が残りやすく、歯周病になって抜く確率の高い歯は、
きき手側(右利きなら右側)の奥歯です。

そして反対側の奥歯も、歯ぐきと歯の境目に潜り込む歯垢を取り除くように磨きます。

臼歯部(奥歯)の寿命は、前歯部の寿命より16年短いと言われています。
(ちなみに前歯も歯周病にかからない、と言うわけではなく、重症な歯周病になって抜歯ということはよくあります。
前歯と比較すると奥歯の方が磨きにくいということだけなので、しっかり前歯も磨いてください。)

まず、ここから磨くように気を付けてみましょう。

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(上の奥歯も同様の所を磨きます。)

ワンタフトブラシというのもありますが、磨く範囲が小さく、手間なので、ここは、GCルシェロ歯ブラシをお勧めします。先端の山形の部分を使って磨きやすいように設計されており、それほど意識しない時でも、自然に当たる感じがします。
(GCルシェロ歯ブラシは、失われやすい臼歯部をいかに磨くかを追求して作られている歯ブラシです。)
毛先が歯ぐきに当たっている感触が、確認できるぐらい、ここは意識してしっかり入れていきましょう。

写真はルシェロのB20Mという若年向きのものです。
(ルシェロ歯ブラシについての私の使用所感書いてます。『最大手GCが力を入れる 「ルシェロ 歯ブラシ」』

P1030784

 

ちなみにこれがワンタフトブラシ。

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普通の歯ブラシで磨くときは、歯ブラシを立てるようにして、つま先の部分の毛先を意識して奥面に当てましょう。

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 それから、歯科医院によっては、患者様のお口の中の検査結果を教えてくれるところがありますが、
そこにもし、ポケットの深さが、3㎜とか4㎜とか6㎜…などと書いてあったら、一番数字の大きい場所を気を付けて磨きます。 ポケットの深さは、深いほど(数字が大きいほど)、そこにある歯を支える骨が多く溶けていて、その分、プローブ(定規)が入りやすく、深いミリ数まで隙間が空いていることを意味しているからです。

ちなみに、みなさんが資料をもらった際の、歯式の見方は、

右上 [奥歯 ← 前歯]
[前歯 → 奥歯] 左上
右下 [奥歯 ← 前歯][前歯 → 奥歯] 左下

向かえ合わせに見ている形になるので、正面左側が、
本人の右側の歯、ということになります。

また、歯の番号が書いてあった場合には、1番が一番前の歯、2,3…と一本ずつ奥歯になっていきます。
ちなみに3番が糸切り歯、ここまでが前歯です。
一番奥の歯は7番。親知らずのある方は8番です。
(乳歯(全部で20本)はアルファベット。前歯から、「ABCDE」で表します。)

右上 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 左上
右下 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 左下

この歯式を見て、御自分の口の中に照らし合わせ、歯周ポケットの深いところを常に磨くようにして、歯垢をいつも除去し、ポケットが深くならないように努めます。

あとは、歯垢(プラーク)を落とすイメージ。

 

1. 歯垢のつく場所 「歯と歯ぐきの間」。

歯周病になる原因の歯垢はここに付きやすく、

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歯と歯ぐきの間には隙間(溝)、に入り込みます。
P1030423 探針

まず、この場所をイメージしましょう。

 歯と歯ぐきの間、
① 「上の歯の表側」 
② 「裏側」 
③ 「下の歯の表側」 
④ 「裏側」

 の4ブロックあります。端から端まで残さず磨くこと。

(磨く順番は決まっていませんが、磨き残しがないように、端から端まで、自分でやりやすい順を決めて下さい。)

 

2. 次、「当てる」。

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 奥から順番に、確実に「当てて」いきます。
毛先が、「歯と歯ぐきの境目に当たっていること」。

それを確実にしましょう。
それぞれの歯科医院で指導される磨き方は異なると思いますが、

「確実に当たっているか」、を意識して下さい。

 

3. 「動かす」

 力を入れずに、細かく揺らすイメージです。

 (一ヶ月以上同じ歯ブラシで磨いても毛先が開かないような力です。)

 とても分かりやすい動画が、サンスターさんのHPにありました。

 参考にされると分かりやすいかと思います。

『サンスターさんのHP、「歯の表側」の磨き方の動画。』

※サンスターさんのHPで「スクラッピング法」と呼ばれているのは、このサイトの「スクラビング法」と同じです。

 

4. 「歯と歯の間も磨く」

  歯と歯の間にも歯垢はたまります。
P1030439 point3

ここは、歯間ブラシ、フロス、等、担当の歯科衛生士に選んでもらい、御自分にあったサイズものを使います。

例えば、こんな歯間ブラシ。

P1030471

 

これを歯と歯の間に入れ、「歯間部の歯と歯ぐきの間」の歯垢が取れるように磨きます。

P1030469

手前の歯と歯ぐきの間。
そして、
後ろの歯の、歯と歯ぐきの間。
です。

大切なのは爪楊枝(つまようじ)のように、ただ間に通すのではなく、まず奥の歯と歯ぐきの間の部分に当てて、出し入れし、次に手前の歯と歯ぐきの間に当てて、出し入れするように動かします。

 

 まずは上記のポイントの4つのイメージトレーニングから。

歯垢の細菌は24時間以上経過してから活動し始めると言われているため、1日1回、丁寧に磨くのが理想です。

 磨き方はお口の中の状況等により変わり、また様々な磨き方の選択肢がありますので、かかりつけの歯科医院で御自分に合った歯磨きの仕方を教えてもらって下さい。

では、「歯周病を防ぐ基礎知識」の記事も残り3つ。
次回はブラッシング指導記事の前半。
あとは、後半に続き、メインテナンスについて、で終了です。

次、『8, 前半 『歯周病予防』のためのブラッシング指導。ぜひ受けて頂きたいので、その様子を書いてみました。』にお進み下さい。

 

6,「歯と歯ぐきの間」とは? 歯周ポケットはココにあります。

 歯周病対策のポイントは、「歯と歯ぐきの間」、と言われます。

では、「歯と歯ぐきの間」とはどこでしょうか?

それは、

P1030423 探針
ここです。

 器具の先端が歯ぐきの中に隠れて、見えないのが分かりますか?

 歯と歯ぐきの間は、ピッタリくっついているように見えて、実はこのように隙間(溝(みぞ))があります。

 この歯と歯ぐきの間の溝に定規を差し入れて、深さを測るのも歯科衛生士の仕事の一つです。

 定規と言っても、もちろん、筆箱に入っているお馴染みの物ではなく、「プローブ」という専用の器具を使います。

 このプローブの先には1㎜ごとにメモリがついていて、これを溝(歯肉溝)に差し入れ、力を入れずに入っていく深さを測ります。

この深さは、正常な状態なら1~2㎜、深くても3㎜まで。
3㎜以上になると、ここを「歯周ポケット」といい健康な状態であった時の「歯肉溝」とは別の名称で呼んで区別します。
 だいたい4~5㎜が中等度の歯周病、6~7㎜以上は重度の歯周病と言われます。
ただこれは目安で、例えば一箇所だけが5㎜、という状態と、何カ所も5㎜の深さが続く状態では、歯周病の程度が全く違います。
 実際の状態を歯科医師に見てもらい診断してもらいましょう。

 さて、この歯周ポケットですが、深くなってしまったから、もうダメということではありません。
 これは現在の医療に感謝するところですが、昔は歯周病の処置で抜くことが多かった歯を、なるべく残そうと治療してくれるのが、今の多くの歯科医院です。

 救いは、深くなってきた歯周ポケットでも、歯科医院で治療を受け、ブラッシングなどの努力により、
まだ歯を残せる可能性があるので、あきらめて放置しておくのはもったいなさ過ぎます。

 重度の歯周病でも、どうしても歯を失うことになるギリギリまで、残そうと治療してくれる歯科医院は多いようです。

「もうどうせダメだから」と放置してしまいがちかもしれないのですが、入れ歯と御自分の歯は、天と地ほどの差。

 

 自覚症状がなくても、今ある御自分の歯を大切にするため、一日も早く歯科医院で定期的な検診とクリーニングに通って、専門のケアを受けられてください。

 この定期検診を受けられたか、なかったか、ということが早期発見につながり、歯を長く残せるか、残せないかということには、大きく関係すると思います。

医学は日進月歩、ですが、
症状のないうち放置していて後から通院しよう、と頼りすぎるのは、可能と不可能もあり、身体への負担も大きく、費用の負担もあるのでお勧めできません。

 さて、それでは次回は、
 「歯と歯ぐきの境目」のところに歯垢が付き、「歯と歯ぐきの間に入り込んで、歯周病をおこす」、歯周病に実際かかってしまったとき、のポイントなど少し書いてみたいと思います。

次、『7,歯周病対策のブラッシング指導を受ける際のポイント。』にお進み下さい。

10,「歯科医院で行う「PMTC」とは。」 (歯周病予防のためのケア)

 歯周病などの予防歯科では、歯科医院で、歯ブラシと歯間ブラシ等で歯垢を落とす磨き方をお伝え(ブラッシング指導)したり、患者様の歯を磨いたり、機械を使って歯をクリーニング(PMTC)したりします。

PMTCとは、

rofessional(プロフェッショナル)…専門家の

echanical(メカニカル)…機械的な

ooth(トゥース)…歯の

leaning(クリーニング)…清掃

 のことで、歯科衛生士など専門職が機械を使って、歯を磨き上げることです。
使われるのは汚れを落としたり、磨いたりする機械等。
実際には歯石や汚れを除去したり、ラバーカップを低速で回転させて、歯面の汚れや着色を落としたり等、歯ぐきのケアをしながら清掃します。
磨きますが、削らないので、ご心配はいりません。

日常の御自分のブラッシングは、もちろん大切ですが、歯を長く残し、高齢になっても健康な口の中でいるためには、
ブラッシング歯周病の進行具合、歯ぐきの状態を確認、清掃し、
歯周病、虫歯の早期発見、予防をする、定期的なPMTCは欠かせないものだと思います。

 普段の歯ブラシだけではなかなか落としきれない汚れを除去し、着色などもキレイになります。
 実感としてもクリーニング後は歯ぐきがスッキリとして見え歯面もつるつるになっていると思います。
 きれいになった爽快感をお楽しみ下さい。

 また、この他に、患者様のお口の中を見せて頂いて、歯垢の残っているところ、歯ぐきの炎症部をチェックしてブラッシング指導に入ったりしますが、

 お口の中に歯垢があり、歯槽膿漏などに罹っている方も、とても清潔なきちんとした生活を送られています。

 会社や社会でとても重要なポストをしていらしたり、ご家庭でご活躍されるなど、尊敬させられる方々が多いのです。

 そんな患者様に、歯垢が残っていますとお話すると、

歯の磨き残しがある。

といわれたようで、気まずいと思うかも知れませんが、

歯を磨き残しなく磨くというのは、けっこう難しいものです。
(よろしければコチラの記事をご覧下さい。
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。』

 口の中の清掃は、とても重要ですが、コツやポイントがあり、それらをきちんと聞く機会は、歯科医院で受けない限りあまり多くはありません。
 もう何十年も前の虫歯予防デー(6月4日)に小学校でうけた、集団指導の話だけという方も、沢山いらっしゃいます。

 歯科医院でブラッシング指導に入る歯科衛生士は、そのような事情をよく知り得たプロです。

 どうぞ安心して歯科医院にお出かけください。

 

 

 ※これで、「ココから順番に書いています」から始まる「歯周病を防ぐ基礎知識」カテゴリーについては終わりです。

「虫歯」の記事はここからです。(^^)
『1,「虫歯の多くはココから発生。」 「シーラントとは。」』

「歯磨き」の記事は、こちらもご覧下さい。
『なぜ、開いた歯ブラシは取り替えるべきなのか?』

『「なぜ、歯垢は落としづらいか」(バイオフィルム)』

5,ここからは、歯周病『対策』。

 このサイトの主旨は、読んでいただいた皆様の歯を一日でも長く、残すことです。
歯を失う原因の一番多いものは、歯周病ですが、

 歯周病の対策はズバリ、「歯垢」を落とすことです。

医療に関しては「日進月歩」という言葉がよく使われますが、つまり、
「今までこうだと思われていたが、本当はこうだった」、と教科書が塗り替えられることがあります。

 歯周病に関してもしかり、で、その詳しいメカニズムなど、今後も塗り替えられる可能性を持っていると思いますが、ただ、日常の診療で、

「歯垢を落とせば、歯周病が改善する」、は、事実です。

とても分かりやすい因果関係だと思います。
自分の目で見て確認できることなので、ぜひ皆様にも体験して頂き、「歯垢」を落として、歯周病を予防、治療し、いつまでも御自分の歯でお食事を楽しみいただきたいと思います。

さて、
よく「培養実験」といって、寒天をひいたシャーレの中に、菌をつけて、それを体温ぐらいの温かさを持つの培養器の中に入れ、菌を増殖させる実験を行いますが、

口の中は、まさにその培養器のような環境です。

水分があって、栄養があって、適温がある。
そして菌にとっては絶好の菌の住み家や、隠れ場所(歯石や歯周ポケット等)があります。

 この菌の数を減らし、毎日ある程度のレベルの菌数に保つことが出来れば、
歯周病の治療も、予防も、完成です。

 

  では、ここから歯周病対策、実際に「歯垢の付きやすいポイント」について見ていきましょう。

 歯垢の正体が生きている細菌だと、『2,「歯垢(プラーク)」について。』でお知らせしました。

その細菌が、歯と歯ぐきの境目から侵入し、歯と歯ぐきを繋ぐ歯周組織(軟組織)のつながりを切って徐々に進み、歯を植える骨に到達して、その表面から少しずつ骨を溶かしていく、
というのが、歯周病です。

歯を支えていられないほど骨を溶かし続けるのには、年数がかかりますが、
そこに歯垢(細菌)が付いていれば、歯周病にかかり骨を溶かされてしまいます。

これを予防、治療する方法は、一つ。
歯垢(細菌)を清掃し、菌数を減らすことです。

それでは、歯垢(細菌)が、歯周病の原因だとご理解いただいたことろで、今度は実際に、悪さをさせない効率的な方法を考えたいと思います。

 勝利を収めるためには相手(歯垢)のリサーチが欠かせません。

そこで今回は、実際にどこに歯垢が付き、どこの歯垢を落とせば効果的なのか、を知って頂くことから始めたいと思います。

例えばこんなお口の中。(顎模型です。)

P1030439

 歯科衛生士学校時代、赤いマニキュアを歯石に見たてて、歯石除去の練習をしました。跡が残っていてスミマセン。(笑)

 

P1030439 point2

 ピンク色でなぞった所が、歯周病に大きく影響する、
「歯垢がつきやすいポイント」です。
この歯と歯ぐきの境目には、歯周ポケット(歯肉溝)と呼ばれる隙間があって、そこに細菌が住み着きます。

  写真では、歯垢を私がピンク色でマーキングしていますが、
本当に歯垢がこのようなピンク色をしていたら、歯周病問題はは、もう少し簡単に解決です。

 誰でも原因菌がのついていることが分かれば、多くの人は歯ブラシで落として歯周病を快方に向かわせることがもっと簡単になるからです。

 ところが、実際には歯と全く同じような色合いの「白色」。
カメレオンもびっくりの擬態模写です。

 さて、この中で、さらに歯ブラシで磨いても落ちにくいポイントをいうならココ。

 P1030439 point3

 歯は、まず歯の上の方が隣の歯とぶつかります。なのでその下のココに三角状の隙間ができ、歯垢が溜まるのです。
 この「歯と歯の間」には歯ブラシが届かない。
なので、この部分の歯周ポケットは、歯垢の活動しやすい環境が整ってしまいがちです。

 この問題を解決するため、歯周病予防、治療のためのブラッシングには、歯ブラシと併用して、歯間ブラシやフロスなどを使用したりします。
 なんでこんな磨きづらいところに歯垢が付くのか……と思いますが、歯垢からは「だからこそだよ!住みやすいんだ。」という声が聞こえてきそうです。

 歯ブラシで歯を磨いている方は多いですが、「歯垢」を取るように意識して細かく磨かれている方、ブラッシング指導を受けて御自分に合った磨き方を知る機会のあった方は意外に少ない。
 まずはブラッシング指導をきちんとしてくれる歯科医院に通院することが大切かも知れません。

 

 それでは次回は、歯垢が付いて歯周病が進んでしまうポイントを具体的にみていきます。

次、『6,「歯と歯ぐきの間」とは? 歯周ポケットはココにあります。』にお進み下さい。

4,歯はこんなふうになっている。 「歯の構造と、歯周病の発生と行方」

 それでは、歯周病の発生を分かりやすく御説明するため、まず歯の構造から簡単に書いてみたいと思います。

歯の構造。

私たちが見ている歯の表面は、「エナメル質」という硬い組織で覆われていますが、それはそれほど厚くなく、下は「象牙質」という比較的柔らかい組織になっています。
その下、歯の内部中心を歯根の先まで貫くように通るのが「神経」。
と、おおざっぱに見て三層構造。

img21 歯の構造
画像引用©2011 Nobel Biocare  http://www.ns-search.jp/

歯の表面の
・白色の部分が『エナメル質』
・黄色の部分が『象牙質』
・赤色の部分が『歯髄』(神経)

の三層構造。
 ちなみに、歯根の回りにある「まだら模様」が、『歯槽骨』です。

 歯ぐきの下には、私たちが見ている歯の長さより長い「歯の根」があり、

P1030499
(模型です。)

その「歯の根」の部分が、
歯ぐきの下にある「歯槽骨(しそうこつ)」に植わっています。
ただ、歯根と歯槽骨は、融合しておらず、
歯根は、歯槽骨にある歯根の形の穴に、すっぽり収まる形で入っています。
 そして、そのそれぞれ独立した硬い骨状の2つ(歯根と歯槽骨)に軟組織(歯周組織)が付いてしっかり結びつけている状態です。

ここで、「歯周病の発生、とその行方」についてお話しましょう。

 歯周病も虫歯も、その大きな原因とされているものは同じ。
「歯垢(プラーク)」です。
と、『1,「歯垢(プラーク)」は大原因。』で書きました。

この歯垢の中の細菌が代謝を起こし、
歯の表面を溶かせば「虫歯」、歯が植わっている骨自体(歯槽骨)を溶かせば「歯周病」、
と考えると分かりやすいかと思います。

虫歯
d_34 虫歯の進行絵

歯周病
d_40 歯周病進行絵

 歯ぐきの下には歯根(しこん)が植わっている骨(歯槽骨(しそうこつ))があります。(上図、ピンクの部分)
歯を木などの植物に例えると、位置的には「土」の部分になりますが、
実際には硬い骨(歯槽骨(しそうこつ))です。

 歯垢の中の細菌は、歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)から入り込んで進み、軟組織(歯周組織)の結びつきを切り、歯根と歯槽骨の間に入り込んで炎症を続け、歯槽骨自体を溶かします。

 イメージとして、鉢植えに植わっている木から、土を少しずつ減らしていく状態を想像して頂きたいのですが、

 少し根を露出させた鉢植えの木、から、どんどん土が減って行き、根が長く見えて、ついに抜けてしまう状態です。

 脅かすようですが歯槽骨は何本もの歯を支えている骨ですので、溶けてなくなってしまうと、気が付いたときには、何本もの歯が同時に揺れだし、複数本を一気に無くしてしまう、ということも珍しくありません。

 症状としては、歯ぐき表面が炎症を起こすところから始まり、痛みもなく内部で歯槽骨が溶け、
支えを失った歯が揺れだして抜けていきます。

 口の中で見ると、歯周ポケットの深さが4㎜→5㎜→6㎜……と進んでいき、8㎜位では支える骨がかなり溶けて無くなってしまった状態になり、歯が大きく揺れだし、そのまま進むと抜けてしまう状態です。
 途中、排膿(はいのう)といって、歯と歯ぐきの間から膿が出る状態が続きますが、
口の中は常に唾液で濡れていること、口臭は自分ではなかなか分かりづらいことなどから、御自分では気付かれない方がとても多くいらっしゃいます。

 ポイントは「患者様の自覚無く進む」ことが多い。
というところだと思います。とくに歯が揺れ出すまでは、
 痛みがなく、ゆっくり慢性的に進むこと等により「昨日と比べておかしい」という感覚が少ない、などのため、
口の中の粘つきや歯ぐきの出血があっても、誰でも多少あるもの、と御自分で納得してしまい、
「今すぐ歯医者さんに行かなくては!」という危機感がでるのが遅い、ということだと思います。

 また歯医者さんで、歯周病を指摘されても、

1日歯を磨かなかったから、今日いきなり病状が悪化するという状態で無かった場合、つい放置してしまいがちです。

 ざっというと、例えば10代、20代、30代と今まで健康に過ごせていた歯が、
同じ生活習慣なのに、40代では急に歯周病で抜け出す。
という感じでしょうか。
抜ける年齢は、30代、40代、50代、60代…と人それぞれですが、
年齢層が高くなるほど、「今まで大丈夫だったのに、どうして突然?」というようなイメージになるのかも知れません。

 とくに歯が丈夫で虫歯の少ない方は、歯周病も他人事と思ってしまいがちなので危険です。

 虫歯になりにくい体質の方は、歯周病にもなりにくいとは全く限らず、
逆に虫歯の少ない方は、歯科医院に通う機会が少ないこともあり、歯周病の早期発見が叶わず、リスクが大きいと言われています。

 歯科医院では、特に症状のない方でも、口の中の点検や歯のクリーニングなどを行っているところが大変多いです。
ぜひ、「とくに症状はなくても、クリーニングと点検」に通院して、歯周病から歯を守ってください。

 

 それでは次回からは、その『歯周病対策』について書いていきたいと思います。

次、『5,歯周病の対策』にお進み下さい。