DENT.EX 歯間ブラシ (ライオン株式会社)

 今回は、ライオン株式会社の「DENT.EX 歯間ブラシ」について書いてみます。

歯と歯の間を磨く、という発想は、私の子供の頃にはほとんど聞きませんでした。

最近でこそ、「糸ようじ」や「歯間ブラシ」を置いている店が多くありますが、
私の歯科衛生士学校時代、薬局に買いに行った時には、その存在さえ店員さんが把握しておらず、

「しかんブラシ、ありますか?」と聞いたら、
えっ? 一体何のブラシ? という顔をされた記憶があります。

 歯の健康に気をつかう方には、いろいろな情報も得やすく、歯間ブラシもあり、良い時代になってきたということかもしれません。

 歯間ブラシには金属のワイヤーにナイロン製の毛先を巻き込んで付けたタイプのものが以前からありましたが、
最近はより歯ぐきを傷つけにくいようゴム素材で作っているタイプのものも出てきているようです。
 歯間ブラシの柄は、毛先まで真っ直ぐ(ストレート)だと前歯に使いやすく、
ブラシ部分を残してネックで折り曲げると奥歯に使えるという状態なので、
今までは奥歯に使うとき、自分でネック部分を90度折り曲げて使用する、というタイプの歯間ブラシを使用していたのですが、

 さて、私は今回、使っている歯間ブラシのメーカーを変えてみました。

 

『 DENT.EX 歯間ブラシ (ライオン株式会社)』  (歯科用)4本入、太さはSSS、SS、S、M、L、LL、の6種類。

 金属のワイヤーにナイロン製の毛先が巻き込んで付いているタイプ。
そしてネック部分はなんと、最初から110°の角度に曲がっている、というのが特徴の歯間ブラシです。

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 これが使いやすかった。

歯間ブラシのネックについた角度が、磨きやすい絶妙な角度で、奥歯に使いやすく、
その角度のまま前歯にも使えて、とても良かったです。

 金属のワイヤーには「高耐久性超合金SAワイヤー(特許2538533号)」というものを使用していて、 折れにくく、また、硬くバネ性に富んでいるため曲がりにくく、従来のステンレスワイヤーに比べ 約3倍の耐久性を持っているそうです。

 「超合金」なんて、昭和の男の子のオモチャを思い出します。(私だけ?)
という、全く関係ない話は置いておいて、(笑)

同じ物ばかり愛用することが多かった私ですが、
たまには違う物に変えてみることも必要だな、と感じました。

 歯間ブラシは歯と歯の間の歯垢を取るために使うアイテムですが、若くて歯ぐきが健康な方には、歯と歯の間に隙間が無く、入らないためフロスをお勧めすることが多いです。
 ただ、年齢が上になってくると、自然に隙間が空いて、使う頻度が増えてくるアイテムだと思います。
とくに歯周病で歯槽骨が溶けてきてしまっている方には、必須アイテムになっている場合が多いので、
若い頃のイメージでいつまでも、「私には使えない」と思わず、試してみると意外に入ってしまうかもしれません。

 私も歯科衛生士になりたての頃には、全く歯間ブラシが入らなかったのですが、最近入ることが判明して愛用しています。
 歯周病にかからなくても、年齢と共に隙間はできるんだな、と思いました。(笑)

ただ、隙間がぎりぎりなのに無理に使ったり、歯ぐきに強く当たるのに使うことは、歯ぐきを痛めることになりますのでやめましょう。

その場合は、フロスや、糸ようじなどを活用してみて下さい。

 隙間が空きすぎて、余裕がありすぎる方には、SSS、SS、S、M、L、LL、サイズのうち、太い物をお勧めしています。

 SとLLでは太さも違いますが、歯間ブラシの毛の長さが長くなりますので、太い物の方が歯垢除去力が高いです。
 歯間に余裕をもって入る物の中で、なるべく太い物をお勧めする、という感じです。

SSS、SS、S、M、L、LL、などその歯間によって沢山の種類を頻繁に使い分けて磨くことは、患者様の性格もありますが、やはり煩雑で面倒になりやすいので、
長い期間に渡って歯間ブラシを使って頂く習慣を付けて頂きたいと思うと、向かない場合もあります。

 場合によってはそうもいかないときが有りますが、なるべく少ない種類でお勧めししようと思うことが多かったです。

 歯間ブラシの先端を歯ぐきに向けると、そのまま刺さっていって痛いので、刺さらないように歯ぐきとは反対の方に先端を向けて、歯間の隙間が広い歯の根もとの方からゆっくり入れて行くと使いやすいです。
 食べかすが取れてくるとそれで満足しがちですが、歯ぐきに炎症を起こすのは、細菌である「歯垢」。 歯の根元に付いている歯垢を落とすようい磨いて下さい。

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歯と歯の隙間は歯の上(噛み合わせ)の方より、歯の根本(ピンクの○のところ)の方が、より広く空いています。ここに歯間ブラシを入れます。

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使用後は、よく洗って乾燥させるように保管して下さい。
持ち運ぶとき以外、濡れている状態でキャップをするのはお勧めしません。

 毛先が乱れてきたり、ワイヤーが緩くなってきたと感じるときは、取り替え時です。
使っているうちに根本からポロッと折れることもありますので注意しましょう。

 歯と歯の間をみがくと、歯垢と一緒に口臭も少なくなる感じで、口の中が軽くなってさっぱりします。

  どうぞ歯科医院でブラッシング指導を受け、御自分の口の中に合った、フロスや歯間ブラシのサイズを担当の歯科衛生士さんに教えてもらい、正しい使い方をきいてお使い下さい。


歯垢を落とせば、OK? 病気の要因。

 PMTCを受けに、歯科医院に定期的に通っています。

(PMTCとは歯科衛生士など専門職が機械を使って行う歯のクリーニング。 こちらの記事に書いています。『5,歯科医院で行う「PMTC」とは。 歯周病対策「歯垢のつきやすいポイント」』

そこで言われたのが、
「とも歯科衛生士さんの歯は、歯が植わっている骨の形から、将来、歯を失うリスクが高くなるので、気を付けて下さい」という先生のお話。

 どうも歯が植わっている骨の形状から、歯に圧や負担がかかりやすい、ということらしいです。

 歯垢は落とされていて、磨き方に問題はないのですが、それとは別に、
形状てきに、将来歯を喪失するリスクが高め、なのだそうです。

 本格的に治すなら矯正治療だそうなのですが、
「年齢的にも今から、とは、とくにお勧めはしない」そうなので、
本当に様子を見るしかなさそうです。

 というか、私は歯の矯正を子供の頃からして終わっています。
でも、大人になって、また少し動いてしまった、という部分はあります。

転勤族で、けっこう異動があるので、矯正治療のように一つの歯科医院で長く受けるような治療は意外と難しい。
子供の場合は、それでも必要なら方法を考えよう、と思えますが、
大人になると、そこまでは…、という部分は確かにあります。

 その他に言われるのは、唾液検査で「虫歯菌」が人より多かった、というリスク。
 かなり多い方なので気を付けましょう、と言われます(^^;)。

 歯科衛生士学校で、口の中の衛生については授業で習ってきました。

 歯の磨き方を覚え、口の中の歯垢を減らすように磨いていて、お陰様で歯周病はありません。
 虫歯は、歯垢を落とすように磨けば、そのほとんどを防げる、というほど効果のあるものではなく、食事の取り方など(甘い物を長時間口の中に入れない等)、いくつかを組み合わせて複合的な対策を取らなければならないので、気を付けなければならないことも多いですが、知ると知らぬでは大違い、お陰様で、教えて頂いた知識が活きて役立ってくれていることが多いな、と思っています。

でも、これでも、まだ「大丈夫」ではないことに、ちょっと茫然。

 人の「身体」のことは、一筋縄ではいかなそうです。

 

 歯垢を落とすようにきれいに磨けば、虫歯を予防したり、歯周病を予防したり改善したり、病気になるリスクを大きく減らし、将来、磨かないよりもずっと長く歯を残せる可能性も大きくなるなど、メリットが多々あります。

 このサイトでも、歯垢を落とすことをお勧めしていて、それをしないと、歯の寿命はほとんどの場合短くなっていまう、という現実があります。

 ただ、手磨きで全部の歯垢を落とすことは出来ませんし、歯垢を除去することだけを考えて、全てを解決して、健康を保つ、というわけにはいかないようです。

噛み合わせ、歯並び、虫歯菌の多い方、唾液の粘性、糖尿病などの疾患、身体の抵抗力、歯質、喫煙、等々、

 現実には歯垢以外にも歯を失うリスクを高める要因がまだあります。

ただ、これらの要因と歯垢の存在が、重なることにより病気なる、ということなので、

歯垢を除去することの効果はとても大きく、
健康にはかなり役だっているはずです。

もしかしたら、これで全て安全、一生自分の歯で食べられるよ、という安心は、ないからこそ日常生活の中で長く衛生に気を付け、努力し続けることができる部分もあるのかな、と感じています。

「歯を失う原因」の実態調査。

 8020推進財団の行った、「全国抜歯原因調査(2005)」によると、

 歯を失う原因の第一位は「歯周病」、全体の42%、
第二位は「虫歯」、全体の32%となっています。
(他は主に親知らずの抜歯、破折、矯正など)

 若年齢では比較的歯周病に罹りにくいので、30歳代までは「虫歯」が主な原因になりますが、
歯周病での喪失は30代後半頃から目立ち始め、40歳代後半で歯周病での喪失が一番多くなり、50代では、喪失原因の51%が歯周病。
その後も調査対象年齢の85歳まで、歯周病が圧倒的な喪失原因の第一位を占めます。
 また、抜歯数も60歳代後半では、30歳代前半の3倍以上の本数に増えます。
 高齢になると歯周病での抜歯数が減ってきますが、これは、歯周病等ですでに歯を喪失してしまった人の割合が増え、失う歯自体がなくなった、ということでもあると思います。

 虫歯は一本一本がそれぞれ罹り、進行していく病気なので、
虫歯で全ての歯を失うことは稀ですが、
歯周病は、歯が植わっている骨自体が溶けて支えがなくなり抜歯に至るので、同時期に複数本を失うケースが多く、総入れ歯の方の大部分は歯周病が原因となります。

 歯を失う順番の傾向は、まず下の奥歯(特に六歳臼歯(第一大臼歯))、続いて上の奥歯、上の前歯、下の前歯。

 悪循環のようになりますが、磨きづらい奥歯が歯周病又は虫歯で一本失われることになると、

・ そこに凹凸や影の部分ができて歯垢がたまりやすくなる(歯周病や虫歯の原因になり病気が進行しやすくなる)、 と同時に、

・ 一本失った分の負担が回りの歯にかかる。(失った歯の両隣の歯に被せ物をして一本分をダミーで付け足したブリッジ、や、部分入れ歯で鈎(針金)を両隣の歯に掛けて支える。等)

・ 失った歯の対合歯(噛み合わせの歯(下の奥歯を失った場合は、上の奥歯が対合歯))が噛み合わせの歯がなく機能できなくなり、歯根が露出するようにのびてきたり、不安定な状態になる。

など、奥の上下の歯の喪失リスクが高まります。

そして、奥歯を失ってしまった口の中では、その分の圧を前歯で支えなくてはならず、
前歯が叩かれるように噛み合わさることにより、出っ歯のように、前に傾斜をつけて傾いてきます。
 この負担が、ますます、歯周病等を増長させることになり、歯が揺れだして喪失する、など悪循環で、抜歯する歯が増えていく、ということになりやすいです。

虫歯や歯周病で歯を失い始めると、次にその分の負担が掛かることになった歯も悪くなりやすくなり、続けて複数本の歯を失うというパターンが多いと思います。

 歯を失うリスクの高い歯としては、
未処置の虫歯、歯周病の進行している歯、などの他に、
神経を抜いて冠などを被せた歯、部分入れ歯の鈎(針金)が掛かり支えている歯、などとなっています。

 歯周病についての記事は、こちらから。
『1,ココから順番に書いています。 (歯周病)』

虫歯についての記事はこちらから書いています。
『1,「虫歯の多くはココから発生。」 「シーラントとは。」』

「重曹」と「歯」の関係。

 ネットで、「重曹うがい」や「重曹はみがき」は人気があるようです。
日々のお掃除など、日常生活で重曹を活用している方はもちろん、普段あまり重曹を使わない方々の間でも関心が高いようで、「重曹」と検索すると、「重曹 歯磨き」が上位に挙がるほどです。

民間療法的には使っている方も多く、検索すると「重曹うがい水」や「重曹はみがき粉」の作り方もヒットするのですが、歯科医師など専門家の意見を知りたいと思って検索すると、意外に少なくて、そのことに触れる歯科医師の先生は、少数派の印象です。

 歯科医師に歯磨きに重曹を使うことを質問している記事を読んだのですが、
海外の歯磨き粉にけっこう重曹が使われていることもあり、弊害(歯ぐきの等への刺激、「削れる」ことへの注意、塩分の問題、歯石沈着促進、等)に注意して使えば、悪いとは言い切れないが、調べたことがないので詳しく分からない、という感じの答えでした。

 重曹については、実際にはあまり「調べられていない」というのが現状のようです。

 多分、「厚生労働省」で推進されているか、教科書で大きく取り上げられているか、などの影響も大きいと思いますが、

 調べて悪い物であれば使わないし、良い物であれば使いたい。
正直、専門家の先生に「調べてほしい」という希望があります。(^^)

 ネットの情報で定かではありませんが、
日本で販売する歯磨剤(歯磨き粉)には薬事法に基づいた厚生労働省の認可がいるのですが、
そこで重曹が大きくは認められていないため、販売するときに効果を期待できるほどの重曹の量を入れることができない、という記事を読んだことがあります。

たしかにアメリカの歯磨き粉などには重曹が使われていることよくあるようなのですが、
日本で販売されている歯磨き粉、「フッ素」が入っていることをうたっている物は多いのですが、「重曹」は少ないと思います。
もしかしたら、そういう事情もあるのかも知れません。

 アメリカでは使われているようですが、日本では少ない…。

 もはや完全に他力本願ですが、英語の得意な歯科医師の先生に、その根拠をぜひ調べて教えて頂きたい、というところです。

 

 代わりに、といってはなんですが、「フッ素」の話はよく出てきます。
ときには、重曹の質問も「虫歯予防ならフッ素の方が…」と置き換わってしまうほど、歯科医師にフッ素は人気があります。

「フッ素」は、厚生労働省のホームページにも登場し、積極的に使って虫歯を予防しようという動きがあるようです。

 ただ、フッ素は「薬品」で歯科医院に行って塗布したり、市販の薬用歯磨きを使うことになるので、
昔から食品としても使われていて、身近にある「重曹」に、安心感があり、
もし効果があるなら、ぜひ活用してみたい、というところです。

 私個人として「重曹」を使ってみた感想は、「重曹うがい」は弊害に注意して使えば、いいなと思いましたが、「重曹はみがき」は歯ぐきが傷つきやすいなど弊害が出やすいので、使うときには慎重さがさらに必要、という感じです。

 今のところ重曹について調べている歯科医師のサイトは少なく、
(重曹の記事を書いている歯科医師の先生のサイト 『I歯科医院の高楊枝通信』
民間以外の日本の情報は少なそうなので、
しばらくは、完全な自己責任。
もし使うなら自分で、弊害がないように気を付けながら慎重に試して効果を確かめる、ということのようです。

2013年。

他の「重曹」の記事はこちらです。

『虫歯予防に『重曹うがい』。』

『「重曹はみがき」、試してみました。』

よろしければこちらの記事などもご覧下さい。(^^)
『なぜ、「普通?の歯の磨き方」では歯垢が落ちないのか、検証してみました。』

バブルと「歯科医師」。 歯科の相談事は「歯チャンネル88」。

 私が歯科衛生士になりたての頃は、いわゆる「バブルのかおり」が残っていた時代でした。

 世の中も経済的に、バブルの時とは変わる時代になりましたが、
「歯科医師」という職業も、その影響は大きく、歯科医師増加の波もあって、取り巻く環境がかなり変わった職業だと思います。

 バブルのころには、歯科医師の先生、イコール、どんどんお金の儲かる仕事。 というイメージがあり、
その影響から?歯科大学の学生や若い歯科医師などには、医局に女の子が手弁当を差し入れしてくれて、モテモテだったというネットの記事を読んだことがあります。
(身近では知りません。(笑))

 そんなバブルもはじけて20年以上が過ぎ、
今は、歯科医師過剰、と言われる時代になりました。
歯科医院の数は、6万8000件ほどもあると言われ、コンビニエンスストアの1.4倍以上にもなるそうです。
 平成22年度の調査では歯科医師の数が10万人以上になり、次々に歯科医院が開院していますが、廃院を余儀なくされるところもあります。
 歯科機材や材料は高額なことが多く、開院にも資金が必要で、
歯科医院の戦国時代、という言葉も聞きます。

 私も実家に帰省したときに通った近所の歯医者さんが、次回の帰省の時に名前が変わっていました。
多分、使っていた機材などをそのまま売って、経営者が違う歯科医師に変わられたのだと思います。
 通っていたとき、変色があった歯に、高い自費の被せ物の歯を勧められたのですが、
虫歯ではなく、審美的な問題だけだったのでお断りしました。
 優しそうな若い先生でしたが、歯科医師として優秀というだけでなく、
経営者としての能力も必要な歯科医院経営の時代なんだと感じた出来事でした。

 今は歯科医院の数も多く、ネットの情報もあるため、
いろいろ調べて、かかる歯科医院を選ぶことができます。

 結構面白くて、私のよく読むサイトに『歯チャンネル88』があります。

 歯科に対する一般からの質問にも、複数の歯科医師が答えてくれたりするのですが、

歯科にもいろいろな治療法や考えがあるんだな、と感じさせてくれます。

 歯科で相談事があるなら、いいかも知れません。

ときに熱いバトル? というか、それぞれの先生の意見や主張があり、
 歯科医師がそれぞれ治療法を選択し、考えながら日々診療に当たっていて、症状によって確立した正解がない中でも模索しながら進んでいる様子が読めたりします。
(ちなみに、質問したことはありません(笑))

 バブルの頃も今は昔。 歯科は医療と経営の両面のバランスも考えて進まなければならない時代になりました。

 どこか遠い存在だった歯科医師が身近に降りてきて、患者様と一緒に考えたり、歩んでくれるようになったような気も、少しします。