自分に合った歯科医院

 さて前回、歯科の「保険と保険外の違い」の基礎知識、について書きましたが、

(前回の記事
(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』

(2)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『歯科医院』の本音と現実。

(3)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。

 今回は、その延長で、患者様の「自分に合った歯科医院」について書いてみたいと思います。

「良い歯科医院ないですか?」
とは、よく聞く質問なのですが、この「良い歯科医院」、個人個人けっこう違います。

選択肢が広い分、患者様一人一人の
「良いと思う治療」が、バラバラなので、私のお勧めする「A歯科医院」が、読者さん「みなさん」の「良い歯科医院」とは限りません。
 また、いろいろな考え方の先生がいらっしゃいますので、自分がどんな歯科医院に行きたいのか、希望をしぼり、なるべく希望と近い歯科医院に通うことが大切です。

なので、今回は

 患者様からみた、それぞれの「良い歯科医院」選びの基礎知識、を書いてみたいと思います。

 まず、歯科治療には、

①保険
②保険と保険外(自費)の組み合わせ
③保険外(自費)

という選択肢があります。

 あまりお金をかけないで治療して下さる医師には、「赤ヒゲ」に似た、よいイメージがあるのですが、
歯科の場合、
先ほどの(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』」 で書いたとおりで、
「保険内で全ての治療をしてくれる先生」が、「良い先生」(良い治療をしてくれる先生) とも限りません。
(もちろん悪い先生とも限りません。)

 要は、

「患者様自身が、何を求めるか」 ということだと思います。

 この患者様自身が求めることは、それぞれの患者様、お一人お一人で違ってくるので、
御自分が何を求めているか、ということを、選択することが、
満足できる自分に合った歯科医院を選ぶ、一つのポイントです。

ちょっと具体的に書くと、

① 経済的なことも含めて、保険内で治療して欲しい。 (保険)

② 歯医者さん自身が本当に良い治療と思っているなら、先生が必要だと思われる部分について、自費という選択肢も教えて欲しい。 (保険と保険外(自費)の組み合わせ)

③ その歯医者さん自身が考える最高の治療を、保険給付があるかどうかに関係なく、してもらいたい。 (保険外(自費))

というような選択です。

上記の①②(保険、保険と保険外の組み合わせ)は、
保険を扱う歯科医院(多くの歯科医院は保険医で、そうでないところは、「自費の歯科医院」ということを明記していると思います。)に行き、先生の説明を聞いて、御自分の考えで保険か保険外の治療を選択します。

③(保険に関わらない、その歯科医師が考える最高の治療)は、自費の歯科医院。又は、保険医でも自費治療が多くて儲けがあり、時間に余裕があって、それを他の診療にも活かしてくれるような歯科医院、がいいかもしれません。
 保険医で、自費がほとんどない歯科医院では、治療内容や今後の展開などを丁寧に、患者様に説明している時間(カウンセリング)が充分にとれないことが多いです。
 カウンセリングの時間をしっかりとってくれる歯科医院かどうか、ホームページ等で確認していくといいと思います。

 

 そしてもう一つ、この保険と保険外の選択の他に、
「先生それぞれの治療の考え方」というのがあります。

 これは、今書いた保険、保険外のどちらにするか、ということの他に、

例えば、

・ 「入れ歯のようにずれることはなく自分の歯のように噛める『インプラント』(外科手術必要)」が最高と思う か、「手術の必要ない『入れ歯』」 が一番いいか。

・ 患者様の歯をどの程度まで残すか。
 なるべく患者様ご自身の歯を残そうとされる先生方でも、「これは抜きましょう」というタイミングは、やはりその先生によって違います。
(私自身、「これは抜歯です」と言われたことに納得できず、他の歯科医院に行って相談したところ、
先生に「この歯を抜くと言われたのですか?」と驚かれ、「時間はかかりますが治療してみましょう」と、残してもらえたことがあります。
こちらの記事に書いてます。「セカンドオピニオン」、お願いしてみました。

・ 子供の治療などは、「押さえつけてでも今、治療すべき」、又、「この状態なら様子を見よう」、など、同じ症状でも先生によって判断が違い、治療内容が変わってくる場合があったり、治療時期がずれる場合があります。
(同じ症状でも、いろいろな歯科医師の先生の見解をみれるサイトもあります。歯チャンネル88

などです。

誤診というわけではなく、先生ご自身の判断でそうする、というようなことですが、この治療のタイミングや子供の負担の有無も、その歯科医院それぞれで変わることがあります。

これは、評判や、ホームページなどを見て知るしかない部分かもしれないと思いますが、
そういうことを事前にチェックするのとしないのでは、先生への信頼の気持ちも変わるというか、
自分の満足した治療を納得して受けやすいことにつながる感じています。

 自分は絶対にインプラントはしたくない、と思っている方が、インプラントを最高だと思っている歯科医師の歯科医院に行くと、やはり不満になりやすいですし、

 どちらが正しいか間違っているか、ということではなく、
自分がどうしたいのか、なるべく希望にあった歯科医院を事前にチェックしたほうが満足しやすいです。

いろいろ書きましたが、

自分が何に重きをおいて、どんな治療を希望するのか、
希望のある場合は、事前にホームページなどでチェックをします。

ちなみに私は、
保険と保険外両方をしている歯科医院が希望で、
(虫歯の治療は保険で行い、最後被せ物などは保険外希望)
ネットの情報で歯科の口コミをチェック。
そしてそこで主に、
「麻酔の痛みがあるかないか」を見ます。
(麻酔、ほとんど痛み無く打てる先生と、そうでない先生がいる、ような気がします。
私は歯科医師ではないので、治療のことについて断言できませんが、横で補助に付いていると、いつも患者様が痛そうな顔をされる先生と、ほとんどされない先生がいます。)

その情報から、通える範囲で良さそうな歯科医院を何件か見つけた後、
各ホームページに行って治療内容や、先生の考え方、保険保険外の適用、自分のような症例に対してどのように治療しているか(治療方法)などについて見ています。

 ただ、通っている患者様方が、他の患者様に紹介して次々に来院するという感じで回っている、本当に評判のいい歯科医院は、看板も小さく、宣伝もあまりしていない、というケースもあるので、口コミランキングの順位が、評判のいい歯科医院を全て表している、とは限りません。

また歯科医師は歯科治療の専門家であり、ホームページ作りが得意とは限らないので、治療内容まで載っていないことも多いと思います。

ランキングやネット情報は、「応援クリックお願いします」という誘導や、治療とは別に、ホームページ作りのノウハウを知っているとか、ネットに力を入れている、ということで大きく左右されるので、
ランキングにポイントが入っていないから、あまり良くないのか、というと、全くそうとは限らないところです。

 素晴らしい歯科医院があるよ、と知り合いに口コミで教えてもらえたら、そちらの方の話をよく聞いてみる価値があるかも知れません。

よろしければこちらの記事もお読み下さい。
(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』

(2)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『歯科医院』の本音と現実。

(3)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。

(2)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『歯科医院』の本音と現実。

 前回、「(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』 の記事を書きました。
今回はその続きです。

2.『歯科医院』の本音と現実。

 まず、歯科医院の歯科医師の本音で言えば、
先生がお勧めする「保険外(自費)」の被せ物(クラウン等)の歯を患者様には入れて欲しい、と思っています。

 一つには、保険で使う材料より良い状態で長く使うことが出来る「良い物だから。」
もう一つには、「儲かる」。
という理由です。

  実は歯科には、

「お金になる診療」と「あまりお金にならない診療」があって、

例えば、
歯周病は、かかる前から歯ブラシで歯と歯ぐきの境目についた歯垢をとることで、多くの方が
予防できる病気ですが、
同じ『ブラッシング指導』を受ける場合でも、
「歯周病にかかっていない時に受ける、予防」のためのブラッシング指導は、保険はききません。
「歯周病にかかってしまった後、治療として」ブラッシング指導を受ける時に、保険適用となります。
つまり、歯科医師が「今ブラッシング指導に入れば歯周病が防げる」と判断しても、
保険では一銭にもならない。
結果、
歯周病になるまで待つか、自費でブラッシング指導を受けて頂くことをお勧めするか、
どちらかの選択になるのですが、

ここで、自費でのブラッシング指導をお勧めすると、患者様は、

「この歯科医師は、儲けたいんだな」
と思う。(笑)

同じように、「プラスチックの白い歯ではなく、自費のセラミック(陶器)が良いですよ。」
(保険の白い歯の材質はプラスチック。年数が経つと劣化し、傷や変質があります。)
と、お勧めすると、患者様は、

「ここの歯医者は、儲けたいんだな」
と思う。(笑)

 確かに、患者様の言うとおり実際に自費の診療は無料ではなく、「儲かる」という現実があるので、患者様の考えていることは間違ってはいないのですが、

これが、
「歯周病になるのを待つか、ならないで未然に防ぎ長く健康な歯と歯ぐきを保つか」の選択であること、だったり、

「(保険の材質自体が変質するので)年数が経てばまた再治療が必要な可能性が高い。
その時に、治療回数が増えることで抜歯等にならないように、なるべく少ない回数で治療を終えたい。そのため、(材質自体の変質を特に意識しなくても良い)保険外の材料を使いたい」という選択である。

と、いうことが非常に患者様に伝わりにくい。

結果、
保険外を勧めれば勧めるほど、「儲けたい歯医者さん」の烙印を押されかねないので、
あまり熱心には勧めず、

本当は不本意な治療と思っていても、保険の治療で終わらせる。
という歯科医院もあります。

 現実に、歯科医師や歯科衛生士が治療する場合、自分達は白い被せ物などは自費の物を選択して治療する方がほとんどです。
保険の白い被せ物をする先生や歯科衛生士も、もしかしたらいらっしゃるのかも知れませんが、(歯科医師全員を知っているわけではないので)
私の知っている範囲では、正直今まで、聞いたことがありません。
(歯科医師や歯科衛生士は材質も、それを入れた後の予後の経過も、よく知っているので、そういう選択になります。)

このことを患者様に御説明することが、
保険治療で、時間単価が低く、なるべく短時間で多くの患者様を診なくてはならない診療時間の中だと、
難しい場合があるときもあると思います。

もし仮に、これがセラミック(自費)もプラスチック(保険も)、全く同じ値段で、
歯科医師が勝手に選択して患者様の口に入れて良い、とするなら、
セラミックを使わず、保険のプラスチックの被せ物を使う歯科医院は、問題になってしまうかも知れないのですが、

値段に大きな差があるので、そうはならず、逆に、保険外の選択肢を提案するだけで「儲けたい歯医者さん」てきな位置づけになってしまうのは、ちょっと不本意なところかも知れません。

 

 ただ一面で、セラミックの白い歯は材質もいいですが、値段もかなり高価で、自費で入れると歯科医院は儲かって潤います。
歯科医師にとっては両得(自分が良いと思った治療ができる、又、お金も入ってくる)ですが、
患者様にとっては、一長一短(良い治療をしてもらえる、が、高いお金を支払う)、
というのが、難しいところです。

 現在、歯科の保険診療は、値段が低く、それだけで歯科医院の経営を立ちゆかせるのは、厳しいところがあるそうです。
 患者様によっては、歯科医院の先生が、本当に患者様のためになる治療をしたい、という気持ちの他に、歯科医院の経営も成り立たせいという考えのあることを快く思わない方もあるので、
本当に、自費の方が良い治療だと思ってお勧めしていても、「儲けたいから勧めるのだ」と思われてしまうこともあります。

 保険と保険外の選択は、保険で適用されている治療の内容に、どれだけ満足できるか、ということでもあると思います。
同じ白い歯を見ても、プラスチックと陶器の物では、そこに歴然とした材質の違いがあり、
プロである歯科医師が、プラスチックで満足できないのは、当然のことだと思います。
ただ一方で、お金を出す患者様自身が、内容に100%納得して、治療を受けられないとするなら、
値段的にも精神的にも大きな負担となりかねません。
 歯科医師は、患者様に、選択肢をきちんと説明して、患者様自身に一番納得した治療を受けて頂く、という信頼関係を結ぶ技術も必要になっていて、
今、歯科医師は「医療人」として患者様に医療を施すこと、の他に、「経営者」として利益を出し、歯科医院を安定して経営していく手腕の2つを問われている、というのが実際のところだと思います。

次、(3)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。

(1)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『健康保険』

 虫歯の治療などで、最後に被せる歯。

 歯科医院で、

  「保険、と、保険外ものどちらにされますか?」

と、選択を聞かれることがあります。

 保険外の方が保険の物より材質がいい、と説明を受けますが、

 本当に良い物なら入れたい、という気持ちはあっても、数万円、治療本数の多いケースだと数十万円、場合によっては数百万円単位にまでなる金額の高さに戸惑い、
何が違う物なのか、知っている人に聞いてみたい、という方も多いのではないでしょうか。

今日は、この選択について、ベースになる話を書いてみたいと思います。

 

 そもそも歯科の「健康保険」とはどういうもので、なぜ保険と保険外の選択が必要なのか。

まず、

1.歯科の『健康保険(公的医療保険)』 について。

 「国民皆保険」といいますが、日本国民は皆「健康保険」に加入している、という大原則があります。(社保、国保、健保組合、共済組合など)
日本の誇る公的な医療保険制度ですが、

その「健康保険」を使って歯科治療をした場合、その保険給付に使われる財源は、保険料と税金です。
そのため、どのような治療にいくらの「診療報酬額」が必要か、その額を厚生労働省が、「診療報酬点数」(1点10円)として告示しています。
 つまり、健康保険を適用した場合の診療報酬額は一種の公定価格で値段が決まっており、使える材料も、全て決まっているということです。

 例えば、虫歯の治療で金属を歯に被せる場合、
一番適合がよく、二次的な虫歯も防げる金属は現在、「ゴールドクラウン」(金合金や白金(プラチナ)などを加えた貴金属を使った被せ物)、と言われていますが、
現実に、保険で虫歯を治療する全員が必要になるたびに、高価なゴールドクラウン(金合金や白金(プラチナ)などを加えた貴金属)を使って治療し、それを保険給付していたのでは財政が持ちません。

 「金歯は売れる」と聞いたことがあるかも知れませんが、はずした金歯は、貴金属のリサイクルショップなどで買い取りしてもらえるほど価値があります。

 そこで、『健康保険(公的医療保険)』 としては、
財源から安定して保険給付を行える範囲の、安価な金属を保険適用することになり、
現在、保険で使える虫歯の被せ物の金属は、金銀パラジウム合金(金パラ)、銀合金、ニッケルクロム合金の3種類のみです。
 実際には、この中の金パラが一般的に使われることが多いですが(あとの2つは金パラよりも質が落ちるため)、金属組成、成分としては、金12%、パラジウム20%(この金とパラジウムの割合はJIS規格で決められていて、あとの金属割合は各メーカーで多少異なる)、銀50%前後、銅20%前後、その他イソジウムなどが数%入っています。
この割合を見ると分かりますが、実質では主に銀合金。 色も金色ではなく、いわゆる「銀歯」です。
 欠点としては金属の割合で科学的に安定せず、口の中で溶け出す、また金属アレルギーの問題などが指摘されています。
 そのような問題もあって、確かに安価ですが他の国では使わず、日本だけが使用している歯科用合金だそうです。

 このように、保険給付は、皆でお金を出し合い(保険料や税金)、それを財源としているので、一人一人に最高の材料(高価なもの)を使うことはできません。
厚生労働省が認めた安価な物で、全員が保険で治療を受けることができるように配慮されています。

 そして、より良い材料を使って治療したいと思い、
保険給付の対象となっていない材料(金パラ、銀合金、ニッケルクロム合金の3種類以外)を使う場合には、すべて「保険外」(自費)となり、自己負担で支払うことになります。
(ちなみに「白い歯」の場合、保険で使える材質は「プラスチックのみ」と決まっています。)

 いわゆる、「保険と保険外」を、患者様自身が選ぶ、という選択肢です。

 さて、より良い材料を求めて、「保険外」という選択をしても、それで全て欠点が無くなる、という訳でもありません。

まずは、金額的な問題。
保険外(自費)で被せ物(クラウン等)をする場合、自由価格(それぞれの歯科医院が自由に値段を決められる)のため、決まった価格はありませんが、相場は少なくても歯一本に付き数万円以上(セラミック(陶器)やメタルボンド(金属+陶器)だと、おおよそ10万円(8~14万円位)。という範囲の金額設定が多い気がします)。
 治療本数の分だけ「掛ける何本(数万円以上×何本)」で価格が提示されるため、本数が増えると、それだけ金額が増えます。

 保険と保険外(自費)の被せ物の材質の違いでは、
金属なら、主に適合性(ピッタリと歯にあって、隙間を作らず、そこに歯垢が入って二次虫歯になる可能性を少なくすること)等。
白い歯なら、材料は保険ではプラスチック、自費では陶器(セラミック)等になることが多いですが、
歯としてみた場合の自然な審美性、傷つきにくさ、年数経過での変質の有無、適合性、等の、
保険の物の欠点を、保険外(自費)の材料ではカバーしていることが多いです。

 ただし、保険外の材料はその歯科医院が、自由に選択しているもので、どの材料を使うか一律ではなく、ここで「最高の材料を使っています」とは言い切れません。
 何の材料を使ってどのように作るかは全てその歯科医院しだいで、誰が見ても素晴らしい材料である、というような保障やチェックはありません。

 ゴールドクラウンで金歯などは、保険外ですが、「歯との適合性がいい(ピッタリ合う)」など、材質的な利点があっても、「見た目が金色」という審美的な問題がある場合もある。(事前の話合いで解決。見た目てきに美しくなるように、金属の上に白い陶器(セラミック)を焼き付けた物(メタルボンド)などがよく使われます。)

また、セラミックは「噛み合わせの強い奥歯など割れることがある」等、保険外の材料にも欠点の有る場合はあります。
(もし割れたら、数年は無料、とか、割引価格で…など、保障のある歯科医院もありますが、ない歯科医院もあるので、事前によく話を聞かれて下さい。)

 どちらの選択をするにしても、治療する場合は、
御自分の受ける治療の内容をよく聞いて、納得して治療を受けられることが大切なので、
カウンセリングの時点で納得できなければ、他の歯科医院に行って説明を聞いてみるのも一つの方法です。

 また、もう一つ大切なことには、
保険外の物を使って治療したからといって、これで今後も治療が必要にならないという話ではないことです。
 治療後の再治療防止のためには、
ブラッシング指導などを受けて、歯垢を落とすように管理していく方法(プラークコントロール)を教えてもらうことが大切です。
プラークコントロールが出来ないと、歯周病にかかって、そもそも歯自体を失ってしまうリスクが大きくありますし、二次虫歯にかかることもあります。
 保険、保険外に関わらず、
治療後は、今後歯周病や虫歯にならないように、管理していくための方法、ブラッシング指導等を受けることが必要だと思います。

ただ、実はこの、歯周病「予防」のためのブラッシング指導も、保険外。
こちらは、数万円もする被せ物などに比べると安く、
美容院代を考えると、そんなに高くない値段設定のことが多く、
(各歯科医院によって自由に決められています。)
一生を御自分の歯で過ごせるか過ごせないか、ということにも関わるぐらい、大重要なことなので、ぜひ、受けられて下さい。
(歯周病「治療」の為に必要なブラッシング指導は、保険がききます)

 
治療をした後は、必ずブラッシング指導をお勧めする歯科医院もありますが、
そうでない歯科医院もあるので、事前のカウンセリング(自費の治療にするか、保険でするかの話し合い)の時に、そこを確認しておいたほうがいいかもしれません。

 「保険と保険外の違い」と言っても、治療する内容やケースによって違い、一概には言い切れませんが、大きなところではこんな感じでしょうか。

 今回は「健康保険」適用から見た、保険と、保険外。の記事になりました。

次回はこの続き、「歯科医師」の立場から見た保険と保険外、「歯科医院の本音と現実」について書いてみたいと思います。

次、(2)「保険と保険外の違い」、の基礎知識。 『歯科医院』の本音と現実。 にお進み下さい。

その後、この記事(1)(2)の続き記事になっています。
『自分に合った「良い歯科医院」選び。』

6月4日から一週間は「歯と口の健康週間」です。

6月4日から6月10日は「歯と口の健康週間」です。
以前は6月4日を「虫(ムシ)歯予防デー」と言っていました。

d_08 予防デー歯親子

 私も歯科衛生士学校時代、「6月4日」には、幼稚園や小学校に、虫歯予防のことを書いた紙芝居を作ったりして、実習に行きました。
 その時のキャラクターで印象に残っているのは「ドラえもん」。
歯科衛生士の卵の学生達が、にわか声優になって、「歯磨きをしよう」というオチの話をしていた記憶があります(笑)。
 それから、歯垢が染まる赤い錠剤を使って、小学生の子供達に染め出しをしてもらい、歯垢のある場所を確認してもらったり、
だいぶ以前のことですが、歯科衛生士学校の学生であった私達にとっても記憶に残る思い出です。

 歯垢という「細菌」がついている、ということは、普段の生活であまり話題にならず、知らないことも多いので、年に一回でも学校に歯科衛生士が入って、虫歯の原因や、歯垢があることを知ってもらい、それを取るように歯ブラシを使うことを伝えることは有意義だと思います。

 これで、虫歯になる原因の「甘い物」を食べる「時間」を減らせる、かどうかは疑問ですが(笑)、
白く歯についた「歯カス」をみるたびに、「これは生きて動いている細菌なんだ」、と思って磨くのとそうでないのには、やはり差があります。

 年に一度でも、こういう訪問がなければ、
毎日磨いているはずの歯が、「磨けていない状態」だということに、虫歯や歯周病になる前に気づける可能性は少ないので、皆様の健康と毎日自分の歯で食べられる幸せを長く感じて頂けることが、多くなるだけでも、歯科衛生士(の卵)として、学校で啓蒙活動をさせて頂けて良かったなと感じています。
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』

 毎日御飯を頂く時にも大切な「歯の寿命」を左右する重要なことなので、本当は6月だけでなく、もう少し多く、皆様にお知らせする必要があるのかもしれません。

 というわけでこのサイトは年中公開してます(笑)。
この知識を歯科衛生士さんだけの宝物にせず、多くの方々が歯や口の中の健康を長く保てるように、6月にはお口の健康について思い出し、記事を読んでいただければと思います。

虫歯についての記事はこちらから。
『1,「虫歯の多くはココから発生。」 「シーラントとは。」』

 歯周病については、こちらから書いています。
『1,ココから順番に書いています。 (歯周病)』

市販と、歯科用、歯ブラシの違い。 

 歯科医院で置いてある歯ブラシと、スーパーなどに置いてある市販の歯ブラシの違いは、単に流通経路の違い、だそうですが、
実際にはもちろん、一般向きか、磨き方を習った方に向いているか、という作りの違いもあると思います。
その他、歯科医師や歯科衛生士が、患者様個人個人の口の中に合った歯ブラシを選んでお渡し出来る、ということも大きいかもしれません。
 値段はやはり歯科医院専用ブラシの方が高いようです。

例 歯科用
P1030441
ジーシー ルシェロ 歯ブラシ B-20M や、
(私の使用所感はこちら。『ジーシー ルシェロ 歯ブラシ B-20M』)

P1030509
バトラー#211
(こちらに私の使用所感を書いています。『世界の名品。バトラー#211』

 などは、歯科用歯ブラシ。

 全ての歯ブラシに共通するわけではありませんが概略で見ると、

 歯科医院用の歯ブラシは、ヘッドが小さめで毛が細く作られているものが多い印象で、
奥歯の隅々まで毛先が届き、歯と歯の間や、歯の根元など狭く細かい所についた歯垢を除去するのに適した形であることが多いと思います。
 またそれぞれの歯科医院でお勧めしている歯磨き法(スクラビング法、バス法、つまようじ法、等々)に合わせた歯ブラシが買える、というのも特徴です。
 プロの要望に応えなければ、なかなか歯科医院には置いてもらえないので、
見た目等にこだわって、肝心の機能を落とした物や、歯垢除去効果についてあまり調べられていないというような歯ブラシを置いている可能性は低いです。
 高機能な歯ブラシが、さらにその歯ブラシを置く歯科医院の歯科医師の納得を得た上で販売されている、
という状態なので、多くの歯ブラシの中から選ぶなら、使いやすい歯ブラシを得られる可能性が高いと思います。
 口の中の状態は人によって異なるため、「その方に合っている歯ブラシか?」という問題もありますが、
そこも歯科医師や歯科衛生士が患者様の口の中を見てお渡しするので、フォローされていると思います。

 市販の歯ブラシについては、「多種多様で一概には言えない」というのが本当のところです。
多くの物が色々なメーカーから販売されており、また新商品がでて入れ替わるなど、時期による変化もあり、海外製品も含めると、把握できないぐらいの種類があります。

 目新しい物、や、宣伝の上手な商品など、アイデア商品のような分野のものも存在し、
歯科医師や歯科衛生士などの目を通らないで店頭に並べられることもあるので、
「歯垢除去」という目的で見ると、どうなのか、などの判断は消費者にまかされる形になります。

 その方に合った良い物も、突飛な商品も混在した中から、自分で選び出さなければならない、ということはあります。
 値段は、歯科用より安い印象です。

 これを実際の感覚で見ると、

今まで一般の毛先の太めな歯ブラシで、大きく横磨きなど自己流のブラッシング法で磨いていた方にとっては、
ヘッド自体の大きさも細くなり、毛先も細くなった分、今までより
一度に歯面に歯ブラシが当たる面積は小さく、磨ける範囲も小さくなった、歯科用歯ブラシについて、

「しゃらくさい! いっぺんに汚れおとしてくれよ!」という作りになるかも知れません。

 

 例えば、体育館をモップ掛けするときに「家庭用モップ」ではなかなかラチがあきません。
 家では決して使えないような二つ折りぐらいの長~いモップを使うから短時間で、掃除が済むのです。

 このたとえがどうなのか、まったく自信がありませんが(笑)、
要はそんな感じです。
 歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間、など細かいところに太い毛先は届きませんが、
歯面についた歯垢を一掻きで少しでも多く、という希望を叶える、と考えると、大は小を兼ねます。

 なぜ普通の磨き方では、磨けないかをサイトで御説明しましたが、
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。(3面磨きの方法)』
細かいところに歯ブラシの毛先を入れる、ということを、重視しなければ、
確かに、大きめで太い毛の歯ブラシの方が、圧倒的に「早く磨けたような気分になれる」歯ブラシだと思います。

 歯周病や虫歯を防ぐ細かい歯垢を落とすような「歯の磨き方」は、学校で習うことも少なく、テレビなどで詳しい磨き方を紹介するということも少ないため、
知らない方も多くいらっしゃいます。

 自己流の歯磨きでは、毛が太くて毛先がなかなか広がらない歯ブラシの方が、長持ちして、良い歯ブラシに感じるかもしれません。

多分、メーカーさんも、この2つの要求など(短時間で一気に歯垢を落としたい、と、細かい細部にまで毛先を届かせて隅々まで歯垢を落としたい)を一度に叶える歯ブラシを作ることなどは難しいので、
使う方々のそれぞれの要求に応じて何種類もの歯ブラシが販売される形になっているのではないか、と、
勝手に推測しています。(笑)

 いずれにしても、現在、歯科医院等で勧めている歯磨き法に合った歯ブラシが歯科医院で売られ、
その歯磨き法を知らなくても、普段、ついしてしまいがちな歯磨きの仕方や、習慣、に合わせてあったり、
逆に歯のケアに意識が高く、他にない商品を求めている方のニーズに応えようとしていたりと、
多くの方々のそれぞれのニーズに合わせようと、自由に各メーカーが考えて作っている商品が、市販品には多いと思います。

 歯科用、市販品、とも合わせると、歯ブラシなど歯のケアをするための商品の種類は大変多く、
この商品がいい! と思っていても、他の商品を使うと、思わぬ驚きや発見があって、面白く感じることもしばしばです。
 歯科用と書いていても、今はネット販売などで一般に入手可能なことが多いです。

 歯科衛生士の私としては、
「歯科医院で歯磨きの仕方を習って、担当の歯科衛生士に勧められた歯ブラシをお使い下さい。」
と公式には申しますが、(笑)
ぜひ、その他にもいろいろ試して楽しんで頂きたいと思います。